新築購入でどれくらい課税されるのか?受けられる税金の軽減措置、補助金の制度と手続きについて


26_01.jpg

新築住宅を購入すると、税金の軽減措置や控除を受けられます。住宅購入の際は、家具の購入や引越しなど、さまざまな費用がかかるほか、各種税金も発生しますので、家計の助けとなる制度は活用しておきたいものです。
今回は、新築を購入したときの税金の目安や、負担を軽減するための制度についてご説明します。必要な書類や申請の手続きも併せてご紹介しますので、参考にしてみてください。

新築購入時にかかる税金と軽減措置について

26_02.jpg

新築を購入すると、どのような税金がいくらくらいかかるのでしょうか。また、どのくらいの金額が軽減されるのでしょうか?
まずは、新築購入にあたって発生する各種税金について、それぞれの税率や支払い方法、適用される軽減措置について見ていきましょう。

登録免許税

登録免許税は、土地や建物を購入するにあたって、所有権を登記する際にかかる税金です。
また、住宅ローンを組む際、金融機関は住宅に対して抵当権を設定しますが、この抵当権設定登記にかかる税金も登録免許税にあたります。
なお、登録免許税は、法務局で登記の申請と手続きをする際に、登記申請書に税額相当分の収入印紙を貼りつけて納めます。

<登録免許税の計算方法>
登録免許税=土地や建物の固定資産税評価額×税率(%)

■登記の種類と登録免許税

税金の対象 登記の種類 税額
土地 所有権移転登記 固定資産税評価額×2.0%
建物 所有権保存登記 固定資産税評価額×0.4%
※新築住宅購入の場合は0.15%
住宅ローン 抵当権設定登記 借入額×0.4%

<登録免許税の軽減措置>
登録免許税の軽減税率や適用の条件について、詳しくは国税庁のウェブサイトでご確認ください。

国税庁「登録免許税の税額表」

印紙税

新築購入時、売買契約と住宅ローンの契約を結ぶ際に、それぞれの契約にかかるのが印紙税です。契約書に印紙を添付し、押印することで納税したこととなります。

<印紙税の計算方法>
印紙税額は契約書の記載金額に応じて決まり、売買契約の場合は住宅価格、住宅ローンの場合は借入額が基準となります。

■印紙税額

契約書の記載金額 税額
500万円超1,000万円以下 1万円
1,000万円超5,000万円以下 2万円
5,000万円超1億円以下 6万円

<印紙税の軽減措置>
印紙税についても軽減措置があります。詳しくは、国税庁の印紙税のページよりご確認ください。

不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置

ちなみに契約書に記載された契約金額が10万円以下のものは、軽減措置の対象となりません。税率は一律200円です。また、契約書に記載された契約金額が1万円未満のものは非課税となります。

不動産取得税

新築を購入するなど、不動産を取得した場合にかかる税金が不動産取得税です。
不動産取得税の計算方法と軽減措置は以下のとおりです。

<不動産取得税の計算方法>
不動産取得税=不動産の固定資産税評価額×4%

<不動産取得税の軽減措置>
新築住宅を購入した場合、一定の条件を満たせば建物の固定資産税評価額は1,200万円控除されます。
不動産取得税の軽減措置を受けるためには、都道府県の定める期間内に、担当窓口への申告が必要です。申告をしない場合、軽減される前の税額で納税通知が届いてしまいますので注意しましょう。

なお、通知を受け取ってからの申告でも軽減措置を受けられることもあるため、その場合は早めに問い合わせることをおすすめします。
軽減措置を受けるための要件は、次のとおりです。

■不動産取得税の軽減措置を受けるための条件

軽減措置の対象 条件 軽減措置
増改築を含む新築の建物 ・マイホーム、セカンドハウス、賃貸用マンションなどの住宅全般に適用
・課税床面積が50平方メートル(戸建て以外の賃貸住宅は1戸あたり40平方メートル)以上240平方メートル以下である
固定資産税評価額が1,200万円控除される
土地 ・(上の欄の)建物の軽減措置を受けるための要件を満たしている
・土地を先に取得した場合、取得から3年以内に建物を新築している(2021年3月31日までの特例)
・建物の建築が先行した場合、新築から1年以内にその土地を取得する
以下のいずれか多い額が軽減される
・4万5,000円
・(土地1平方メートルあたりの固定資産税評価額÷2)×(課税床面積×2)×3%
(課税床面積は100平方メートルが限度)

不動産取得税の軽減措置を受けるためには、申告が必要となります。

申告期限は各自治体によって決まっているため、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

固定資産税・都市計画税

物件の購入後も毎年かかる税金として、固定資産税、都市計画税があります。固定資産税と都市計画税は、市町村から送られてくる納税通知書に従って納税する仕組みです。納税通知書は、毎年4月頃に郵送されます。

<固定資産税・都市計画税の計算方法>
固定資産税=固定資産税評価額×1.4%
都市計画税=固定資産税評価額×0.3%

<固定資産税・都市計画税の軽減措置>
固定資産税ならびに土地にかかる都市計画税の軽減措置を受けるための条件は以下のとおりです。

■固定資産税と都市計画税の軽減措置と適用の条件

税金 条件 軽減措置
固定資産税 ・専用住宅、店舗併用住宅であること(店舗併用住宅の場合、居住用部分が2分の1以上)
・居住部分の課税床面積が1戸につき50平方メートル以上280平方メートル以下であること(貸家住宅の場合、1戸につき40平方メートル以上280平方メートル以下)
新築住宅は120平方メートル(課税床面積)までの部分について、新築後3年間(3階建以上の耐火構造、準耐火構造住宅は5年間)にわたって、固定資産税が2分の1
※2022年3月31日までに新築された場合の特例。
都市計画税 ・新築住宅の土地は住宅用地であり、住宅1戸につき200平方メートルまでの部分に適用
※マンション等集合住宅の場合、敷地全体の面積を居住用住戸の戸数で除した面積で判定。
※空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空家等に係る土地を除く。
・小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)…課税標準(固定資産税評価額)÷3
・一般住宅用地(200平方メートル超の部分)…課税標準(固定資産税評価額)×2÷3

・マンションの場合、3階建て以上の耐火・準耐火建築物であること
・新築住宅で固定資産税が半分になるのは120平方メートルまでの部分に適用
・新築住宅の土地は住宅用地であり、住宅1戸につき200平方メートルまでの部分に適用

120平方メートルとは約72畳の広さで、それを超える物件は珍しいため、住宅すべての土地に適用されると考えていいでしょう。

固定資産税がいつまで軽減されるのかというと、一般住宅の場合は新築住宅を建ててから3年間です。
また、購入する新築住宅が認定長期優良住宅と認定された場合、軽減措置の適用期間は2年間延長されます。

※新築住宅に適用される固定資産税の軽減措置の期限は、2020年までに新築された住宅が対象でした。その後2年間延長となり2020年4月1日~2022年3月31日までに新築された住宅であれば、軽減措置を受けることができます。

消費税

住宅を購入するとなると、建物本体の価格のほか、さまざまな費用に対して消費税がかかります。
住宅の購入にあたって、消費税の発生する主な費用は以下のとおりです。

<消費税が発生する主な費用>
・住宅の建物本体(土地は非課税となります)
・外構工事、冷暖房工事などの別途必要となる工事
・不動産仲介手数料
・金融機関による融資手数料
・登記手数料
・家具・家電用品の購入費用
・引越し費用 など

2020年4月現在の消費税率は10%です。

新築購入時に受けられる税金の控除や助成金、補助金について

新築を購入するにあたって、税金が控除される制度や、助成金や補助金がもらえる制度があることはご存じでしょうか。ここでは、控除や助成金、補助金の内容と、それらを受けるための条件をご紹介します。

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

住宅借入金等特別控除とは、住宅ローンを利用して新築住宅を建設または購入、もしくは既存住宅の増改築をした場合に、所得税額から一定額が控除される制度です。
住宅借入金等特別控除で受けられる控除額は、以下の式で算出できます。

<住宅借入金等特別控除額の計算式>
控除額=毎年の住宅ローンの年末残高等×1%
(控除限度額40万円、認定住宅の場合は50万円)

住宅ローン控除を受けるためには、1年目のみ確定申告をしなければなりません。
2020年3月現在、住宅借入金等特別控除は2021年12月31日までに居住した場合に適用される予定ですが、今後も延長が見込まれています。詳しい適用期間や要件については、国税庁のページでご確認ください。

住宅を新築又は新築住宅を購入した場合(住宅借入金等特別控除)

次世代住宅ポイント制度

次世代住宅ポイント制度とは、一定の省エネ性や耐震性、バリアフリー性能などを満たす住宅の新築やリフォームをした場合に、さまざまな商品と交換できるポイントをもらえる制度です。
1戸あたり、最大35万ポイントが発行されます。
ポイント発行申請は、原則として対象住宅の所有者が行いますが、建築工事の請負事業者や分譲事業者が代理で行うことも可能です。

すまい給付金

26_03.jpg

すまい給付金とは、消費税率引き上げによる、住宅取得の負担を軽減することを主な目的として設けられた制度です。購入時の消費税率と収入額の目安に応じて、給付額が決まります。
申請は、取得した住宅への居住後、給付申請書に必要書類を添付して、住宅取得者が行います。すまい給付金申請窓口へ申請書を持っていくか、すまい給付金事務局へ郵送することで申請が可能です。

市町村住宅関連補助金制度

市町村住宅関連補助金制度とは、国で実施する住宅補助制度とは別に、都道府県や市町村が独自に行う住宅関連の支援制度です。
自治体によっては、いくつかの部署で複数の支援制度を取り扱うところもあるため、まずはお住まいの自治体の支援制度にはどんなものがあるか、チェックしてみましょう。

新築住宅を購入するときは国のお得な制度を確認しよう

新築住宅を購入するにあたっては、さまざまな税金に関して、軽減措置や補助金を受けられる制度があります。
金銭的負担が軽くなることもありますので、税金が軽減されるお得な制度についてあらかじめ確認し、新築住宅の購入に備えましょう。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

Top