間取り図の見方を徹底解説!不動産関係者が読み取っていること


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マンションを買うときに必ず目にすることになる間取り図。多くの人が、その図面を見ながら購入するかどうかを検討するはずです。
しかし、そもそも間取り図にどのような情報が書き込まれているのかを知っておかないと、大事なポイントを見落としてしまうかもしれません。ここでは、間取り図の見方と、不動産関係者は何を読み取っているのかをご紹介します。

間取り図から情報を読み取るには?

間取り図を見てすぐにわかるのは、方角、部屋の数・配置・広さです。また、収納、ベランダ(バルコニー)、窓、扉、キッチン・浴室・トイレなどの位置もわかります。
これらの情報を読み取ることで、日当たりの良さ、風の通り方、生活動線などを推察することも可能です。その方法については、後程詳しく説明します。

一方、間取り図は平面図なので、高さなどの立体的な要素についてはわからないこともあります。窓の高さと大きさなどは、簡易的な間取り図には書いていないことが多いので、別途確認しなくてはなりません。
ここでは、間取り図で使われる用語や記号について解説します。

間取り図で使われる用語

間取り図を読み取るには、よく使われる用語と記号を知っておく必要があります。これらをある程度憶えておくと、どのような部屋や設備があるのかが理解できるでしょう。

■間取り図で使われる用語

DK ダイニングキッチン(食卓と台所が一体となった空間で、居室が1部屋なら4.5畳以上、2部屋以上なら6畳以上ある場合にDKと表記される)
LDK リビングダイニングキッチン(居間、食卓、台所が一体となった空間で、3LDKなら3部屋、リビング、ダイニング、キッチンとなる)
UB ユニットバス
MBR メインベッドルーム
BR ベッドルーム
CL クローゼット(Nで納戸とすることもある)
WIC ウォークインクローゼット(WCLと表記されることもある)
SIC シューズインクローゼット(SCLと表記されることもある)
SB シューズボックス
SR サービスルーム(採光や通風などが建築基準法の基準を満たしていない部屋)
PS パイプスペース(給排水管やガス管の配管スペース)
MB メーターボックス
R/冷 冷蔵庫の設置スペース
W/洗 洗濯機の設置スペース

間取り図で使われる窓と扉の記号

用語だけでなく、特徴的な記号も憶えておくとより多くの情報を読み取ることができます。特に、窓と扉については、家具の配置などにも影響が出てくるため、しっかり読み取れるようにしておきましょう。

■窓の記号

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■扉の記号

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間取り図のチェックポイント

間取り図を見るときに、必ずチェックしておきたいポイントを解説します。どのような点を注意して見ればいいのかを押さえておきましょう。

間取りタイプ

まず、確認しておきたいのが間取りのタイプです。
最もポピュラーなのは田の字型といえるでしょう。玄関を入ると住戸の中央にまっすぐに伸びた廊下があり、その両サイドに部屋が配されています。さらに、廊下の突き当りにLDKともう1室があるという配置です。外廊下型のマンションの多くが田の字型になっています。

また、センターインと呼ばれる間取りもあります。玄関が住戸の中央付近に設けられ、寝室などのプライベート空間とLDKや客間といったパブリックな空間が分離できるのが特徴。高級マンションに多く採用されています。
ほかにも、間口の広いワイドスパン、建物の端に位置する住戸に採用される角住戸などがあります。

方角

方角も重要なチェックポイントです。
ほとんどの間取り図には方位記号が記されており、Nが北を表しています。南向きは人気が高く、価格も高い傾向があります。
ただし、南側に大きな建物があるなど、周囲の環境によっては日があたらないこともありますので、実際に現地を確認することも必要です。

部屋の広さ

部屋の広さは「畳(帖)」で表記されているのが一般的です。通常、「1畳=約1.62平米=約0.5坪」が基準となっています。
また、専有面積は平米で記載されています。間取り図で記されている広さは壁の内側の面積(内法面積)ではなく、壁の中心線を結んだ内側の面積(壁芯面積)であることに注意しましょう。

扉には、大きく分けて開き戸と引き戸の2つがあります。開き戸は扇形のラインが描かれているので、内開きか外開きかを確認しましょう。内開きの扇形内に、家具などは置けません。
引き戸は横にスライドさせて開け閉めする扉です。

窓の数や大きさ、方角なども確認しておくべきでしょう。窓が多いと日が入りやすくなりますが、家具を置きにくくなるというデメリットも。
また、窓の高さや大きさ、実際に日があたるのか、風が入るのか、眺望はどうかなど、現地で確認しないとわからないことも多いので注意が必要です。

生活動線

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生活動線とは、入居者が居室内で動く経路のこと。動きやすく、使いやすい間取りになっているかどうかがポイントとなります。

例えば、家事をする際に、食事の用意と洗濯を並行して行うなら、キッチンと洗濯機置場は近くて行き来しやすいと便利です。また、ほぼ毎日、買い物に行って食材を購入する人にとっては、玄関と冷蔵庫が近いほうが便利でしょう。
生活動線の良し悪しは、住む人のライフスタイルによって変わります。小さい子供がいる、高齢者がいるといった条件でも変わりますので、想像力を働かせながら間取り図を見て、生活動線を描いてみることが大切です。

不動産関係者は間取り図から何を読み取っている?

では、不動産関係者は、間取り図をどのように見て、何を読み取っているのでしょうか。一般の人が見落としがちなポイントについて解説します。

風通しの良さ

風通しは、方角の異なる場所に2ヵ所以上の開口部があれば確保されます。窓が2ヵ所ある場合なら、間取り図上の窓と窓を線でつないでみると風の通り道がわかるでしょう。窓が1ヵ所しかなかったとしても、扉を開けることで、風が通るようになります。

角住戸の場合は、住戸の異なる方角に複数の窓を配置することが可能で、風通しを良くしやすい間取りといえるでしょう。また、センターインやワイドスパンの住戸には、2面バルコニーや両面バルコニーを備えるものもあり、風通しの良い間取りといえます。

■センターイン

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■ワイドスパン

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なお、田の字型は風通しが問題になることがあります。バルコニーと反対側の外廊下に面した玄関や部屋の窓は、外から見られてしまうこともあり、開けにくいためです。しかし、中には外廊下側の窓に面した吹き抜けを設けるなど、風が通り抜ける工夫がされている田の字型の物件も存在します。

■田の字型

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収納の数

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収納が、しっかりと備わっているかどうかも重要です。収納は各居室についているといいのですが、中古マンションの中には、収納がない居室があるという物件も存在します。
間取り図上で収納部分をマーカーで色分けしてみると、その物件の持つ収納力が目に見えて実感できます。ファミリーなら、食材などを保管しておけるパントリーが備わっていると重宝するでしょう。

天井の高さ

天井の高さは、詳細な間取り図ならCH(シーリングハイ)という記号で表記されています。これは、床の仕上げ面から天井下面までの寸法を記した数字です。
ただし、多くのマンションの天井には凹凸があります。天井の一部分が下がっている下がり天井は、間取り詳細図には点線で表記してあります。立体的な空間としての広さは、現場に足を運んで確かめてみるのが一番ですが、間取り図からでもある程度は予測できます。

間取り図で判断できないこととは?

間取り図からはさまざまな情報が読み取れます。その一方で、間取り図だけでは判断できないこともあります。また、人気が高い物件だったとしても、自分には適した間取りではないこともあるでしょう。
部屋を選ぶ際には、間取り図だけに頼らない判断も必要になってきます。

簡易間取り図では正確な配置は判断できない

間取り図を参考にして、手持ちの家具などの置き場所を決めたいと考える人もいるでしょう。
しかし、ウェブサイトやチラシに載っているような簡易的な間取り図は、居室の寸法や縮尺が正確に反映されていないことがあります。部屋の大きさが何畳なのかはわかりますが、図面に定規をあてて部屋の広さを測り、家具などの配置を決めるのには適していません。

寸法と縮尺をもとに家具の配置を正確に決めるには、建築図面が必要です。もしくは、建築図面にもとづいた詳細な間取り図(間取り詳細図)を手に入れてください。
また、大型の家具を搬入する際に、ドアから入るかどうかも確認が必要です。廊下やエレベーターも含めて、搬入できるサイズなのかを調べましょう。これらは図面上で考えるより、下見などで実際の寸法を測ったほうが確実です。

ライフスタイルに合っているかどうかわからない

間取り図を見ただけでは、自分のライフスタイルに合っているかどうかは判断できません。
例えば、昔から人気のある南向きの部屋は、明るく日照時間が長いなどのメリットがある一方、夏季は気温が上がりやすい、フローリングや畳が傷みやすいといったデメリットもあります。また、価格も割高になります。
そこで最近は、価格が安くなる南向き以外の物件も注目されています。朝早く起きて外出し、日中はあまり家にいないといったライフスタイルの人であれば、方角はそれほど気にする必要がないかもしれません。

方角だけではなく、部屋の配置や広さ、動線なども同様ですが、人気が高いかどうかではなく、自分のライフスタイルにマッチしているかどうかを重視して間取り図をチェックしましょう。また、間取り図だけで判断するのではなく、現地を実際に見てみることも大切です。

間取り図からしっかり情報を得た上で総合的な判断を

間取り図からは基本的な事項以外にも、たくさんの情報を読み取れます。方角、日当たり、風通し、収納、天井の高さなどもしっかりと確認してください。
同時に、間取り図だけですべてを判断するのではなく、実際に住戸を見学したり、不動産会社の担当者に確認したりする作業が大切ということも憶えておきましょう。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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