マンションの屋上は使用できる?ルーフバルコニーという選択も


広くて開放感のあるマンションの屋上を自由に使用できると、住民にとっては快適に過ごせる身近な場所のひとつとなります。マンションの屋上についての注意点と、屋上の代わりとしてルーフバルコニーを選ぶ際の注意点についてもご紹介します。

マンションの屋上に入れない理由

多くのマンションでは、屋上への立ち入りは禁止されています。管理規約で屋上への立ち入りが禁じられており、屋上への扉などもロックされているのが一般的です。屋上を有効活用することを前提として設計・建設されているマンションもありますが、その数は多くありません。
では、なぜ屋上は立入禁止にされているのでしょうか。主な理由を3つ挙げてみました。

  • ライフラインに関わる設備があるため
  • 防犯のため
  • 安全のため

ライフラインに関わる設備があるため

マンションの屋上に入れない理由として、電気や水道など、ライフラインに関わる設備が設置されていることが挙げられます。特に古いマンションでは、受変電設備や貯水槽、空調設備、塔屋などが屋上のかなりのスペースを占めていることがあります。住民がこれらの設備にふれてトラブルが起きると、マンション全体に影響が出てしまいかねません。
また、多くの人が立ち入ると、屋上床に施された防水塗装がダメージを受けてしまいます。

防犯のため

防犯上の理由から、屋上への立ち入りが禁止されている場合もあります。例えば、屋上から最上階の部屋のベランダにロープを伝って侵入する行為は、古くからある手口のひとつ。このように、屋上が不審者の侵入経路として使われることがあります。
また、マンションの屋上から、双眼鏡などを使ってほかのマンションの様子をチェックするといった行為も考えられます。

安全のため

落下事故や転落事故などの危険性を考慮して、屋上を立入禁止にしているマンションもあります。屋上を開放するのであれば、物が飛ばされたり、落下したり、不注意で子供が転落したりといった事故を防止するための対策を講じなければなりません。

屋上を有効活用しているケース

マンション屋上の活用

屋上への立ち入りを禁止しているマンションが多くある一方で、屋上を有効活用している例もあります。屋上看板のほか、太陽光発電用のソーラーパネルや携帯基地局のアンテナを設置しているマンションも近年増えてきました。

住民向けに開放している場合は、屋上庭園や菜園、休憩用ベンチ、子供向け遊具などが設置されていることもあります。屋上でバーベキューができるマンションも人気です。

屋上が使えるマンションを探すには?

屋上を共用スペースとして開放しているマンションは魅力的ですが、残念ながらそれほど数は多くありません。基本的に屋上は立入禁止になっているものと考えたほうが現実的です。

屋上が使えるマンションを探す場合は、不動産情報サイトで「屋上つきマンション」や「屋上利用可」などのワードを入力して検索します。また、不動産仲介会社に問い合わせてみるのもいいでしょう。物件数は多くありませんが、ある程度時間をかければ見つかるかもしれません。

自分の足を使って探してみるのもひとつの手です。少しでも気になるマンションがあったら管理会社に問い合わせてみましょう。

ルーフバルコニーという選択肢も視野に

屋上を利用できる物件の代わりに、ルーフバルコニーのある物件を探すという選択肢も考えられます。ルーフバルコニーは通常のバルコニーよりも広いスペースが確保されており、屋上とそれほど変わらず、よりプライベートな感覚で利用できます。

ルーフバルコニーとは?

ルーフバルコニー、バルコニーの違い

ルーフバルコニーとは、マンションなどで1つ下の階の屋根部分を利用して設置されたバルコニーです。ルーフテラス、ルーフガーデンと呼ばれることもあります。通常の箱型のマンションの場合は最上階のみ設けることが可能ですが、マンションの形状によっては複数のフロアの住戸にルーフバルコニーが設置されていることもあります。
ルーフには屋根という意味がありますが、ルーフバルコニーに屋根はありません。下の階の屋根の上、屋上という意味合いです。
また、建物から外へ張り出すように設置された場所に屋根がある場合、厳密にはベランダといいます。

なお、マンションのルーフバルコニーは、通常のバルコニーと同じように共用部分となります。そのため、専有部分である住戸内と違って、リフォームはできません。消防法により、避難の妨げになるような場所に物を置くことも禁じられています。さらに、ルーフバルコニーつきの物件は、広さに応じて月額使用料を別途支払ったり、管理費に含めて支払ったりするのが一般的です。

ルーフバルコニーの利用法

通常のバルコニーよりも広いルーフバルコニーは、さまざまな用途に利用できます。たくさんの洗濯物でもまとめて干すことができたり、子供の遊ぶスペースとして利用できたりするなど、生活する上でも非常に便利です。
それ以外にも、ガーデニングや家庭菜園、リラックススペースなど、広さを活用した利用法が考えられます。

ルーフバルコニーを利用する際の注意点

さまざまな利用法が考えられるルーフバルコニーですが、消防法や管理規約によって利用が制限される場合もあります。マンションによっては、ガーデニングや家庭菜園の利用ができないこともあるでしょう。バーベキューのように、火を使うことも禁止となっていることが多いようです。
また、下の階の迷惑となるような騒音にも気をつけなければなりません。

屋上やルーフバルコニーでできることを事前に確認

屋上を誰にでも使えるように開放しているマンションは、あまり多くありません。そのため、代替案として、ルーフバルコニーつきマンションを考えてみてもいいかもしれません。
広々としたスペースは魅力ですが、屋上、ルーフバルコニーとも、何ができて何ができないのか、事前にしっかり確認しておきましょう。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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