「マンションの1階と5階が空いている」と言われたら、いったいどちらを選択するでしょうか?なんとなく1階は避けるという人もいるかもしれません。しかし、1階には、ほかの階にはない魅力があります。
ここでは、マンション1階の住戸を購入して暮らすメリットとデメリットをご紹介します。また、1階での暮らしは、どのような人に向いているのかもご紹介しますので、マンションの購入を検討される人は、部屋を選ぶ際の知識として役立ててください。
マンション1階のメリット4つ
マンションの1階の住戸を購入し、暮らすことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
マンション1階に住むメリットは下記の4つです。
- 専用庭や専用駐車場がついている場合がある
- 下の階への騒音を気にする必要がない
- 外に出やすく避難がスムーズ
- 価格が手頃な場合が多い
1 専用庭や専用駐車場がついている場合がある
マンションの1階の場合、物件によっては専用庭や専用駐車場などがついていることがあります。
庭で子供やペットを遊ばせたり、植物を育てたりと、戸建て感覚の生活が満喫できる点は、人によっては大きな魅力といえるでしょう。
2 下の階への騒音を気にする必要がない
マンションでは、床と階下の部屋の天井がつながっています。マンションの2階以上の住戸の場合、小さな子供がいる家庭では、下の階への騒音を気にしながら生活をする必要があるでしょう。
しかし、1階であれば下に部屋はありませんから、子供が跳ねたり走ったりしたとしても、下の階の住人に迷惑をかけることはありません。「下の階の人に気を使いながら暮らすのは嫌だ」という場合、1階であれば気楽に過ごすことができるでしょう。
3 外に出やすく避難がスムーズ
1階であれば、玄関を出てエントランスを抜ければ、すぐに外に出られます。エレベーターを待つ必要もありませんし、忘れ物をしたときも、気軽に取りに戻ることができるでしょう。
また、地震や火災が発生したとき、玄関からではなく、ベランダから直接外に出ることも可能です。外に出やすく災害時の避難がスムーズであるという点は、高層階にはないメリットといえます。
4 価格が手頃な場合が多い
同じマンションの中であっても、間取りや階数が違えば、物件の販売価格も変わります。一概にはいえませんが、通常、同じ広さや間取りであれば、高層階よりも低層階のほうが安く売りに出されるケースが多いでしょう。
眺望をそれほど気にしないのであれば、1階など低層階を選んだほうが、安い価格でマンションを買うことができます。
マンション1階のデメリット5つ
マンション1階にはデメリットが多いといわれることがあります。実際にどのような問題があるのか、確認しておきましょう。
マンション1階に住むデメリットは下記の5つです。
- プライバシーが守られない可能性がある
- 外部から侵入しやすい
- 日当たりが良くない
- 道路などの騒音が気になってしまう
- 室内に虫が入りやすい
1 プライバシーが守られない可能性がある
マンションの1階で、特に道路までの距離が近く、道路と高さが同じ物件の場合、カーテンを開けると中が丸見えになってしまうということがあります。プライバシーを保つためには、道路より建物が高くなっていたり、植木で目隠しされていたりする物件を選ぶ必要があるでしょう。
2 外部から侵入しやすい
マンションの1階と高層階を比べた場合、やはり1階は外部から侵入しやすいと考えられます。
特に、道路と高さが同じ1階に住む場合、自分で防犯対策をする必要があるでしょう。
3 日当たりが良くない
マンションの周辺に高い建物がある場合、1階をはじめとした低層階は、日当たりが悪くなってしまいます。
日当たりの悪さに加え、物件によっては下に住戸がなく地面に近いため、冬場はほかの階の部屋よりも寒くなることがあるでしょう。
4 道路などの騒音が気になってしまう
道路が近い1階の部屋では、車などの音が気になってしまうことがあるでしょう。
また、近隣に消防署や踏切などがある場合、サイレンや遮断器の下りる音が気になることもあります。
5 室内に虫が入りやすい
1階の場合、高層階に比べて虫が入りやすい点もデメリットといえるでしょう。
虫の発生源は、地上に近い場所に多いです。また、虫は強風の吹く高い場所までたどり着くのが難しいため、高層階ほど虫が少なくなります。その点、1階など低層階の部屋は虫が侵入しやすい環境にあるといえます。
マンションの1階が向いている人
前述のメリットとデメリットを踏まえ、マンション1階での暮らしは、どのような人に向いているのでしょうか。1階の物件が適している家庭や、おすすめの人の特徴をご紹介します。
小さな子供がいる家庭
小さい子供がいて、走り回る音が騒音トラブルにつながらないか心配という場合、マンションの1階はおすすめの物件です。庭つきであれば外で遊ばせたり、植物を育てたりすることもできるでしょう。
災害時、スムーズに避難できる安心感が欲しい人
災害時など、避難の必要性が出てきたとき、エレベーターが使えないこともあるでしょう。「高層階だと、地震のとき避難できるか、不安になってしまう」という人は、スムーズに避難できる1階を検討する価値があるといえます。特に足腰が弱い高齢者の場合、緊急時に避難できなくなってしまうリスクを減らせるという点で、1階はおすすめです。
購入価格を抑えて好条件のマンションに住みたい人
駅近の好立地に建てられているスペックの高いマンションや、オートロックや宅配ボックスといった設備が充実しているハイクオリティなマンションに憧れる人もいるでしょう。ジムやプールが併設されたホテルライクな物件も魅力です。
とはいえ、好立地で設備が充実したマンションは、物件価格もそれだけ高額になります。その点、1階であれば、ほかの階より、ある程度価格が安く設定されている場合があるでしょう。
好条件のマンションを買いたいけれど、費用は抑えたいという場合は、1階も視野に入れて部屋を選ぶのがおすすめです。
マンションの1階は他階にない魅力もある
マンションの1階には、防犯面や日当たりといった問題点もありますが、すぐに外に出られる、戸建て感覚で住めるなど、ほかの階にはない特徴があります。特に小さな子供がいる家庭など、1階に住むメリットは大きいといえるでしょう。
ほかの階に比べて価格が低い場合も多いため、マンションを購入したいけどできる限り費用を抑えたいという人は、1階を検討してみてはいかがでしょうか。
監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。