マンションの名前のつけ方にルールはある?物件名の使用基準を解説


マンションの名前は、建物の印象に大きな影響を与える大切なもの。名前から連想するイメージが、マンションを選ぶ際の判断に影響を与えることもあります。
ここでは、マンションの名前のつけ方のルールと、名前をつけるにあたって気をつけたいポイントのほか、マンションの名前によく使われる単語の意味について解説します。

マンションの名前のつけ方に関するルール

マンションの名前のつけ方に関しては、法律や政令などによる決まりは特にありません。
ただし、不動産会社のほとんどが加盟する業界団体である不動産公正取引協議会連合会では、「不動産の表示に関する公正競争規約」の第19条「物件の名称の使用基準」で、賃貸物件の名称のつけ方に関するルールを示しています。
その内容について、簡単にご紹介しましょう。

・物件の所在地で慣例として使用されている地名または歴史上の地名がある場合は、その地名を用いることができる
例:御殿山、大和町など

・物件の最寄り駅や停留所の名称を用いることができる
例:横浜、恵比寿など

・物件が公園や庭園、旧跡などの施設から直線距離で300m以内の場合は、これらの施設の名称を用いることができる
例:新宿御苑、飛鳥山公園など

・物件の面する街道や坂など、道路の名称を用いることができる
例:八重洲通り、富士見坂など

マンション名の付け方

逆にいえば、物件が八重洲通り沿いに建っていなければ、マンションの名前に「◯◯◯◯八重洲通り」とつけることはできません。また、マンションが恵比寿になく、最寄り駅が恵比寿駅でもない場合は、マンションの名前を「◯◯◯◯恵比寿」とすることはできないわけです。

このようなルールが設けられた理由は、実際の物件所在地とは異なるにもかかわらず、物件名称にブランド力のある地名をつけるケースが多発したため。物件を探す人を混乱させたり、誤ったイメージを与えてしまったりすることを防ぐ目的に、物件の名称として使える地名の範囲を明確にしたのです。

なお、別荘地の物件やリゾートマンションに関しては、最寄り駅から5,000m以内であればその最寄り駅の名称を用いることができるなど、もう少し広い範囲で地名の物件名への使用が認められています。

マンション名をつけるときに注意したい4つのポイント

マンションの名前は、印象やイメージに直結するため、ルールさえ守っていればどんな名前でもいいというわけにはいきません。マンション選びをしている人からすれば、入居後はマンションの名前を書いたり話したりする機会もあるため、できるだけ響きが良く、いい印象を受ける名前のマンションを選びたくなるものです。
マンションの名前をつけるにあたっては、注意したいポイントが4つあります。

  • 理解しやすいマンション名であるか
  • 言いやすさ、聞きやすさ、書きやすさ、読みやすさを考える
  • 建物のイメージを反映させる
  • ありふれたマンション名は避ける

これらのポイントについて紹介しましょう。

1 理解しやすいマンション名であるか

マンション名に限りませんが、ネーミングの基本は、まず誰もが理解しやすい名前をつけることです。いくら思い入れがあったとしても、長い外国語をそのままカタカナに置き換えたり、多くの人が聞きなれない単語を使ったりするのはおすすめできません。

2 言いやすさ、聞きやすさ、書きやすさ、読みやすさを考える

マンション名は、伝えやすい名称であることも大切です。居住者にとって、マンション名を伝える機会は多くあります。そのため、聞き取りづらくて毎回聞き返されるようなマンション名では、生活する上でも支障が生じる可能性もあります。名前が長すぎて書きづらかったり、漢字が難しくてなかなか読んでもらえなかったりするマンション名は、居住者にとっては不便なものです。

3 建物のイメージを反映させる

マンションの名前に「レジデンス」を使って高級感を出したり、丘の上に立っているマンションの名前に丘の字を入れたりすることで、マンションのイメージを表しています。小さなアパートであってもレジデンスを名乗ることは可能ですが、名前から想像するイメージと実際の物件の差があまりに大きいと、物件のイメージが正しく伝わりません。

4 ありふれたマンション名は避ける

「駅名+ハイツ」といったありふれたマンション名は避けたほうがいいでしょう。シンプルで読みやすい名前であっても、ほかの物件と間違えられたり、記憶に残らなかったりする可能性があります。伝わりやすい名前というだけでなく、アクセントがあり、記憶に残りやすい名前であればベストです。

マンション名の付け方

マンションの名前を変更した場合の影響

マンションの名前は、後から変更することも可能です。ただし、手続きは簡単とはいえません。不動産登記の変更だけでなく、マンションの名前が記載されている箇所をすべて変更する必要があります。具体的には、電力会社、ガス会社、水道局、NTTなどに問い合わせ、名前の変更手続きをおこないます。

また、マンションの名前が変わることで、居住者には、運転免許証をはじめ、住所を登録しているさまざまな公共・商業サービスの変更手続きをする手間がかかってしまいます。マンション名変更の1ヵ月前には、入居者に対して通知されることが一般的です。

マンションの名前によく使われる言葉

マンションの名前としてよく使われるのは、「グラン」「グランデ」といった響きの良い外国語・外来語のほか、「シティ」「リバーサイド」などの物件のイメージや立地を指す言葉、「レジデンス」「メゾン」など外国語で建物や住居を表す言葉などです。
さらに、これらに地名や色、オーナーのイニシャルなどを組み合わせたパターンが多く見られます。

マンションの名前としてよく使われる言葉には、主に次のようなものがあります。

■マンション名に使われやすい言葉

言葉 由来・意味 使用例
アーバン 英語のurban、ラテン語のurbsに由来。「都市の」「都会の」「都市特有の」などの意味。 アーバンコート、アーバンハイム
エスポア フランス語のespoirに由来。「希望」「期待」などの意味。 エスポアヒルズ、エスポアメゾン
グラン 英語・フランス語のgrandなどに由来。「大きい」「豪華な」などの意味。 グランシンフォニア、グランアリーナレジデンス
グランデ スペイン語・イタリア語・ラテン語などのgrandeに由来。「大きい」「偉大な」などの意味。 グランデュオ◯◯
シーズン 英語のseasonに由来。「季節」の意味。 シーズンテラス
セント 英語のSt.に由来。「聖人」の意味。 セントレジデンス、セントレジス
メゾン フランス語のmaisonに由来。「家」「住宅」などの意味。 グランメゾン(「グランメゾン」は和製フランス語)
レジデンス 英語のresidenceに由来。「邸宅」「大きな住宅」などの意味。 ザ・レジデンス◯◯
ルミエール フランス語のlumièreに由来。「光」の意味。 ルミエール◯◯
ロイヤル 英語のroyalに由来。「王の」「王室の」の意味。 ロイヤルガーデン◯◯

マンションの名前はわかりやすく響きの良いものを

マンションの名前は、購入希望者に誤解を与えないようにルールさえ守れば、自由につけることができます。「グランデ」「レジデンス」などの言葉はマンションのおおよそのイメージ、地名は場所の手がかりになるため、マンションを購入しようとしている人にとっては、マンション選びの参考にもなります。
わかりやすさや言葉の響きを考えて、マンションの名前をつけるようにしましょう。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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