リフォームローンを組みたい人必見 リフォーム市場をバックアップする国の税制優遇・補助金について


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住宅ストックの問題や少子高齢化問題を受け、国はリフォームによる既存住宅の活用を推進するため、さまざまな取り組みを行っています。国のバックアップを受け、リフォームの市場規模は2010年より6兆円台に突入。現在も、安定した上昇トレンドを維持しています。

リフォーム市場はさらに活性化すると見られ、消費者の需要も増加する見込みです。ここでは、国が推進している、リフォームに関する優遇制度について見ていきましょう。

中古住宅・リフォームトータルプランとは?

リフォーム市場のバックアップの一環として、国土交通省は2011年に「中古住宅・リフォームトータルプラン」を公表しました。概要は以下のとおりです。

・消費者がリフォームローンを組みやすくすること
・リフォーム技術およびリフォーム住宅の品質を向上させること

目標として、人々が無理のない範囲で、ニーズに応じた住まいを確保することや、中古物件に住み替えることで、ライフサイクルに応じて住まいを確保できることなどを掲げています。
背景にあるのは、2010年に閣議決定となった「新成長戦略」です。この戦略の目的は、少子高齢化に伴う人口減少を受け、住宅市場の中心を新設住宅の建設から既存住宅の流通にシフトさせることでした。

リフォームの優遇制度とは?

リフォームの優遇制度には税制優遇と補助金があります。2つの内容を詳しく説明するのでリフォームを検討されている人は、条件などチェックしておきましょう。

リフォームの税制優遇制度

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リフォームを行う際、さまざまな税制優遇制度が設けられています。ここでは、2020年7月現在で受けられる、税制優遇制度の一部を見ていきましょう。

■リフォームの税制優遇の内容と条件

税制優遇 内容 条件
省エネ特定改修工事特別控除制度
※2021年3月31日まで
決められた要件を満たす省エネ改修工事(一般断熱改修工事)を行った場合、控除対象限度額を上限として、所得税が10%控除される(限度額250万円)
※併せて太陽光発電設備を設置する場合は350万円
・省エネ改修工事を行った者がみずから所有し、居住する住宅であること(賃貸住宅は除く)
・改修工事が完了した日から6ヵ月以内に住居として用いること
・改修工事後の家屋の床面積が50平方メートル以上であり、その2分の1以上が専ら自己の居住の用に供されるものであること
・自己の居住の用に供される部分の工事費用の額が、改修工事の総額の2分の1以上であること
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
※2021年12月31日まで
住宅ローン等の年末残高をもとに計算した金額が、所得税額から控除される ・居住目的の家屋に対する増改築またはリフォームであること
・工事日から6ヵ月以内に居住し、減税の適用を受ける各年の年末まで住んでいること
・工事費用が100万円以上で、その2分の1以上が居住用部分の工事費用であること
※中古住宅を新規購入でリフォームする場合は、築後20年以内の木造住宅もしくは耐火建築物の場合は築後25年以内であること
認定低炭素住宅に対する税の特例 住宅ローン控除での所得税控除額が増額される ・認定低炭素住宅にリフォームした場合
・居住の用に供する家屋であること
・住宅の引渡しまたは工事完了から6ヵ月以内に住居として用いる住居として用いること
・床面積が50平方メートル以上あること
・店舗等併用住宅の場合は、床面積の2分の1以上が居住用であること
・借入金の償還期間が10年以上あること
・合計所得金額が3,000万円以下であること

リフォームにおいても住宅ローン控除を受けることができます。ただし、住宅ローン控除を受けるには、築年数など細かい条件を満たす必要がありますので、リフォームを依頼する会社や施工業者に確認してみましょう。

リフォームの補助金制度

上記の税制優遇に加え、リフォームで受けられる補助金制度にはさまざまな種類があります。それぞれどのような制度であるのか、内容と条件をまとめました(2020年7月現在)。

■リフォームの補助金制度の内容と条件

補助金制度 内容 条件
全国共通のリフォーム補助金 上限を20万円とし、工事費用に対し7~9割を補助 要支援・要介護と自治体から認定された人
※2020年以降の内容は変更となる可能性もあります

断熱パネルおよび潜熱蓄熱建材を設置するリフォームをする場合
※(上記リフォームと合わせて行う場合に限り)断熱材の施工、断熱タイプの玄関ドア・窓・ガラスを用いたリフォーム、調湿建材を使用するリフォームも対象
自治体が実施する補助金制度 耐震改修工事やバリアフリー化のための改修工事などを補助 自治体によって異なる
長期優良住宅化リフォーム推進事業 性能向上や3世代同居対応のための改修工事などをしたときに、一定額を補助 既存の戸建住宅、共同住宅のいずれも、リフォームを行う場合
※事務所や店舗などの住宅以外の建物は対象外

※2020年7月現在

なお、長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金は、施工業者が国土交通省に申請します。補助金は、施工業者から依頼した顧客に還元される仕組みです。
補助金を受ける方法として、リフォーム費用から差し引かれる場合と、施工業者から現金で受け取る場合があります。

リノベーション協議会の活動でリフォームが身近に

国土交通省は2014年に、住宅リフォーム事業者団体登録制度を創設しました。住宅リフォーム事業者団体登録制度は、住宅リフォーム事業者の運営サポートならびにリフォーム事業に関する情報を消費者へ提供するための制度です。
国土交通省が住宅リフォーム事業者団体登録制度に登録した団体のひとつに、リノベーション協議会があります。リノベーション協議会は、リフォームやリノベーションを普及させる活動を行う団体です。ここでは、リノベーション協議会の活動をご紹介します。

さまざまなリフォーム業者や事例を紹介している

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リノベーション協議会は「RENOVATION PORTAL」というウェブサイトを運営し、消費者向けにリフォーム事業者を検索できるサービスを用意しています。ほかにも、各都道府県のリノベーションやリフォームの事例、リノベーションに関するお役立ち情報を紹介しています。

各種リノベーションイベントを開催

リノベーション協議会は、「RENOVATION EXPO JAPAN」や業界研究セミナーなど、事業者または消費者に向けたイベント・セミナーを開催しています。イベントの目的はリノベーション事業の担い手を育成することのほか、消費者にリフォーム業者を身近に感じてもらうことです。

リフォーム住宅は品質向上でさらに人気に

リフォーム市場は現在、国のバックアップを受け、拡大の最中にあります。業者間の競争も生まれ、リフォーム住宅の品質は今後さらに向上する見込みです。
リフォームであれば新築より低予算で、スペックの高い住まいを実現できます。新しい住宅を手に入れる手法として、リフォームの需要は今後さらに増加するでしょう。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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