マンション管理組合の役割と目的は?理事会の仕組みと業務、総会についても解説


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分譲マンションを購入すると、すべての区分所有者はマンションの管理組合の組合員になります。また通常、年1回開催される総会に出席し、理事会の役員に選任されれば、その業務に携わることになります。

管理組合、そして理事会や総会とは、何のために存在しているのでしょうか。管理組合の役割や目的について解説します。

マンションの管理組合とは?

マンションの管理組合とは、そのマンションの区分所有者(住戸の購入者)全員で構成される、マンションの維持・管理を行うための自主管理組織です。
分譲マンションを購入すると、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)によって、自動的に購入者全員が管理組合員になります。
まずは、マンションの管理組合の目的や業務についてご紹介します。

管理組合の目的

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管理組合の目的は、マンションの共用部分を維持・管理すること。つまり、快適な住環境を確保することと、マンションの資産価値を向上させることといえるでしょう。
マンションの共用部分とは、エントランス、エレベーター、廊下、階段、ごみ置場、駐車場・自転車置場、集会室などが該当します。これに対し、区分所有者が所有する住戸部分を専有部分と呼びます。

なお、玄関ドアの外側部分やバルコニー、専用庭なども共用部分です。共用部分は区分所有者全員の財産となり、これらの清掃、点検、保安、保全などを管理組合が担うことになります。建物の長期修繕計画の作成、修繕積立金の運用なども、管理組合が主体となって担う役割です。

管理組合の主な業務

管理組合が行う業務には、以下のようなものがあります。

・管理組合が管理する敷地や、共用部分の保守・清掃・消毒・ごみ処理・修繕など
・長期修繕計画の作成・変更
・修繕積立金の運用
・官公庁や町内会などとの渉外業務
・広報や連絡業務
・風紀・秩序や防災に関する業務

このように、管理組合が行うべき業務は多岐にわたり、専門的な業務もあるため管理会社に委託するのが一般的です。委託の形態はさまざまで、マンション管理の一切を委託するケース、一部を委託するケースなどがあります。

一部を委託する場合の業務は、管理組合の収入・支出の調定、出納といった基幹事務のほか、理事会や総会の支援業務、受付・点検、報告・連絡などの管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務などが一般的です。

マンションの理事会とは?

管理組合の業務を行っているのが理事会です。理事会は管理組合の業務執行機関で、マンション管理規約や総会の決議にもとづき、管理組合員から数名が理事として選出されて、管理業務に携わります。総会とは組合員(区分所有者)による集会のことであり、マンションの管理組合の意思決定機関です。
理事会は、定例理事会を数ヵ月もしくは月に1回程度開催します。役員の任期は1、2年が一般的です。

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理事会役員の役職

理事会の役職には、次のような役割があります。役員としての任期は1年もしくは2年に設定しているマンションが多いようです。

・理事長
理事長は、管理組合と理事会を代表して業務を統括し、規約や総会の決議にもとづいて業務を遂行する役割を持っています。区分所有法で「管理者」と表記されているのは、一般的には理事長のことです。

・副理事長
副理事長は理事長を補佐し、理事長がやむをえない事情などによって役務を執行できない場合に職務を代行します。

・理事
理事会の構成員は理事と呼ばれます。管理組合員の中から、総会によって選任されます。

・監事
監事は、管理組合の業務の執行や財産状況、理事会の業務状況を監査し、結果を総会に報告します。不正があると認められるときは、臨時総会を招集できます。監事は管理組合の役員ではありますが、理事会の構成員(理事)ではなく、理事と兼任することもできません。

理事会の主な業務

理事会は業務執行機関として、総会で決議された事項や管理規約で定められた事項を執行します。また、総会で取り上げる総会議案書を作成することも役割のひとつです。

さらに、総会を介さず理事会のみで業務を進められる事項もあります。例えば、総会で付託された事項、決算書・予算書・管理規約・長期修繕計画の素案作成、リフォーム申請の承認・不承認、管理費などの滞納者に対する法的措置の行使などが挙げられます。

総会の役割

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総会は少なくとも年に1回以上開かなくてはなりません。これは、区分所有法で定められており、総会の招集は原則として理事会の理事長(区分所有法では管理者)が行います。
毎年1回以上、定期的に開催される総会は、通常総会と呼ばれます。理事会は通常総会開催の1ヵ月前くらいから、議案書などを作成して準備をします。また、緊急の重要な議案があるときは、臨時総会を開催します。

総会での議案について管理組合員から承認を得るための行為を、決議といいます。決議のうち、出席議決権の過半数が決議要件となる普通決議には、以下のようなものがあります。

・収支決算報告と事業報告の承認
・収支予算と事業計画の承認
・役員の選任または解任
・管理委託契約の変更・更新・解約
・管理会社の変更
・管理費の改定

また、組合員総数および議決権総数の4分の3以上が決議要件となる特別決議には、以下のようなものがあります。

・管理規約の変更
・管理組合法人の成立
・敷地および共用部分などの変更
・建物の2分の1を超える部分が滅失した場合の復旧
・専有部分の使用禁止の請求
・区分所有権の競売の請求
・占有者に対する引渡し請求

また、建物の建て替えも特別決議に該当しますが、そのための決議要件はさらに厳しく、組合員総数および議決権総数の5分の4以上の賛成が必要となります。

理事会の役員は辞退できる?

理事会の役員の選任方法は、組合員からの立候補もしくは輪番制が一般的です。輪番制とは、複数の人が順番を決めて交代で担当する方法です。
輪番制で順番が回ってきても、辞退・拒否することは基本的には可能です。断ったとしてもとがめられる理由は特になく、法令で罰則が科せられるわけでもありません。

しかし、同じマンションに住んでいて、ほかの人は役員を引き受けているのに自分だけ拒否するというのは、協調性に欠ける、責任感に乏しいと思われる可能性はあります。辞退するときには健康上の問題や海外出張などで不在がちといった、何らかの正当な理由が必要です。身勝手な態度が見えれば、ほかの住人からの反感を買ってしまうかもしれません。

なお、役員の辞退者に対しては一定の負担金を課し、不公平感をやわらげるというルールを定めているマンションもあります。反対に、管理組合が独自に役員の報酬額を規定しているケースも見られます。

管理組合に積極的に関わることで、より良い住環境を整える

マンションの管理組合は、マンションの維持・管理を行うための自主管理組織です。そして、すべての区分所有者が管理組合員となります。管理組合の目的は、マンションの共用部分を維持・管理することと、快適な住環境を確保し、マンションの資産価値を向上させることにあります。
管理組合の目的を理解し、より良い住環境を整えるために、積極的に関わることも考えてみましょう。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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