資産価値が高いマンションは何が違う?価値を見極めるポイント


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マンションの購入や売却を検討している際、気になるのが資産価値です。マンションの資産価値とは何によって決まり、どのように変化するのでしょうか。
資産価値を見極めるポイントや、よくある疑問点などについて解説します。

マンションの資産価値は何で決まる?

マンションの資産価値とは、マンションの経済的な価値を示す言葉です。資産価値は主に、そのマンションを売るときにいくらで売れるのかという売却価格で評価されます。また、賃貸に出すとどれくらいの家賃収入が得られるのかという収益も、資産価値として評価されます。
どちらにしても、そのマンションを何らかの方法で換金(現金化)したときの価値が資産価値ということになります。
では、マンションの資産価値は、どのような要素によって決まるのかを見ていきましょう。

資産価値に最も影響するのは立地

マンションの資産価値に最も影響を与えるのは立地です。建物の資産価値は築年数を経れば下がっていきますが、土地は違います。
駅からどれくらい離れているかといった交通の利便性、商店街やスーパーの充実度などの生活利便性。さらには、人気エリアかどうか、災害リスクが低い場所かどうかなど、こうした立地条件は、年数を経てもそう簡単に変わることはありません。
つまり、立地の良いマンションの資産価値も、簡単には変わらないということです。

マンションの管理状況

建物自体の資産価値は、管理状況によって影響を受けます。マンションが古くなるほど、そのマンションの管理体制や管理状況が重要になるのです。
建物の劣化を食い止めるためのメンテナンスや、大規模修繕などが着実に実施されているマンションであれば、資産価値の下落を緩やかにできます。そのためには、管理組合がしっかりと機能し、修繕計画が策定され、修繕積立金が徴収された上で、建物が管理されていることが必要です。

物件の需要と供給のバランス

資産価値に影響するそのほかの要素としては、立地条件のひとつともいえますが、周辺の物件数が挙げられるでしょう。
資産価値は需要と供給のバランスにも影響を受けるため、周囲に同じようなマンション、似たような物件がほかにもあれば、価格は下がります。どんなに良いマンションでも供給過多では高くは売れず、資産価値も低くなります。反対に、希少性の高い物件は資産価値が高くなるということです。

マンションの快適性や機能性

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マンションの専有面積の広さのほか、日当たりや風通しなどの快適性、防犯・防災などの安全性、防音性能などの機能性、マンションのブランド力など、建物に関する諸条件も資産価値に影響を与えます。
しかし、建物の価値は建物を建て替えることで、住戸の価値はリフォームやリノベーションをすることで高めることが可能です。一方、土地に関する価値は大きく変わりません。
やはり、マンションの資産価値において最も重要なのは土地の価値、立地であるといえます。

資産価値の高いマンションとは?

ここからは、資産価値が高いマンションとはどのような物件なのかを見ていきましょう。マンションの購入や売却を検討する際の参考にしてください。

築年数によって資産価値は変わる

一般論として、築浅マンションの資産価値は高くなります。ただし、新築物件は、新しく建てられたことにのみ価値があり、建物が古くなっていけば物件価格、資産価値はどんどん下がっていきます。つまり、築浅物件の資産価値は、どんどん失われていくものなのです。

中古マンションの価格の下がり方には、一定のパターンがあります。通常、購入後1年で価値が急落し、その後は築10年ほどで新築の70~80%程度の価値になるといわれます。その後、築20年を超えると価格はあまり変わらなくなり、築25年ほどで価値は半減。30年を超えると横ばい状態に移行します。

新築マンションは購入した瞬間に資産価値が下がる

新築マンションの資産価値には、「新築プレミアム」と呼ばれる要素が付加されています。デベロッパーが新築物件を建てるために要した開発費用、売るために使った広告宣伝費など、諸々の経費が新築プレミアムとして上乗せされています。そのため、新築マンションを買ってすぐに売却したとしても、売却価格は2~3割下がってしまうのです。

一方、中古マンションは最初からすでに新築マンションより安い状態です。築1年以内の物件はまだまだ下落しますが、築10年になる頃には下げ幅は小さくなり、価格が安定してきます。仮に、築10年のマンションを買い、さらに10年後に売却したとしても、価格の下げ幅はそれほど大きくありません。

また、人気エリアや駅近など条件の良い土地には、すでにマンションが多く立っています。つまり、好立地の物件のほとんどが中古マンションだということです。
立地条件が良いマンションほど資産価値が高いので、立地の悪い新築マンションよりも立地の良い中古マンションのほうが高い資産価値を維持できるでしょう。

■マンション資産価値下落のイメージ

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手持ちのマンションはいつ売却するのがベスト?

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では、資産価値の面から見て、マンションを売却するタイミングはいつがいいのでしょうか。結論からいうと、新築で買った場合は、10年後が売却するタイミングです。

買い手は古さを感じない物件を妥当な価格で購入できる

買い手としての立場から考えると、築5年以内はまだ新築と同じ感覚です。また、築15年以上になると設備や間取りが一昔前のものになるため、築10年前後の物件を探す人が多くなります。
築10年前後の物件であれば、それほど古さを感じさせない物件を、妥当な価格で購入できます。

売り手は節税が可能に

売り手としては、税金面がポイントです。不動産を売却すると、ほかの所得とは別に所得税と住民税がかかり、その税率は不動産の所有期間によって変わります。

所有期間5年以下で売却すると短期譲渡所得として所得税と住民税合わせて税率39.63%。5年超で売却すると長期譲渡所得という扱いになり、税率20.315%となります。さらに、10年超所有し、一定の条件を満たしていれば、10年超所有軽減税率の特例が適用され、さらに税率が下がります。
マンションは築20年までは価格が下がり続けるため、少しでも高く売るなら築20年以内ということができますが、買い手の需要も意識すれば築10年前後が売りやすいでしょう。

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今後のマンションの資産価値は上昇する?下落する?

2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、マンションの流動性が低くなり、価格も下がっています。2020年7月現在、物件を探すのを自粛する人が増えている影響で、不動産業は大きな打撃を受けつつあるのです。そのため、当面はマンションの資産価値も、ほぼ確実に下落していくものと予想されます。

ただし、仮に新型コロナウイルスの感染拡大がなかったとしても、マンションの資産価値は下がると見られていました。2020年7月を予定していた東京オリンピック開幕までは、東京を中心にマンションの売買価格は上昇し、大会終了後にはゆるやかに下がっていくだろうという予想が多数意見だったのです。

生産緑地の指定解除で資産価値が下がる

資産価値に関連して不動産業界で話題になっているのが、2022年に迎える生産緑地の指定解除です。1992年に生産緑地法が改正され、生産緑地の指定を受けて農地とした場合、土地使用の制約があるものの税率は低く設定されました。

しかし、その1992年に生産緑地として指定された土地が、2022年には30年の営農義務を終えて一斉に指定解除されます。2022年以降、農地が宅地化されていくと、マンションやアパートなどの居住用物件が爆発的に増えることになります。供給が一気に増えれば、当然ながら価格やマンションの資産価値も下がります。

生産緑地に指定されている土地は、全国で約1万3,000ヘクタール(東京ドーム、約2,780個分)に及びます。
生産緑地は大部分を東京が占めており、指定解除された土地にマンションを建てようという動きが活発化しています。そうなると、マンションの資産価値の下落は避けられないでしょう。

資産価値にも注目したマンション選びも大切

マンションは、単に新しければ資産価値が高いというものではありません。新築や築浅マンションは購入するときの価格は高いものの、売却する際には価格は下落することを考えると、必ずしも資産価値が高いわけではありません。
資産価値は、中古マンションのほうが維持できるといえます。マンションを購入する際は、資産価値という側面についても注目して選んでみてください。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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