マンションのフローリングは、長く暮らすうちに傷や汚れがついてしまいがちです。マンションのリビングなど、部屋のフローリングをリフォームする際、費用はどのくらいかかるものなのでしょうか。
ここでは、マンションのフローリングの種類やそれぞれの特徴のほか、リフォームをする際の費用の目安をご紹介します。また、床材の選び方や、マンションでフローリングのリフォームをおこなう際の注意点について解説します。
マンションのフローリングの種類
マンションのフローリングには、単層フローリングと複合フローリングの2種類があります。まずは、それぞれの特徴と、メリット・デメリットを見ていきましょう。
単層フローリング
単層フローリングは無垢フローリングとも呼ばれ、天然木のみで構成されたフローリング材です。使われる天然木にはナラ・杉・ヒノキなど、多数の種類があります。
・メリット
天然木だけで作られたフローリングならではの、素材そのものの風合いや感触が、単層フローリングの魅力でしょう。調湿作用があるので、快適に過ごすことができます。傷つけてしまっても、表面を削って修復することが可能です。
・デメリット
単層フローリングは、フローリング材そのものの価格が高く、1本1本施工していくため施工期間が長くなり、施工業者の技術力により仕上がりに差が出たりする場合があります。また、天然素材であるため気温や湿度の影響を受けやすく、木が伸びて突き上がってきたり、縮んで隙間が空いたりすることもあるでしょう。
複合フローリング
複合フローリングはベースになる素材の表面に、見栄えを良くするための材木(化粧材)を貼り合わせたタイプのフローリング材です。
木目を印刷した化粧シートを合板に貼りつけた「シートフローリング」と、天然木を削いだ突板(つきいた)という薄い板を合板などに貼った「突板フローリング」があります。
・メリット
複合フローリングのメリットは、工業加工品なので品質や仕上がりが均一であることです。気温や湿度の影響を受けにくく、反りやきしみが出にくいこともメリットといえるでしょう。また、表面加工がおこなわれているので傷みにくく、掃除やメンテナンスが簡単である点も魅力です。
・デメリット
複合フローリングは加工品であることから、無垢材と比べると、さわり心地は劣っているといえるでしょう。また、傷の度合いによっては表面の仕上げ材がはがれて、ベースの合板が現れてしまうという欠点もあります。
フローリングのリフォームにかかる費用
マンションのフローリングのリフォームには、どのような費用がかかるのでしょうか。フローリングのリフォーム費用の内容をご紹介します。
フローリングのリフォームにかかる費用は下記のとおりです。
- フローリング材の費用
- フローリングを張り替える費用
- 資材・機材、搬入の養生費
- 産業廃棄物の廃棄費用などの処分費
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
フローリング材の費用
フローリング材の費用は、材料の種類やリフォームをおこなう広さによって金額が決まります。また、床と壁のあいだを保護するために貼る巾木(はばき)の費用も必要です。
フローリングを張り替える費用
フローリングの張り替えにかかる費用は、施工前の床の素材が何であるかによって異なります。フローリングに張り替える際の、手間や工法が変わってくるためです。
資材・機材、搬入の養生費
養生費とは、リフォームで材料を搬入・搬出する際に、マンションのエレベーターや周りの壁を傷めないよう、養生(保護)するための費用です。
産業廃棄物の廃棄費用などの処分費
リフォームの種類によっては、カーペットやクッションフロア、畳、フローリングなど、既存の床材を撤去する必要があります。撤去する際は、産業廃棄物として処分しなければなりません。そのための処分費用が必要となります。
フローリング・リフォームの費用相場
フローリングをリフォームする際には、床材の費用と施工費用がかかります。施工費用は、元の床材を新しい床材に変えるために、どのような施工が必要かによって決まります。
ここでは、8畳の広さの部屋で、防音タイプ・スギ材の無垢フローリング(8畳で3万円~6万円)にリフォームする際の費用を、元の床材別に見ていきましょう。
カーペットから無垢フローリングにする場合
張り替える前がカーペットであった場合、まずは張ってあるカーペットをはがして下地を整えます。カーペットをはがすだけなので、施工費用は比較的低額に抑えることができます。スギ材の無垢フローリングに張り替える場合、15万~20万円程度になるでしょう。
畳から無垢フローリングにする場合
畳を撤去して無垢フローリングにする場合、高さをそろえるために下地を調整する必要があります。その材料費や施工費の分、費用が高くなる傾向があります。スギ材の無垢フローリングに張り替える場合、25万~30万円程度になるでしょう。
複合フローリングから無垢フローリングにする場合
複合フローリングから無垢フローリングにする場合は、施工方法によって費用が変わります。
・張ってある複合フローリングをはがして張り替える場合
張り替えをおこなう方法では下地の傷みまで直すこともでき、段差が出ることなく仕上がります。はがしの手間がかかる分、上張りより費用が高くなり、施工の工期も長くなります。スギ材の無垢フローリングに張り替える場合、費用相場は20万~25万円程度になるでしょう。
・複合フローリングの上に上張りをする場合
元の床材をはがさず上張りにすると、工期も短く費用を抑えることができます。しかし、下地の補修はできない点には注意が必要です。費用の目安は19万~23万円程度となります。
マンションのフローリングの床材の選び方
マンションのフローリングの床材を選ぶ際のポイントは下記のとおりです。
- 手入れがしやすいかどうか
- 傷に強いかどうか
- 風合いの良さ
続いては、マンションのフローリングの床材を選ぶ際のポイントをご紹介します。
手入れがしやすいかどうか
特に子育て期にある家庭など、手入れのしやすさは重要になるでしょう。液体をこぼしてもシミになりにくい加工がされたものであれば、普段の生活で、細かく気を遣わなくても済みます。ワックスがけが不要であるかどうかなどを、判断基準にするのもおすすめです。
傷に強いかどうか
物を落としたときなどに、すぐ傷がついてしまわないかという点もチェックしましょう。建材メーカーによっては、コップが落ちても傷がつきにくい、キャスターつきの椅子でもへこみにくい、家具を動かしても傷がつきにくいといった、さまざまな機能を持つ床材が販売されています。
風合いの良さ
フローリングは見た目の美しさはもちろんですが、風合いも魅力です。複合フローリングも無垢フローリングも、さまざまな種類があり、使用されている木材によって雰囲気が異なります。
色が内装やインテリアになじむかなど、ライフスタイルに合った風合いの床材を選びましょう。
マンションのフローリングをリフォームする際の注意点
マンションのフローリングをリフォームする際は、自分が住むマンションの管理規約において、どの程度の防音レベルが求められているのか確認しましょう。その上で、床材を選ぶ際には、マンションの管理規約が定める防音レベルをクリアしているものを選ぶようにしてください。
遮音等級に関しては、専門的な知識が必要になる場合があるので、床材を選ぶ際は、床材メーカーや施工業者に意見を聞くといいでしょう。
マンションのフローリング・リフォームは事前の準備と正しい業者選びが肝心
フローリングのリフォームで床材を選ぶ際には、手入れが楽、部屋のテイストに合うなど、生活で重視することを基準にするといいでしょう。
また、リフォームをおこなう前には、管理組合に相談することが大切です。自身のマンションでリフォームをおこなう際の注意点がわかったら、業者と相談の上、適切な施工方法でリフォームを成功させましょう。
監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。