戸建てとマンションどちらを購入すべき?それぞれのメリット・デメリット


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マイホームを購入するにあたって、戸建てかマンションかで悩む人は多いはず。どちらが良いかは、購入する人の価値観、重視するポイントによって異なりますが、「絶対にマンションと思っていたけど、よく調べたら戸建てのほうが自分のライフスタイルに合っていた」「戸建てを中心に物件選びをしていたけど、最終的に購入したのはマンションだった」というケースも少なくありません。

ここでは、スムーズな物件選びのために、戸建てとマンションを比較する上で知っておきたいメリットとデメリットをご紹介します。

マンションと戸建ての比較すべきポイント

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マンションと戸建ては、集合住宅か否かということだけでなく、そのほかにも違いがあります。購入を決める際には、さまざまな角度から比較・検討することが大切です。

まずは、戸建てとマンションを比較する上で重視すべきポイントを整理しておきましょう。

コスト

マンションと戸建ての購入価格が同じだとしても、生涯を通じて必要なコストは異なります。戸建てには住宅ローン、固定資産税、町内会費などがかかりますが、マンションの場合はそれらに加えて、月ごとに必要なランニングコストである管理費と修繕積立金がかかります。

・管理費
管理費はマンションの日常的な維持管理に必要な費用で、区分所有者は毎月支払う義務があります。集められた管理費は、エントランスなど共用部分の日々の清掃、管理人やコンシェルジュにかかる人件費のほか、植栽や中庭の手入れにかかる費用、エレベーターのメンテナンス代などにあてられます。

・修繕積立金
マンションを購入すると、長期修繕計画にもとづいて、定期的に点検や修繕を行う必要があります。しかし、マンション全体の修繕を行うには、莫大な費用がかかります。そこで、区分所有者が将来のメンテナンスに備えて一定額を積み立てておくのが修繕積立金です。

修繕積立金は、外壁補修、屋上防水、配管補修、共用廊下のシート貼り替え、エレベーターなどの部品交換や全面改修など、10~13年周期で行われる大規模修繕にあてられます。

近年、売主側は、なるべく早く買い手をつけるために購入当初の修繕積立金を安く抑えて売り出す傾向がありますが、劣化を抑えるには必ず大規模修繕が必要です。最初の修繕積立金が安いマンションは、一見するとお得感があるものの、少しずつ毎月の負担額が値上がりしたり、修繕時に一時金を求められたりする可能性があるので注意が必要です。

戸建てでも修繕は必要ですが、マンションと異なるのは、居住者自身が「やるかやらないか」「やるならどこまでやるか」を決められるという点です。

・税金
住宅を購入すると、マンションか戸建てかにかかわらず、固定資産税の支払い義務が生じます。固定資産税は、土地と建物の両方にかかるもので、以下の計算式で算出されます。

<固定資産税の算出方法>
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土地の固定資産税については、住宅用地の特例によって6分の1まで減税される優遇措置があります。そのため、建物よりも土地の固定資産税の割合が多いほうが、全体の税額を圧縮することができます。

なお、土地の固定資産税は土地の評価額にもよりますが、建物の固定資産税については、木造の戸建てよりも鉄筋コンクリート造のマンションのほうが評価額は高くなる傾向があります(区分所有比率によっても変わります)。

資産価値

従来は、土地がある戸建てのほうが資産価値は高いとされてきました。しかし現在では、購入時よりも売却時のほうが値上がりしているマンションもあり、一概に資産価値が高くなるのはどちらとはいえません。特に、都心の人気エリアで駅からすぐといった好立地に建てられたマンションや、近隣の再開発や新駅の登場で付加価値がついたマンション、ビンテージマンションとしてブランド化されたマンションなどは、築年数が古いものでも高値で売買される傾向があります。

増改築

将来的に売却をせず住み続ける場合、戸建てでもマンションでも、リフォームやリノベーションといった手段で住環境を改善させることができます。戸建ての場合は、現行の建築基準法に抵触する再建築不可物件でない限り、比較的自由に手を加えることができ、土地に余裕があれば増築なども可能です。

一方、マンションの場合、工法によってはリフォームできないケースがあるほか、リフォームできるのは専有部分のみと決められています。床の張替えなども管理規約によって制限されていることがありますので、購入前に確認しておきましょう。

セキュリティ

最近のマンションには、オートロック、防犯カメラといったセキュリティ機器が標準装備されているほか、管理人やコンシェルジュといった、人の目による抑止力も働いています。

戸建ては、居住者自身が設備を設置する必要があり、死角も多いことから、セキュリティ面ではマンションに分があるといえるでしょう。

防音性

上下左右に別の居住者がいるマンションでは、騒音トラブルが起こりやすくなります。特に、足音や物音が響きやすい階下に対しては配慮が必要でしょう。

戸建ての場合は、階下を気にする必要はありませんが、住宅が密集している地域などでは隣近所への気配りが欠かせません。

立地

マンションは、駅徒歩圏内の好立地に立っていることが多く、戸建ては駅から少し離れた閑静な地域に集まる傾向があります。利便性か住環境か、住宅に何を望むかによって立地の良し悪しは異なります。

マンション、戸建てのメリット・デメリット

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マンションと戸建ての比較ポイントを踏まえて、それぞれのメリット・デメリットを整理しておきましょう。

  メリット デメリット
マンション

・駅から近く、利便性の良い物件が多い
・セキュリティがしっかりしている
・日常の管理にわずらわされずに済む

・騒音に注意が必要
・リフォームできるのは専有部分のみで、制限があることが多い
・毎月、住宅ローン以外にランニングコストがかかる

戸建て

・将来的に増改築を考えている場合、できることが多く自由度が高い
・住宅ローン、固定資産税以外の大きなランニングコストは居住者次第

・セキュリティ面の充実は居住者次第
・駅から遠いことが多い
・日常の手入れや経年劣化に伴う修繕を自分たちで行う必要がある

ライフスタイルとライフプランで選ぶことが大切

戸建てが良いかマンションが良いかは、住む人の価値観やライフスタイルによって異なります。不確かな情報や周囲の感想に惑わされず、実際に希望するエリアを見て、生活をイメージしながら住まいに求める条件を絞り込んでいくことが、後悔のない決断をする秘訣です。

また、今どちらに住みたいかということ以上に、将来的にどう住みたいかを考えることも大切。「いずれは売却して住み替えを検討したいから、立地が良いマンションにする」という判断もあれば、「手入れをしながら大切に住み続けたいから、増改築しやすい戸建てにする」という選択もあるでしょう。

今のライフスタイルと将来のライフプランを踏まえて、最適な住まい選びをしてください。

 

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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