マンション初期費用とは?新築物件と中古物件の相場を解説


一般的にマンションを購入する際には、だいたいの予算を設定して物件を探すことになるでしょう。マンションの購入には登記費用など、物件価格以外にもさまざまな費用がかかります。
マンション購入時の初期費用は物件によって異なりますが、数百万円という金額になるので準備しておくことが大切です。
ここでは、新築マンションや中古マンションを購入するときに用意しておくべき初期費用の内容や、目安となる金額をご紹介します。

マンション購入時の初期費用の目安は物件価格から予測できる

マンションを購入する際の初期費用は、物件の価格から予測することが可能です。
一般的に、マンション購入時にかかる初期費用の目安は、新築、中古それぞれ下記のとおりになります。

  • 新築マンション:物件価格の3~7%程度
  • 中古マンション:物件価格の6~10%程度

物件価格が4,000万円の新築マンションを買うのであれば、120万~280万円程度が初期費用の目安になるといえるでしょう。
マンション購入時の初期費用は、住宅ローンを組むかどうかによって変わります。また、中古マンションを購入する場合、一般的に不動産会社を介して物件を探しますので、買主は不動産会社に対して「仲介手数料」を支払う必要があります。

新築マンション購入時の初期費用

まずは、新築マンションを購入する際に必要な初期費用の内容と金額を見ていきましょう。
新築マンションを購入する際の初期費用は下記のとおりです。

  • 申込証拠金
  • 手付金
  • 登記費用
  • 印紙税
  • 固定資産税および都市計画税
  • 不動産取得税
  • 修繕積立基金
  • 住宅ローン関係の費用

それぞれご紹介します。

申込証拠金

申込証拠金は、新築マンションの購入申込み時に支払うものです。物件によっては、必要ない場合もあります。2万~10万円程度が金額の目安で、申込みを撤回した場合は返金され、契約に進んだ場合は手付金の一部に充当されます。

手付金

手付金とは、マンションの売買契約を交わしたときに売主に対して支払うお金で、最終的に物件価格の一部に充当されます。手付金の金額は、一般的に売買価格の5~10%程度ですが、詳細は売主と相談の上で決まります。
なお、不動産の売買における手付金は解約手付金とみなされ、買主から契約を破棄した場合は返還されないのが一般的です。

登記費用

新築マンションを購入すると、買主は購入したマンションの所有者が誰なのかを示すための「所有権保存登記」をおこなう必要があります。所有権保存登記は、司法書士に依頼するのが一般的です。そのため、所有権保存登記には、登録免許税のほか司法書士への報酬が必要となるでしょう。
所有権保存登記の登録免許税は、「課税標準額(固定資産税評価額)×税率」で算出されます。税率は通常0.4%ですが、2022年3月31日までは軽減税率の0.15%が適用されます。なお、固定資産税評価額とは、固定資産課税台帳に登録されている価格のことです。

印紙税

印紙税とは、不動産を購入するときの売買契約書といった課税文書に貼付する印紙代(印紙税)のことです。印紙税額は、契約書の記載金額によって決定されます。
なお、記載金額が1,000万円を超え5,000万円以下であった場合の印紙代は、通常2万円ですが、2022年3月31日までは軽減措置が適用され、1万円となります。

固定資産税および都市計画税

住宅を購入した人が支払わなければならない費用の中に、固定資産税・都市計画税があります。固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点で不動産を保有している人が負担するものです。例えば、2月1日に引渡しとなった場合は、納税義務は売主にあります。しかし、購入後の日数分を日割りして売主に支払うのが一般的です。マンション購入後、翌年以降は、自宅に届く固定資産税・都市計画税の納付書を用いて納税することになります。
一般的に、固定資産税は「課税標準額(固定資産税評価額)×税率(1.4%)」で、都市計画税は「課税標準額(固定資産税評価額)×税率(0.3%)」で算出されます(2020年9月現在)。具体的な税率や金額は、立地や物件、購入時期などによって異なります。

不動産取得税

不動産取得税は、不動産を取得した人にかかる税金です。購入後、6ヵ月~1年半くらいのあいだに各都道府県から届く「納税通知書」を使用して、金融機関で納付します。
不動産取得税の税額は、「課税標準額(固定資産税評価額)×税率」で算出されます。税率は原則として4%とされていますが、特例により、土地と住宅については、2021年3月31日までの取得は3%が適用されます。

修繕積立基金

修繕積立基金は将来の、マンションの大規模修繕に備えるためのお金であり、マンションの引渡し時に支払います。修繕積立基金の金額はマンションの立地や住居の専有部分の広さなどによって決まりますが、新築マンションの場合、20万~100万円程度となっています。ちなみに、入居後は同じく大規模修繕に備えて、毎月定められた修繕積立金を支払っていくことになります。

住宅ローン関係の費用

頭金と住宅ローン

住宅ローンを組んでマンションを購入する場合は、ローンの借入れにかかる費用が必要になります。
住宅ローンを組む金融機関によっても異なりますが、一般的に必要になる費用には、下記のようなものがあります。

・頭金(物件価格の一部)
頭金は、住宅ローンを組んでマンションを購入する際に、最初に現金で支払う自己資金のことを指します。
頭金の目安は、購入価格の10~20%です。例えば、「2019年度 フラット35利用者調査」によると、2019年の新築マンション購入者の頭金の平均は、購入価格の16.3%となっています。
なお、頭金は物件価格の一部に充当するものであり、マンション購入時は、物件価格から頭金を引いた残りの金額について住宅ローンを組むことになります。

・抵当権設定登記にかかる費用
抵当権設定登記とは、住宅ローンを借りるときにおこなう登記のことを指します。抵当権設定とは、住宅ローンなどの融資を受けるにあたり、返済が滞ったときに備えて、金融機関が建物や土地に担保権を設定することです。通常、抵当権設定登記は司法書士が代行しますので、登録免許税のほか、司法書士への報酬が必要となります。なお、住宅ローンには、住宅などに抵当権が設定されない「無担保ローン」もあります。

・印紙税
住宅ローンの契約書に印紙を貼る際には、そのための印紙代が必要となります。印紙代は、住宅ローンの契約金額や契約方法によって変わります。

・保証料
住宅ローンの多くは、借り入れる際に「指定の保証会社の保証を受けること」が要件として定められています。その際に、保証会社に対して支払う費用が保証料です。保証料を一括で前払いした場合、繰上返済をしたり、住宅ローン完済前にマンションを売却したりしたときに、一部を返還してもらうことができます。

・事務手数料
事務手数料とは、金融機関に支払う住宅ローン契約の手続きにかかる費用のことです。

・団体信用生命保険料
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンを融資する金融機関が保険会社と契約する保険です。団体信用生命保険に住宅ローンの契約者が加入していれば、契約者が死亡または高度障害状態になるなど、万一のことがあっても、保険金によって住宅ローンが完済されます。
住宅ローンの契約者は、団体信用生命保険への加入を義務づけられているのが一般的です。なお、団体信用生命保険の保険料は、住宅ローンの金利に保険料が含まれるタイプや、金利に一定率を上乗せして支払うタイプがあります。ちなみに、団体信用生命保険が任意加入の場合や、「三大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)で所定の状態になったときにも残された住宅ローンが完済される」といった特約をつけると、別途保険料(特約料)が発生します。

・火災保険料
一般的に、住宅ローンを組む際には、火災保険に加入することが義務づけられているため、火災保険料が必要になります。

新築マンション購入後にかかるそのほかの費用

新築マンションを購入した後は、引越し費用や家具・家電の購入費用が必要となるでしょう。
ほかにも、管理費、駐車場代といった、入居後に支払う金額を、1~2ヵ月分程度前納するケースもあります。

中古マンション購入時の初期費用

中古マンションを購入する際は、新築マンション購入時と同じく、不動産取得税などの初期費用が必要になります。ただし、新築マンションを購入するときとは異なり、不動産会社に支払う仲介手数料や所有権移転登記の費用が必要となります。それぞれ、どのような費用であるのかを解説します。

・不動産会社に支払う仲介手数料

仲介手数料
中古マンションは、ほとんどのケースで不動産会社を介して購入することになりますが、その際に不動産会社に支払う仲介手数料が必要となります。仲介手数料は物件価格に応じた上限額が、宅地建物取引業法という法律によって定められています。物件価格の400万円を超える部分の金額に対して3%、200万を超え400万円以下の金額に対して4%、200万円以下の金額に対しては5%を乗じてそれぞれ算出した金額を合計して、さらに消費税を上乗せした金額が仲介手数料の上限額とするのがルールです。
なお、物件価格が400万円を超える場合は、仲介手数料の上限額は「物件価格×3%+6万円+消費税」の計算方法で算出することが可能です。例えば、物件価格が5,000万円であった場合、5,000万円×3%+6万円=156万円が仲介手数料の上限額となります。基本的に上限額を超えなければ、不動産会社が任意で定めることができます。

・所有権移転登記にかかる費用
新築マンション購入時には所有権保存登記をおこなう必要がありますが、中古マンションを購入する際には、「所有権移転登記」をおこなう必要があります。所有権移転登記をおこなう際には、登録免許税を納めなければなりません。新築マンション購入時の所有権保存登記と同様に、通常、司法書士がこの手続きをおこないます。そのため、登録免許税のほかに、司法書士に支払う報酬が必要となるでしょう。
ちなみに、所有権移転登記の登録免許税は「課税標準額(固定資産税評価額)×税率」で算出されます。税率は通常2.0%ですが、2022年3月31日まで軽減税率が適用され、0.3%となります。

マンションの購入時はさまざまな初期費用が必要!計画的に資金を用意しよう

マンションを購入する際には、物件価格以外にもさまざまな費用が必要になります。また、マンション購入後にも、管理費や修繕積立金などの支出が予定されることになりますから、資金計画は十分に練っておく必要があるでしょう。
マンションの購入を検討される方は、ご紹介した初期費用の内容や目安となる金額を参考に、資金の準備を進めてください。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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