阪神・淡路大震災や東日本大震災など、日本ではこれまで何度も大地震が発生してきました。
地震はいつ起こるか明確に予想することが難しいため、日頃から防災を意識して何かしらの対策をしておくことが大切です。
ここでは、大地震の際にマンションで実際に起こることと、マンションでの防災対策について解説します。
大地震の際にマンションで起こること
大きな地震が発生すると、さまざまなトラブルが起こります。
それが自分の住んでいるマンションで起こった場合、どんなことが起こり、どのような対応をしたら良いのでしょうか。
家具の転倒や照明の落下から身を守る
耐震構造で建てられたマンションの場合、地震による揺れは上の階にいくほど大きくなります。
1981年6月1日から適用されている新耐震基準を満たしていれば、震度6強から震度7の地震でも倒壊しないとされていますが、上層階では部屋全体が揺れている時間がより長くなるため、不安は強くなるかもしれません。
免震構造で建てられたマンションでは、地震による揺れは軽減されます。上層階であっても、揺れはさほど変わりません。
マンション内にいるときに地震が発生したら、家具の転倒や照明の落下から身を守るために、まずは丈夫な机の下などに隠れましょう。
耐震構造で建てられたマンションの高層階では、揺れが大きく長くなることもあり、身を守る場所を普段から意識しながら生活することが大切です。
また、家具が倒れないように転倒防止用の金具をつけたり、耐震マットを設置したりするなどの備えも怠らないようにしましょう。
最寄りの階でエレベーターを停止させる
特に高層マンションでは、エレベーターを使う頻度が高くなります。
エレベーターに乗っている際に大地震が起きると、最悪の場合はエレベーターの中に閉じ込められる可能性もあります。
そうなると、自力での脱出が困難になり、長時間身動きが取れなくなることも。
もし、エレベーターに乗っているときに強い揺れを感じたら、エレベーターをすぐに最寄りの階で停止させるようにしましょう。
停止したら、すみやかにエレベーターから降りるようにしてください。
万が一、エレベーターの中に閉じ込められてしまった場合には、非常通話ボタンを押して助けを求めるようにしましょう。
揺れが収まって建物から避難する場合は、エレベーターではなく階段もしくは非常階段を使います。エレベーターが動いていたとしても、余震が起きたときに閉じ込められることがあるかもしれません。
防災グッズを取り出しやすい場所にそろえておく
大地震が起こった際には、ライフラインがストップしてしまうことがあります。
電気、ガス、水道など、今まで当たり前に使っていたものが使用できなくなると、食事や入浴などの日常生活に支障をきたし、健康を害することも考えられます。
そうなったときにも最低限の生活ができるように、防災グッズをそろえておく必要があります。水や非常食、救急セット、携帯ラジオ、ヘルメットなどをリュックサックにひとまとめにして、いつでも取り出しやすい場所に保管しておきましょう。
消火器の場所を把握し、使い方を学んでおく
地震発生時にストーブなどの暖房機器をつけていると、倒れてカーペットなどに引火し、火災を引き起こすことがあります。
マンションは戸建てと異なり、多くの人が共同で暮らしている集合住宅です。
火災になると他の部屋にまで被害が拡大してしまうおそれもあります。
地震火災においても初期消火は大切です。
マンションでは、建物内に消火器の設置が義務づけられていますので、初期段階で消火できるように対応しましょう。
いざというときに使い方がわからないということがないよう、消火器の使い方を事前に理解しておくことも重要です。
マンションでの災害で備えておきたいこと
大地震のような災害が起こった場合、マンションでも戸建てでも基本的な初期対応は変わりません。
ここでは、マンションで生活する上で、普段から備えておきたいポイントを2つご紹介します。
防災訓練に参加する
マンションで実施されている防災訓練には、できるだけ参加するようにしましょう。
非常階段を実際に使ったり、避難場所の位置を確認したりすることで、避難をイメージできるようになります。
また、マンションのような集合住宅では、同じマンションであっても、他の住人とコミュニケーションをとる機会は少なくなっている傾向があります。
防災訓練を機に顔見知りになってコミュニティを形成できるようになれば、災害時に助け合うこともできるでしょう。
地震保険の加入を検討する
地震保険とは、居住している建物が地震などによる被害を受けた場合に、それを補償する保険です。地震だけでなく噴火や津波も対象となり、被災後の生活再建が目的です。地震保険でおりる保険金は、その用途を限定していないため、生活再建に必要な目的に使うことができます。
例えば、マンションにはもう住めないほどの被害を受けた場合、新しい住まいを探す必要があります。そうなった場合に、マンションの住宅ローンと新しい住まいのローンの両方を支払わなければならない二重ローンに陥ることがあります。そこに地震保険からおりた保険金を充当させられれば、生活再建がより早く進められるかもしれません。
ただし、地震保険は単独で加入することができず、必ず火災保険と合わせて加入することになります。
万が一に備えて、地震保険に加入することも検討してみるといいかもしれません。
マンションだからこその備えを
地震が起きたときの対応は、基本的にはマンションでも戸建てでも変わりませんが、集合住宅であるマンションだからこそ備えておくべきことがあります。
マンションの特性を理解し、それに備えておくことで、いざというときに適切な対応がとれるようにしておきましょう。
監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。