マンションの床リフォームで失敗しない 費用相場・業者選定・注意点について


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カーペットからフローリングに変えたり、古いフローリングを張り替えたりと、マンションの床をリフォームする際には、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。
マンションの床リフォームに適した床材や、管理規約による制限、業者選びのコツについてご紹介します。

マンションの床リフォームの流れ

まず、マンションの床リフォームの流れから把握しておきしょう。新しいフローリングにするときは、現状の床材から張り替える場合と、既存のフローリング材の上から重ね張りする場合があります。それぞれの施工の流れを説明します。

床材を張り替えてフローリングにする施工の流れ

床材を張り替えてフローリングにする場合は、以下の工程で行います。

  1. 現在の床材をはがす
  2. 下地造作をする
  3. フローリング材を敷き詰めて部屋の形に合わせて切断する
  4. フローリング材を張る
  5. 巾木(はばき)を取りつけて完成

下地造作は、主に和室の畳からフローリングにリフォームする際、ほかの部屋との床の高さを合わせる作業です。和室は畳の厚さを考慮に入れて床の位置が下がっているため、下地材や置き床を取り付けて床の高さを調節します。フローリングからフローリングに張り替える場合は必要ありません。

巾木とは、壁と床の境目に取りつける部材のことで、床と壁の隙間を隠し、壁を守る役割があります。

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フローリングを重ね張りする施工の流れ

フローリングの重ね張りは、以下の工程で行います。

  1. 現状の巾木を取り外す
  2. 新しいフローリング材をどのように配置するかを考え、仮置きする
  3. 新しいフローリング材の裏または既存フローリング材の表に接着剤をつける
  4. 既存のフローリング材の上に、新しいフローリング材を張りつける
  5. すべてのフローリング材を張りつけ、新しい巾木を取りつけて完成

新しいフローリング材は部屋の広さや形に合わせ、場合によっては一部をカットするなどしてはめ込みます。全体の見栄えが悪くならないようにするには、仮置きの工程でしっかりとフローリング材の配置を考え、計算しておくことが大切です。

マンションの床リフォームの費用と価格相場

床リフォームにどれくらいの費用がかかるのかも気になるところです。ケース別に価格相場を見ていきましょう。ここでの費用は、複数の板を接着して作られる、複合(合板)フローリングを想定しています。

カーペットからフローリングへ

6畳間のカーペットの床からフローリングへの張り替えの場合、価格相場は8万~11万円程度です。ただし、マンションでは管理規約により防音仕様は必須となっていることがほとんどなので、防音仕様にすると4万~5万円程度の上乗せとなり、12万~16万円程度が価格相場となります。

畳からフローリングへ

6畳間の畳敷きをフローリングにリフォームする場合、防音仕様込みの価格相場は19万~22万円程度になります。和室から洋室にする際には、高さを調整するための下地造作を行うため、その費用がかかります。

フローリングからフローリングに張り替える場合

6畳間のフローリングから新しいフローリングに張り替える場合、防音仕様込みの価格相場は12万~16万円程度です。

フローリングからフローリングに重ね張りする場合

6畳間のフローリングの上に重ね張りする場合、防音仕様込みの価格相場は11万~14万円程度です。最も安価なのがこのフローリングの重ね張りパターンになります。

マンションの床リフォームに適した床材

マンションの床リフォームに適した床材は、フローリングだけではありません。フローリングも含め、どのような床材があるのかをご紹介します。

複合(合板)フローリング

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現在、床材の主流となっているフローリングですが、その中でもスタンダードなのが複合(合板)フローリングです。複数の合板を接着剤で張り合わせ、さらに表面に天然木の薄板(ツキ板)が張りつけられています。

合板なので、反りや伸縮が生じにくいという特徴があります。表面の薄板によって色や木目が変わり、バリエーションも豊富です。傷に強い、防音性が高い、汚れにくいといった特徴を持つ製品もあります。
一方、湿気に弱いのはデメリットといえるでしょう。なお、複合(合板)フローリングの寿命は10~20年といわれています。

無垢フローリング

無垢フローリングとは、無垢材を使ったフローリングです。丸太から切り出した自然の状態の木材を無垢材といい、パイン、ヒノキ、スギ、オークなどの種類が無垢材フローリングとして使われます。

無垢フローリングの特徴は、ナチュラルな木のぬくもりが感じられること。また、シックハウス症候群などにもなりにくいといわれています。さらに、無垢材自体に寿命はないといえるほど長く使うことが可能です。なお、価格は複合(合板)フローリングより高くなります。

フロアタイル

フロアタイルは、木目調、石目調などの塩化ビニール素材のタイル床材です。木目調のフロアタイルには複合(合板)フローリングを模した物や、無垢フローリングを模した物もあります。石目調のフロアタイルには、大理石や御影石のような柄も。

フロアタイルは特殊加工されているため耐久性に優れ、手入れも楽です。フローリングの上から重ね張りできることもメリットでしょう。

クッションフロア

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クッションフロアも塩化ビニール素材ですが、タイル状ではなく2m程度のシート状床材です。マンション用には4層構造のやわらかい踏み心地のタイプがよく使われます。フロアタイルと同じく木目調や石目調がありますが、質感はソフトでフローリングとは異なります。

水気に強く、継ぎ目もほとんど目立たないことから、キッチン、洗面所、トイレなどの水回りの床に使うことが一般的です。価格は紹介した中で、最も安価になります。

マンションの床リフォームの注意点

ほとんどのマンションでは、階下への騒音トラブルを防ぐ目的で、遮音等級による制限を設けています。床リフォームで新たにフローリングにする場合は、この遮音等級による規定を満たすことが求められます。マンションの管理規約や使用細則に記されていますので、確認しておきましょう。

遮音等級とは、マンションの上階の床で生じる音が下階でどの程度聞こえるかなど、建物の遮音性能を示す指標です。フローリングの遮音性能はL等級またはL値という数字で表され、管理規約や使用細則には「L-45(軽量音は小さく聞こえる、重量音は意識するほどではない)以上」などと記されています。

床リフォームの工事そのものも、実施するには「下階や近隣住人の許可を得て管理組合に申請する」などと規定されていることがあります。たとえ規定がなくても、リフォーム前には周辺世帯に挨拶しておくのがマナーといえるでしょう。

マンション床リフォームの業者選びのコツ

では、マンションの床リフォームの業者は、どうやって選べば良いのでしょうか。リフォームはハウスメーカーのリフォーム部門やリフォーム会社、地元工務店、リフォーム専業会社、インテリアショップ・家具メーカー、資材専門店など、さまざまな業者が行っています。

床リフォームを依頼するなら、それらの中から施工実績が豊富な業者を探しましょう。できるだけマンションの床リフォームを多く手掛けている業者を見つけてください。

複数の業者に見積もりを依頼して検討

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床リフォームを依頼する前に、見積もりを作ってもらい、担当者と話をして感触を確かめることも重要です。見積もり内容がわかりやすいか、気持ち良く相談できそうか、技術力が高く信頼ができそうかといった点がポイントになります。複数の業者に見積もりをして交渉すれば、価格が下がる可能性もあります。

ただし、あまり安易に値下げを提案してくる業者は要注意です。床リフォームで手抜き工事や欠陥工事をされると、床材がはがれる、反る、変形するといった不具合が生じてしまいます。1年程度の保証期間が設けられているかどうかも必ずチェックしてください。

床リフォームはしっかり計画を立てて慎重に

マンションの床リフォームは、6畳間の畳をフローリングにする場合で19万~22万円程度かかります。決して安い価格ではないので、リフォームの種類の選択、床材選び、業者選びは慎重に行ってください。

さらに、防音・遮音性能に関するマンションの管理規約も確認しなくてはなりません。時間的な余裕を持って計画を立て、満足できる床リフォームを行いましょう。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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