マンションは日当たりで選ぶ!住戸の向きの特徴を解説


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マンション選びの基準はさまざまですが、重要なポイントとして挙げる人が多いのが日当たりです。太陽の光が差し込む明るい部屋は、洗濯物が乾きやすかったり、電気代の節約になったりといった現実的なメリットがあることはもちろん、温かく幸せな暮らしをイメージさせてくれることもあって、南向きの部屋はどのマンションでも非常に人気があります。

しかし、自分たちにどの方角が適しているのかは、生活スタイルによって異なり、一概に南向きがベストとはいえません。ここでは、住戸の向きの特徴について解説します。

日当たりは物件価格にも影響する

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新築分譲マンションには、価格設定に影響を与える条件があります。同じ建物の同じ階、同じ広さであっても価格に差がつくのは、この条件にもとづいて販売価格が設定されているからです。主な条件は次の4つです。

<価格設定に影響を与える条件>

  • 住戸の広さ
  • 住戸の位置
  • 住戸の向き
  • 住戸の階数

マンションの住戸のほとんどは中住戸で窓が少ないため、メインの採光窓やベランダがどの方角を向いているか、家族が主に暮らす部屋がどの位置にあるかということは、価格に大きく影響する要素です。
基本的に、最も価格が高いのは南向きの部屋で、次いで東、西、北という順序が一般的でしょう。日当たりは、室内の明るさや気温を大きく左右するため、継続的に太陽光が入る南向きは価格が高くなる傾向があります。

南向きの部屋の特徴

メリット

・日があたる時間が長い
・冬も最低限の暖房で済み、電気代が抑えられる

デメリット

・家具や床が日焼けしやすい
・夏は室温が上がりすぎる場合がある

南向きの部屋は、日中室内に日があたる時間が長いのが特徴です。寒い冬も、長い時間太陽光が差し込むので最低限の暖房で済み、電気代も抑えることができるでしょう。一年を通じて快適に暮らせるのがメリットです。

ただし、日中、仕事などで留守にしている時間が長い場合、そのメリットを十分に享受できないかもしれません。昼間は自宅で過ごすことが多いという人におすすめです。

その一方で、家具や床が日焼けしやすい、夏は室内の温度が上がりすぎる可能性があるといったデメリットもあります。それらを踏まえて判断するようにしましょう。

東向きの部屋の特徴

メリット

・朝の日当たりがよい
・夏は快適に過ごせる

デメリット

・午後は日があまり差し込まないので、部屋の中が比較的早く暗くなる
・冬は冷え込みやすい

東向きの部屋は、朝の日当たりが良いのが最大の特徴でありメリットです。早起きして仕事に行く人や、朝早いうちに家事を済ませたい人など、朝型のライフスタイルの人には最適といえるでしょう。

午後は日があまり差し込まないので、部屋の中が比較的早く暗くなり、夏は快適に過ごせる反面、冬場は冷え込みがちです。

西向きの部屋の特徴

メリット

・気温が下がり始める夕方でも西日が入って暖かい

デメリット

・夏は気温が上がりすぎる

西向きの部屋は、午後から日当たりが良くなっていきます。起床時間が遅めの人、昼夜逆転の仕事をしている人にはおすすめです。気温が下がり始める夕方でも、西日が入って部屋が暖かいので快適に過ごせます。特に冬の午後は、暖房いらずの時間が長くなるでしょう。ベランダの向きや階層によっては、美しい夕日が見られることもあります。

北向きの部屋の特徴

メリット

・夏は涼しく過ごしやすい
・家具や床が日焼けしにくい

デメリット

・冬は部屋が暖まりにくい

一般的に日が入りにくく寒い、暗いという印象で敬遠されがちな北向きの部屋。しかし、冬こそ寒さを感じるものの、空調が整っていればそれほど問題はありません。むしろ、夏は涼しく過ごしやすいでしょう。家具や床、カーテンなどが日焼けして傷む可能性が低いこともメリットです。

日当たりが悪いというイメージが先行して、南向きの部屋に比べてかなり価格が抑えられていますので、日中は仕事でほとんど部屋にいないという人や、部屋での昼間の生活時間が短い人には特におすすめです。

日当たりの良し悪しを見るときのチェックポイント

実際の物件で日当たりの良し悪しを確認する際は、方角以外に次の3つを忘れずにチェックしましょう。

日差しを遮る建物などはないか

日当たりの良し悪しは、方角だけで決まるものではありません。一般的に日当たりが良いとして人気の南向きの部屋でも、周辺環境によっては日差しが入ってこない場合があります。

日当たりを左右する最も大きな要因は、周辺の建物です。大きな建物がマンション周辺に立っている場合、部屋との位置関係や建物の高さ、形状によっては日差しが遮られるので、必ず確認しましょう。部屋の南側に、高く幅のある建物が立っている場合は、日が入ってこない可能性があります。

部屋の南側にある建物の形状が縦に細長ければ、作られる影も細く、それほど日照に影響はないかもしれません。できれば、今の環境だけでなく、将来的に大きな建物が立つ可能性がある空き地や、平置き駐車場などの位置もチェックしておくとよいでしょう。

併せて、低層階では周辺の建物の高さだけでなく、距離感にも目を向けましょう。それほど高くない建物でも、距離によっては室内に影を落とすことがあります。

採光性を十分に確保できる間取りか

住戸の間取りや、角住戸か中住戸かによっても日当たりは違ってきます。角住戸は、採光面が多いので日があたる部屋も多くなります。一方、中住戸は、採光面が限られているため、メインの採光窓やバルコニーの位置によって日当たりが大きく左右されます。

また、部屋の間取りも重要です。縦長のリビングは奥まで光が届きにくいため、暗く感じることがあるかもしれません。間口が広く横長のリビングは、開口部を広くとることができ、比較的明るく感じられます。

バルコニーの奥行きはどれくらいか

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広いバルコニーは、洗濯物を多く干すことができたり、さまざまな用途に使うことができたりと便利な面もありますが、奥行きの広さは日当たりに影響します。

バルコニーの奥行きがありすぎると、太陽の位置によっては、室内の奥まで日差しが届かない可能性があるからです。

日当たりが悪い部屋における対策

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マンションの雰囲気や間取りも、住戸の階数もすべて気に入ったものの、日当たりだけが悪いという場合、ちょっとした工夫で部屋を明るく、住みやすく改善することができます。

明るい色のインテリアを使う

明るい色のインテリアは、部屋全体の印象を明るくしてくれます。モノトーンなど暗い色のインテリアは、室内をシックで落ち着いた雰囲気にしてくれますが、日当たりが悪い部屋では薄暗い印象が増してしまうので要注意。白やパステルカラーなどを意識的に入れるといいでしょう。

明るい照明をつける

暗い部屋には、明るい照明をつけるのが基本。光が差し込まない場所に照明をつけたり、リビングの照明を増やしたりするのも効果的。LEDなど明るい照明をつけるようにしましょう。

ドアやカーテンを工夫する

ドアやカーテンを工夫することで、部屋の明るさも変わってきます。例えば、リビングに続く廊下が薄暗い場合、リビングとのあいだを仕切るドアにガラスを入れると、廊下にも光が差し込みます。また、カーテンも光を通しやすい素材 の物を選ぶと効果的。リネンやコットンであれば、柔らかい光になります。光の届き方を見極めて、素材や家具の配置を工夫してみましょう。

マンションの方角選びはライフスタイルに合わせて

マンションを購入するとき、どの方角が良いかは、購入する人のライフスタイルによって違ってきます。昼間は共働きで誰も家にいないなら、人気が高い南向きより、日当たりが悪くても北向きのほうがいいかもしれません。
方角は価格にも大きく影響する部分なので、単に日当たりが良いというだけではなく、いつどのように光が入るのが望ましいかをよく考えて決めることをおすすめします。

 

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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