マンションのエントランスの役割は?チェックすべきポイントについて


マンションを購入するにあたって、立地や日当たり、間取り、価格は誰もが重視するところでしょう。
しかし、毎日利用する場所にもかかわらず、エントランスについてはあまり気にしなかったという人は、意外と多いのではないでしょうか。
エントランスもマンションの重要な一部。住戸部分だけでなく、エントランスもマンション選びの際にはしっかりチェックしておきたいものです。ここでは、マンションのエントランスの役割とチェックポイントについてご紹介します。

印象を決めるだけではない、マンションのエントランスの役割3つ

マンションのエントランスとは、マンションの正面玄関にあたる出入り口を指します。来訪者が最初に通る場所であり、建物全体の印象を決定づけるマンションの顔ともいえる部分です。
マンションによっては、出入り口を入ってすぐに広いスペースがあり、待ち合わせなどに使えるソファが設けられていることもありますが、このようなロビーやホールといわれる部分もエントランスに含まれます。ロビーの広さや天井の高さ、床に使われている素材、デザインなどによって、マンションの印象は大きく変わります。
まずは、エントランス役割として考えられる次の3点について見ていきましょう。

  • 外気が直接マンション内に流れ込むのを防ぐ
  • 防犯対策
  • 利便性の向上

外気が直接マンション内に流れ込むのを防ぐ

分譲マンションの多くは、外からロビーに入る際にまず扉が1枚あり、奥へ進むともう1枚扉がある二重構造になっています。比較的新しいマンションであれば、最初の扉は自動ドアで、奥の扉はオートロックになっているものが多く見られます。

この扉と扉のあいだの空間は風除室と呼ばれるもので、外気や風が直接マンション内に流れ込むのを防ぐために設けられています。風除室は、夏の暑い空気や冬の寒い空気がマンションに入ってくるのを防ぎ、快適な室温を保つ働きをしています。

風除室

防犯対策

一般的な分譲マンションでは、風除室までは誰でも入ることができますが、その先へはオートロックとなっており、勝手に入ることができません。不審者が入れない造りになっていることで、防犯対策のひとつとなっています。

マンションによっては、エントランスに防犯カメラや管理人室、コンシェルジュカウンターなどが設けられている場合もあり、さらに安心な造りとなっています。

利便性の向上

一般的なマンションのエントランスには、各住戸の郵便受けが設置されていますが、さらに利便性を向上させる設備が設置されている場合があります。
例えば、マンションによっては、宅配ボックスが設置されていたり、大きな荷物を運ぶためのカートや台車までが用意されていたりします。

マンションを購入する際のエントランスのチェックポイント

マンションのエントランスには、上記のように便利な設備が設置されています。そのため、マンション購入時には、住戸部分だけでなく、エントランスの状態もしっかりチェックするといいでしょう。主なチェックポイントは以下のとおりです。

  • オートロックなど防犯機能は十分か
  • 風除室があるかどうか
  • 宅配ボックスやダストボックスなどの設備があるか
  • 日頃の管理状況は問題ないか
  • エントランス全体のデザイン性
  • 全体のバランス

それぞれについて解説していきます。

オートロックなど防犯機能は十分か

マンションの出入り口であるエントランスの防犯機能が十分かどうかは、個人の住宅でいえば玄関の鍵がしっかりしているかどうかに相当する重要な問題です。比較的新しいマンションでは、二重、三重のオートロックが施され、防犯カメラも設置されていることが多くなっています。
しかし、中古マンションでは、それだけの防犯設備がない場合もありますので、特に中古マンションを買う場合は、オートロックの有無についてしっかり確認するのがおすすめです。

風除室があるかどうか

マンションの快適性を見るポイントのひとつとしては、風除室かあるかどうかは大事なところです。風除室があれば、外気やゴミ・ほこりなどが直接マンション内に入ってこないため、マンション内は快適に保たれます。
また、屋根つきの車寄せもあると便利です。荷物が多いときや雨の場合でも、車の乗り降りがスムーズになります。

宅配ボックスやダストボックスなどの設備があるか

エントランスにどんな設備があるのかによって、暮らしの利便性は大きく変わります。中でも一番にチェックしたいのは、不在時でも荷物を受け取れる宅配ボックスの有無です。
特に、一人暮らしや共働きなどで家を空けている時間が長い場合は、宅配ボックスがあると非常に便利です。使い勝手の良さを求めるなら、設置されているかだけでなく、入居者に対して何個設置されているのか、大きさは十分か、生鮮食品なども受け取れる冷蔵機能がついたものかどうかなどまで確認しておきましょう。

このほか、24時間いつでもゴミが捨てられるダストボックスやクリーニングの受け渡しロッカー、宅配ボックスから部屋まで荷物を運ぶための台車なども、エントランスにあると便利です。
自分のライフスタイルに合わせて、必要な設備がそろっているかをチェックしましょう。

日頃の管理状況は問題ないか

設備が整っていて豪華な造りのエントランスでも、日頃の管理が悪ければ入居者は不安になります。エントランスの管理状況を知っておくことはとても重要です。
掃除が行き届いているか、照明の電球は切れていないか、エントランス周りの駐輪禁止区域に停められている自転車はないか、設備に不具合はないか、掲示板に騒音や共有スペースでのマナー違反に関する注意書きが貼られていないかなどをチェックすることで、マンションの管理状態を知ることができます。

エントランス全体のデザイン性

マンションのエントランスは毎日使う場所だからこそ、デザイン性を無視することはできません。高級マンションであるほどエントランス周りに使われる素材は豪華になる傾向があり、エントランスをひと目見ただけで、そのマンションのグレードがわかるともいわれます。エントランスがあまりに狭かったり、装飾が簡素だったりすると、マンションのグレードも低く見えてしまうでしょう。

建物の構造上、ホールの広さが限られる場合でも、上部に吹き抜けを造ったり、素材や家具にこだわったりすることで空間を広く見せ、高級感を演出しているマンションも少なくありません。エントランスから受ける印象がマンション全体のデザインに合致しているか否かも、必ずチェックしたいポイントです。

全体のバランス

エントランスをチェックする際は、実際にそのマンションでの暮らしをイメージしながら行うといいでしょう。上記5つのチェックポイントはどれも重要ですが、一番大切なのは住戸の住みやすさも含めたバランスです。
例えば、設備は希望どおりでなかったものの、デザインはとても気に入ったというだけで決めてしまうと、長く住んでいるうちに使いづらさを感じ、後悔することになりかねません。全体のバランスを見て検討しましょう。

■エントランスで確認しておきたいポイント
エントランスで確認しておきたいポイント

エントランスの評価をマンション選びの参考に

マンションのエントランスは、マンションの顔としてマンション全体の印象を決める以外にも、マンション内を快適に保ったり、防犯機能を強化したり、生活を便利にしたりと、さまざまな役割を果たしています。
エントランスにどこまでの機能を求めるかは、ライフスタイルによって異なります。それぞれのライフスタイルに照らして上記のチェックポイントを評価し、自分にとって最適なマンション選びの参考にしてください。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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