オートロックとは、自動的（オート）に施錠（ロック）されるセキュリティシステムのことです。
オートロックつきマンションは、建物内にエントランス（共用玄関）があり、住居エリアに入るには鍵や暗証番号などを用いるか、居住者などに内側から鍵を解除してもらう必要があります。
「オートロックのマンションであれば、セキュリティに優れていて安心」というイメージを抱く人もいるでしょう。もちろん、オートロックつきマンションは、オートロックがついていないマンションよりセキュリティ面でメリットがあるといえます。しかし、オートロックだからといって、犯罪被害に遭う心配が一切ないというわけではありません。
ここでは、オートロックつきマンションで暮らすメリットのほか、安全性を考えるときに意識しておきたい注意点をご紹介します。また、オートロックの種類やそれぞれの特徴も併せてご紹介しますので、これからマンションの物件を探す人はぜひ参考にしてください。
オートロックの種類
一般的なオートロックの種類は下記のとおりになります。
- 集合キー式
- カードキー式
- 暗証番号タイプ
- 指紋認証式
まずは、オートロックの鍵の種類と、それぞれの特徴について見ていきましょう。
集合キー式
集合キー式とは、一般的に居住者それぞれの住戸の鍵を使って、エントランスを解錠するタイプのオートロックを指します。集合キー式は、自分の住戸の鍵とエントランスの鍵を2つ持ち歩かなくてもいい点がメリットといえるでしょう。
なお、集合キー式の場合、管理会社との契約上、合鍵（スペアキー）を作ることが禁止されている場合があります。
カードキー式
オートロックをカードキーによって解錠するタイプを、カードキー式といいます。一般的に、カードキーをセンサーに近づけたり、差し込み口に通したりすることで施錠・解錠ができます。
カードキーは、財布やパスケースに入れておけば持ち運びしやすいことがメリットのひとつといえるでしょう。特に非接触タイプはセンサーに近づけるだけでいいので、施錠・解錠がスムーズといえます。
ただし、カードキーは金属の鍵と比べ、折れたり割れたりするリスクがありますので、取り扱いに注意が必要です。
暗証番号タイプ
暗証番号を入力することで鍵を開けることができるタイプのオートロックもあります。入力式のため、鍵を忘れて外に出てしまったとしても解錠できなくなるという事態が起こりません。
一方、暗証番号を知られてしまうと、オートロックを突破されるというリスクがあります。また、暗証番号を忘れたり、複数回押し間違えたりすることで、ロックがかかってしまうといったリスクもあります。
指紋認証式
指紋認証式とは、指紋を認証することにより施錠・解錠される仕組みのオートロックのことで、複製されたり紛失したりするリスクがありません。また、暗証番号を覚えておく必要がない点もメリットといえるでしょう。ほかのタイプのオートロックと比べて、導入費用が高額になります。
オートロックつきマンションのメリット
オートロックつきマンションには、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
外部からの侵入をシャットアウトできる
オートロックつきマンションの最大のメリットは、不審者など、外部からの侵入をある程度シャットアウトできることです。
住居のエリアに入れるのは、基本的にマンションの居住者、あるいは居住者に招かれた人だけです。
オートロックつきマンションに住む際の注意点
続いては、オートロックつきマンションに住む際の注意点をご紹介します。
家賃や管理費が割高になる
オートロックつきマンションは、オートロックがついていないマンションに比べ、家賃や管理費・共益費が高くなることが一般的です。
共連れによる侵入のリスクがある
オートロックつきのマンションでも、中から人が出てきたタイミングや、前の人が解錠したタイミングであれば、鍵を持たずに中に入ることができます。住人同士であれば問題ありませんが、そうでない人でも、タイミングを見計らえば侵入できてしまう点には注意が必要です。
オートロックつきマンションを選ぶ際、セキュリティを重視するのであれば、「入口に防犯カメラがついている」「24時間有人の受付を設置している」といったマンションを選ぶ必要があるでしょう。
ちなみに最近では、一度の解錠で一人しか通ることができない「ゲート式エントランス」を採用しているマンションもあります。
オートロックであることで油断してしまう
居住者によりますが、オートロックつきのマンションの場合、油断して自分の住戸に鍵をかけないなど、犯罪に対する警戒心が薄れてしまうことがあります。
オートロックつきだからといって、外部からの侵入が100％不可能であるとはいえません。
前述のとおり、共連れなどによって外部の人間が中に入り込む可能性がありますし、マンション内には自分のほかに人が住んでいることも意識しておくべきでしょう。オートロックを過信しすぎず、ちょっとした外出でも部屋を開けるときは鍵をかけることが大切です。
オートロックつきマンションでも防犯意識を大切に
オートロックは不審者など、外部からの侵入をシャットアウトできる便利なシステムですが、100％安全であるというわけではありません。ゴミ出しや郵便を取りにいくときなど、短時間の外出であっても、毎回施錠することを忘れないよう、心掛けることが大切です。
オートロックつきマンションに住む場合であっても、セキュリティ意識を高く持ち、必ず鍵をかけるなどの防犯対策をおこなうことで、より安心して暮らすことができるでしょう。
監修者：髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。