猫は非常に人気の高いペットで、マンション住まいでも飼っている人は多くいます。最近はペット可のマンションも増えているため、マンションで猫を飼いたいと思っている人もいるでしょう。
しかし、猫を飼う場合には、いくつか注意しなければならない点があります。室内飼いでのトラブルや、猫の病気やケガのリスクをできるだけ減らすためにも、注意点を踏まえた上で猫を飼うかどうか検討することが重要です。
ここでは、マンションで猫を飼う際に知っておきたい注意点や対策について解説していきましょう。
猫はマンションで飼いやすい
猫は散歩の必要がなく、マンションでも飼いやすい動物とされています。仕事などで忙しい一人暮らしや、共働きで日中に誰もいなかったとしても、散歩が不要ということは大きなメリットでしょう。
また、猫はあまり大きな鳴き声を出すことはなく、マンションでも鳴き声が近所迷惑になることはあまりありません。発情期には大きい鳴き声を出しますが、その前に去勢・不妊手術をすることで発情を抑えられます。
猫を飼う際の注意点
マンションでも飼いやすい猫ですが、飼う際の注意点がいくつか挙げられます。
医療費が高い
猫の発情期の鳴き声が、マンションの近所迷惑にならないように去勢・不妊手術をする場合、手術代などの医療費がかかります。また、猫が病気になったり、ケガをしたりした場合、動物病院で診察してもらわなくてはいけません。動物病院の医療費は、数日入院しただけでも数万円の出費となるなど、高額になるケースもあります。猫の医療費がどれくらいかかるのか不安であれば、ペット保険に加入することも検討しましょう。
抜け毛が多く掃除が大変
品種にもよりますが、猫は抜け毛が多く、掃除が大変な場合があります。特に、換毛期である春と秋は、室内に大量の抜け毛が落ちたり服についたりするため、毎日の掃除機やクリーナーは欠かせません。
光熱費がかかる
猫を飼う場合、一般的には完全室内飼いになります。猫は暑さや寒さに弱いため、夏場に飼い主が外出して室内に誰もいない場合でも、冷房をかけ続ける必要があります。冬場で寒さが厳しい日は一日中暖房が必要になりますので、その分、光熱費の負担も増えてしまいます。
マンションで猫を飼う前に検討したい3つのこと
マンションで猫を飼いたいと思っても、すぐ行動に移さず、本当に飼っていいのかを確認するようにしましょう。猫を飼う前には、下記の3点をしっかり確認することが大切です。
ペット可のマンションかどうかを必ず確認
マンションで猫を飼いたいときは、ペットを飼ってもいいマンションかどうかを管理規約で必ず確認します。これからマンションに引っ越すという人は、ペット可のマンションを探しましょう。
分譲マンションであっても、ペットの飼育を不可としている場合もあります。また、飼育可のマンションであっても、動物の種類や頭数に制限があるケースも少なくありません。
なお、飼育不可のマンションで、こっそり猫を飼うことは絶対にやめましょう。近隣の住人が、動物アレルギーや動物嫌いだった場合、トラブルになってしまう可能性もあります。
マンションでは完全室内飼育を前提に検討
一戸建てで猫を飼う場合は、家と外を自由に出入りする半室内飼いにすることもあります。しかし、マンションの場合は完全室内飼いが基本です。半室内飼いは近隣住人とのトラブルの原因になる可能性もありますし、不審者による虐待のリスクもゼロではありません。マンションで猫を飼うなら、完全室内飼いを前提に検討しましょう。
長く飼い続けられるか考える
近年は、医療の進歩などによって、以前よりも猫の寿命は延びています。20年以上生きる猫も珍しくありません。
猫に限らず、動物は歳をとると病気やケガのリスクが高くなり、世話も大変になります。環境の変化にも敏感なため、同じマンションの部屋で猫の世話を20年しなければならないと考えて、最後まで責任を持って飼い続けられるかどうか、しっかり検討することが大切です。
マンションで猫を飼う際に必要な7つの対策
最後に、実際にマンションで猫を飼うと決まったときに、しておきたい7つの対策をご紹介します。
脱走対策をする
マンションで猫を買う場合、必ず脱走対策をするようにしましょう。特に、仕切り扉やドアがない部屋は要注意です。ドアのある部屋でも、人間がドアを開け閉めするときに猫が脱走してしまうケースはよくあります。
高層階の場合、部屋から脱走すると転落してしまうおそれもあるため、ドアや窓は開けたら必ず閉める、脱走防止用の柵を設置するなど、脱走対策を徹底するようにしましょう。
防音対策をする
集合住宅であるマンションでは、防音対策も欠かせません。猫の鳴き声などで近隣トラブルを招く可能性もあります。猫が夜中に部屋を走り回って、階下の住人に迷惑がかかるというケースも少なくありません。
猫の足音やキャットタワーなどから飛び降りるときの着地音の対策として、床にカーペットやマットを敷くという対策をするといいでしょう。
また、夜中に猫が暴れてしまうのは、日中にエネルギーを発散する機会がないからという可能性もあります。ストレス解消のためにも、日中は少しでも遊んであげることが大切です。
室温調整をする
マンションで猫を飼う場合、室温調整も大切です。猫は人間のように汗をかいて体温調節することができません。そのため、特に夏は室温を気にする必要があります。
夏に飼い主が外出してマンションの窓を閉め切っていると、部屋が高温になりやすく、猫が熱中症になってしまうかもしれません。飼い主が不在であっても、猫にとって快適な室温を保てるようにしましょう。
寒さ対策としては、エアコンで暖房をつけるようにします。こたつやヒーターをつけたまま飼い主が外出してしまうと、猫が接触することによる火災や感電、やけどなどのリスクがあります。暖がとれる布団を用意しておいてもいいでしょう。
誤飲・誤食対策をする
猫の誤飲・誤食による事故も、十分注意したいところです。日頃から猫のいる部屋には、誤飲・誤食の可能性がある物を置かないようにしましょう。特に観葉植物や花は、猫が誤って食べてしまう可能性もあるため、できるだけ置かないようにすることをおすすめします。
また、マンションに多いリビングとキッチンがつながっている間取りや、ワンルームで仕切りがない部屋は、猫がキッチンに侵入しやすい環境です。キッチンにはコンロや包丁など、危険がたくさんあります。事故やケガを防ぐためにも、キッチンでは物や食材を出しっぱなしにしないようにしたり、コンロカバーを使ったりするなどの対策は欠かせません。
猫用アイテムをそろえる
マンションで猫も人間も快適に暮らすには、猫用のアイテムも必須になります。実際に飼ってから慌てて購入するということのないよう、必要な物は事前にそろえておきましょう。
<そろえておきたい猫用アイテム>
- 猫用ケージ
- キャットフード
- トイレ、トイレ砂
- 食器、水入れ
- 爪とぎ
- 猫用ベッド
- 猫用キャリーバッグ
- 消臭剤
- 猫用ブラシ、猫用爪切り
- おもちゃ
- キャットタワー
意外と忘れてしまいやすいのは爪とぎです。猫は爪をとぐ習性があるため、室内の柱や壁、家具を傷つけられないよう、爪とぎは早めに設置することをおすすめします。また、完全室内飼いでも運動不足とならないよう、キャットタワーやおもちゃで運動できるようにしましょう。
このように、猫を飼うとなるとケージやトイレ、キャットタワーなど、猫用アイテムを置くスペースが必要になります。マンション内の間取りや家具の配置を考慮して、猫も人間も快適に暮らせるようアイテムを配置しましょう。
かかりつけの動物病院を決めておく
マンションで猫を飼うと決めたら、かかりつけの動物病院を見つけておきましょう。猫の具合が悪くなったときや、ワクチン接種が必要なとき、避妊・去勢手術をするときなどに、すぐに連れていける距離にある動物病院があると安心です。最近は、動物病院が併設されているマンションもあります。
キャリーバッグに慣らしておく
動物病院への通院の際は、猫用のキャリーバッグやキャリーケージに猫を入れて運びます。また、災害時などで避難する際も、猫はキャリーバッグなどで運ばなくてはなりません。ペット可のマンションであっても、部屋の外に出す場合は、ほかの住人に配慮しましょう。
しかし、通院時だけキャリーバッグに猫を入れていると、猫はキャリーバッグに入るのを嫌がるようになってしまいます。日頃から室内でもキャリーバッグに慣れさせておくといいでしょう。
環境を整えてマンションでも猫と快適な暮らしを
猫と人間が快適にマンションで暮らすためにも、猫の飼い方や習性を理解した上で、必要な対策をとるのは大切なことです。また、マンションということも考えると、ペット可のマンションかどうかはもちろん、近隣住人への配慮も必要でしょう。
マンションで猫を飼う場合は完全室内飼いにして、猫も人間も心地よく暮らせるような環境を作るようにしてください。
監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。