マンションの売り時をどう考える?価格に影響する要因について解説


新型コロナウイルス感染症拡大による影響で、マンション価格の相場は不透明になっています。マンションの価格は社会的背景をはじめ、さまざまな影響を受けて変動するもの。マンションの売り時を見極めるためには、マンションの価格が何に影響を受けるのかを知ることが大切です。
ここでは、マンションの売り時やマンションの価格に影響を与える要因について解説します。

マンションの価格に影響を与える3つの要素

まずは、マンションの価格に影響を与える3つの要素について見ていきましょう。

築年数

マンションの価格は、一般的に築年数が経てば経つほど安くなります。建物の築年数が浅いほど経年劣化も少なく、価値が高いことはイメージしやすいのではないでしょうか。築年数を3つの段階に分け、築年数が価格にどう影響を与えるのか解説します。

・築5年未満
築5年未満の物件は、買い手からすれば設備の劣化や内装のダメージも少ないイメージがあります。比較的高値で売却できることが多いですが、似た条件のマンションが多く売られていると、価格が下がってしまう可能性があります。競合となるマンションがどれくらいの価格で売られていて、どれくらいの数が売られているのか、不動産情報サイトなどでチェックしつつ、売却を検討するといいでしょう。

・築10年未満
築10年未満のマンションは、中古マンションの中でも設備の劣化や内装のダメージは比較的少なく、手を出しやすい価格帯でもあるため、買い手からするとコストパフォーマンスが高いと考えられます。買い手からの需要もあり、売却しやすい築年数といえるでしょう。

・築10年以上
築10年を超えたマンションは、買い手からすると劣化が進んでいるイメージがあり、価格も急激に下がります。また、築10~15年は、マンションが大規模修繕工事を検討するタイミングでもあります。設備や内装の修繕が必要となる物件が多く、場合によっては修繕積立金が増額されることもあります。
なお、築20年以上のマンションとなると、全体的なリノベーションをおこなうことが前提と考えていいでしょう。

金利

金利もマンションの売却に影響を与えます。金利が1%違うと、ローンの返済額も大きく変わってしまうからです。低金利であるほど、価格が高めのマンションでも売れる可能性は高いでしょう。2020年現在、金利は低水準にあり、住宅ローンを組みやすいこともあって、売却しやすい状況だといえます。

マンションの価格相場

経済情勢の影響を受けて、マンションの価格相場も変動します。相場が変われば売却価格も影響を受けることになるのです。
経済状況が悪化すれば、住宅ローンの返済が困難になったり、現金が必要になったりして、マンションの売却を検討する人も増えてきます。買い手に対して売り手が多い状況が生まれると、価格の下落は避けられません。
ただし、新型コロナウイルス感染症拡大によるマンション市場への影響については、長期的な視点で考える必要もあり、価格相場は不透明だというのが現状です。

マンションの売り時の考え方

マンションを売却するのであれば、できるだけ高値で売りたいもの。マンション価格に影響を与える要因を踏まえた上で、マンションの売り時はいつなのかをご説明します。

大規模修繕をおこなった後に売る

マンションの大規模修繕の前後に売却を考えている場合、売却のタイミングは大規模修繕後がいいでしょう。大規模修繕を実施すると、買い手に対するアピールポイントが増えて売れやすくなります。
また、修繕積立金は5年ごとに増額されることが多いため、修繕積立金の増額前に売却を検討すべきといえるでしょう。

築20年以内に売る

マンションを売却するのであれば、築20年以内を目安に考えましょう。マンションの築年数は、価格や売れやすさに大きく影響しますが、築20年を超えると売却価格は大幅に下落します。
また、住宅ローン控除が適用されるのは、マンションでは築25年以内です。それ以上の築年数でも売れないということではありませんが、築20年以内が目安と考えておいていいでしょう。

築5年超と築10年超で税率が下がる

マンションを売却したことによる譲渡所得には、所得税と住民税がかかります。この譲渡所得にかかる税率は、築5年超と築10年超で下がるタイミングがありますので、そこを売却時期の目安としてもいいでしょう。

譲渡所得にかかる所得税と住民税は、譲渡所得に対して税率を掛けて算出されます。
1月1日時点で所有期間が5年超であれば長期譲渡所得となり、5年以下であれば短期譲渡所得です。それぞれ税率は次のようになります。

短期譲渡所得(所有期間5年以下):所得税率30%、住民税率9%
長期譲渡所得(所有期間5年超):所得税率15%、住民税率5%

さらに、所有期間10年超で売却する場合は、「10年超所有軽減税率の特例」を適用できます。
この特例では、譲渡所得金額が6,000万円超かどうかによってさらに税率が異なります。

譲渡所得金額が6,000万円以下の部分:所得税10%、住民税4%
譲渡所得金額が6,000万円超の部分:所得税15%、住民税5%
※居住用の不動産を売却した場合、3,000万円の特別控除が適用され、譲渡所得は控除後の金額が対象となります。

譲渡所得金額による税率の違い

2月から3月にかけて売る

新生活に向けた引越しシーズンである2月から3月は、新築・中古ともにマンションの取引件数が特に多い時期です。売却する事情によっては、2月から3月を狙って売却するのは難しいかもしれませんが、取引件数が多いということは、売却できる可能性も高くなるということです。
なお、2月から3月に売却するのであれば、売却活動にかかる期間も考えて、11月くらいからは動き出すようにしましょう。

マンションの売り時は築年数を踏まえて判断しよう

マンションの売却価格は、築年数や金利、経済情勢などの影響を受けて変動します。特に、築年数は重視すべき要素のひとつで、売却価格に影響します。また、築25年以上のマンションは耐震性能を証明できないと、住宅ローン控除が利用できなくなります。
マンションの売り時を考える際には、築年数を踏まえて、少しでも高く売れるようにリサーチすべきといえるでしょう。不動産会社と連絡をとり合いながら、納得のいく価格で売れるよう、慎重に判断することが大切です。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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