マンションの給湯器の交換タイミングは?注意点・工事の費用も解説


給湯器は、現代の生活には欠かせない物だけに、急にお湯が出なくなったり、温度調整がうまくいかなくなったりすると非常に困ってしまいます。快適な生活を続けていくためには、給湯器のトラブルが起こらないように、随時チェックすることが必要でしょう。
ここでは、マンションにおける給湯器交換のタイミングと、交換の際の注意点のほか、かかる費用や時間について解説します。

マンションの給湯器は10年を過ぎたら交換時期

マンションの給湯器の寿命は8~10年ぐらいだといわれていますが、実際は10~15年程使えることが多いようです。使う頻度や使い方、使っている給湯器の種類、マンションの立地条件などによって多少の差はありますが、概ね10年を過ぎたらそろそろ交換の時期だと思っておくといいでしょう。
10年を過ぎて、お湯の温度が安定しない、お湯が出るまで時間がかかるといったことが起きたら、交換の時期かもしれません。異音がしたり、水漏れが起きたりする場合も、早めに修理や交換をおこなうのがおすすめです。

中古マンションの場合は、もちろんマンション購入前の年数も合わせて考える必要があります。築何年で買ったのかはもちろん、過去に給湯器の交換歴があったのか、いつ交換したのかも、マンションを購入する前に必ず確認しておきましょう。

マンションの給湯器を交換する際は、管理組合に連絡を

給湯器を交換するにあたっては、業者を手配して交換してもらうことになりますが、その際には管理組合に連絡したほうがいいでしょう。

給湯器は廊下やベランダに設置されているため共用部分にも見えますが、給湯器は専有部分にあたるものです。個人の判断で修理・交換をしても問題ありません。
ただし、マンションによっては管理組合などで使える給湯器のサイズや種類が制限されている場合があります。それを知らずに工事を依頼してしまうと、後でトラブルになりかねません。給湯器を交換したい場合は、まずは管理組合に確認をとったほうがいいでしょう。

管理組合の確認がとれれば、業者に状況確認をしてもらいます。マンションによっては、管理組合に工事をおこなう申請書の提出が必要なこともありますので、確認しておきましょう。

マンションの給湯器のタイプは主に5種類

現在マンションで使われている給湯器は大きく分けて5種類あり、それぞれ耐久性や燃費性能が異なります。続いては、それぞれの給湯器の特徴について紹介します。

  • 石油給湯器
  • ガス給湯器
  • 電気温水器
  • エコキュート
  • エコジョーズ

石油給湯器

石油給湯器は、石油ストーブなどと同様に、灯油を燃焼させてお湯を沸かすタイプの給湯器です。電気やガスに比べてパワーがあるため、寒冷地で多く使用されています。
メリットは、ガスや電気に比べて給湯能力が高いことと、プロパンガスなどと比べて光熱費を4割ほど抑えられることです。一方で、石油特有のにおいがすることと、自分で石油を補充する手間がかかることはデメリットだといえます。

ガス給湯器

ガス給湯器は、都市ガスまたはプロパンガスを燃焼させてお湯を沸かすタイプの給湯器です。種類やサイズが豊富で、コンパクトなサイズの給湯器もあり、マンションなどの集合住宅向きといえます。
メリットは、すぐお湯を沸かすことができ、比較的安価な製品が多いこと。デメリットは、ほかのタイプに比べてランニングコストが高くなりがちなことです。

電気温水器

電気温水器は、電気を使って沸かしたお湯をタンクに溜めておくタイプの給湯器です。電気代が割安な夜間に自動でお湯を沸かして溜めておき、日中にそのお湯を使う仕組みになっています。
メリットは光熱費が抑えられることで、デメリットは大量のお湯を使うとお湯が足りなくなってしまったり、途中で水圧が下がったりする可能性があることです。電熱ヒーター式と熱交換式の、2つのタイプがあります。

エコキュート

エコキュートは、電気を熱源とした自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯器です。コンプレッサーで大気中の熱を取り込み、熱エネルギーとして利用するヒートポンプシステムを利用しています。
効率的にお湯を沸かすことができるため、ランニングコストは安め。また、冷媒としてフロンを使用しないので、温暖化ガス排出抑制やオゾン層の破壊防止に役立つことがメリットです。一方、デメリットとしては、導入費用が高いことと、修理費などが高くなってしまうことが挙げられます。

エコキュート

エコジョーズ

エコジョーズは、今までは捨てられていた排気熱を利用して、効率良くお湯を沸かす給湯器です。メリットは、使う分だけお湯を沸かすタイプなので、溜めていたお湯がなくなるという心配がないこと、省エネ性能が高く、ガス給湯器より使うガスの量が少なくてすむことが挙げられます。
電気でお湯を沸かすタイプとは違い、貯湯タンクがない分コンパクトなので、最近建設されたマンションではエコジョーズの設置が増えています。

エコジョーズ

給湯器の号数

給湯器の交換を検討する際には、給湯器の号数についても知っておいたほうがいいでしょう。給湯器の号数とは、水温+25℃のお湯を1分間に何リットル出すことができるかを表す数値で、ガス系給湯器のお湯を沸かす能力を表す指標として使われています。1分間に10Lのお湯を出せれば10号となり、一般家庭に使われるのは、ほぼ10、16、20、24号の4種類です。
目安としては、16号であれば年間を通して問題なくシャワーを使えるレベル。20号になるとシャワーと給湯が同時に使え、24号は冬でも問題なくシャワーと給湯が同時に使えるレベルになります。

複数箇所で同時にお湯を使用しない一人暮らしなら16号、たくさんお湯を使うことはさほど多くない二人暮らしなら20号、複数箇所で同時に使用することが多い4人家族なら24号がおすすめといえるでしょう。

給湯器の号数

また、電気給湯器の場合は、お湯を溜めておくタンクの大きさがポイントです。お湯の使い方にもよりますが、2、3人家族であれば300L、3~5人家族であれば370L、4~6人家族であれば460L程度を目安にするといいでしょう。

マンションの給湯器の交換工事にかかる費用と時間

給湯器の交換工事費用は、給湯器本体の価格と設置費用の合計額になるので、総工事費は選んだ給湯器のタイプや大きさによって異なります。
目安としては、給湯器本体の価格はリモコンつきで12万~45万円。設置費用は3万~5万円です。このほか、古い給湯器の撤去費用や処分費用がかかる場合もあります。

工事にかかる期間は、施工会社に取りつける給湯器の在庫がある場合、半日程度で対応できることもあります。ただし、以前のタイプと違う給湯器を設置するときは、ほとんどの場合で追加工事が必要となり、工期も長くなります。
また、給湯器のタイプを電気や石油からガスに換える場合は、配管工事が必要になり、工期が数日かかることも珍しくありません。その間は、お湯が使えなくなってしまうので注意が必要です。

ライフスタイルに合った給湯器を

給湯器はマンションの専有部分にあたりますが、共用部分にも影響を与えるため、交換工事をする際には管理組合に連絡する必要があります。
無断での工事はトラブルの元となりますので、必ず管理組合に確認しましょう。その上で、給湯器のタイプや号数などを検討し、ライフスタイルに合った給湯器を選んでください。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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