マンションフルリフォームの費用はどれくらい?目安と注意点を解説


マンションのフルリフォームを検討しようとした際に、最も気になるのは費用です。中古マンションを購入して改装した場合にどれくらいの予算が必要なのか、どうすれば費用を節約できるのか、費用面で気になることは多々あります。
ここでは、マンションをフルリフォームした場合の費用相場と、フルリフォームの際に注意したいポイントを紹介します。

リフォームとリノベーションの違い

マンションの改装方法にはリフォームとリノベーションがありますが、まずはこの違いについてご説明しましょう。

リフォームとは、住まいの設備や内装を新しい物に交換することをいいます。浴槽を新しい物に取り替えるだけでもリフォームですし、間取りの変更を含め、住居の設備を一新することもリフォームになります。
なお、フルリフォームは、部分的ではなく住居全体を一新することを指し、間取り変更を伴うケースも伴わないケースもあります。しかし、一般的には、一度骨組みだけを残して解体し、間取りや内装、設備などをすべて一から施工する、スケルトンリフォームとほぼ同じ意味で使われることがほとんどです。

これに対してリノベーションとは、既存の建物を改修して、新しい価値を創造することを意味します。原状回復を目的としたリフォームはリノベーションとはいえませんが、住まいに新しい価値をもたらす、間取りを変更するフルリフォームやスケルトンリフォームは、リノベーションともいえます。

マンションでフルリフォームが必要なケース

続いては、マンションでのリフォームにおいて、部分的ではなく、リノベーションにあたるようなフルリフォームが向いている状況について解説します。

全体的に設備が古くなっている場合

マンションの水まわりや給湯器、給水管などの設備は経年劣化するため、古くなると故障したり、不具合が発生したりします。
例えば、水まわり設備の寿命は、20年前後といわれています。設備を一つひとつ取り替えていたのでは、かえって多くの時間とお金がかかってしまうこともあります。そのため、マンションが完成してからかなりの年数が経過し、全体的に設備が古くなっている場合は、フルリフォームがおすすめです。

中古マンションを購入した場合

間取り変更も可能なフルリフォームの最大のメリットは、住居全体を自分好みの設備やデザインに変更できることです。個別にリフォームをおこなうよりも費用を抑えられますし、新築マンション購入に比べても、少ない費用で理想の住まいを手に入れることができます。

マンションのフルリフォームの費用相場

マンションのフルリフォームにかかる費用は、マンションの広さと選択する設備のグレード、間取り変更があるかないかといったことによって変わってきます。そのため、正確な金額は、見積もりを取ってみないとわかりません。

一応の基準としては、間取りを変える場合で、1㎡あたり10万~15万円が目安といわれています。専有面積60~80㎡の平均的な3LDKなら、600万~1,200万円程度かかる計算です。
間取りの変更が少なく、水まわり設備の交換やクロス・床などの張替えが中心であれば、2LDKで300万円程度からのフルリフォームが可能な場合もあります。

費用の差が出る部分

フルリフォーム費用の増額・減額に直結するのは、内装や設備のグレードです。例えば、コンパクトなキッチンであれば50万円程度で済みますが、壁つけタイプのI型キッチンからアイランドキッチンに変更する場合は、150万円くらいかかる場合もあります。内装や設備によって、リフォーム全体にかかる費用も変わってくるのです。

一方で、部屋の間取りを変更するために、現在の壁を取り払ったり、新しく仕切り壁や建具を取りつけたりする費用は部屋の広さとはあまり関係がなく、一定の金額で収まります。変更後の間取りを広い1LDKにするのか、部屋数を多くするのかといったことで多少の違いはありますが、そこまで大きな差にはなりません。

リフォーム費用を節約するポイント

次に、無駄を省いてリフォーム費用を節約するポイントについて紹介しましょう。次の3つのポイントを意識してみてください。

1 複数の業者から見積もりを取る

リフォーム費用には、材料費、人件費など、さまざまな費用が含まれており、料金設定は業者ごとに違っています。そのため、同じリフォーム内容でも、かかる費用は業者によって違います。
3社程度から見積もりを取れば、極端に高い業者は避けることができますし、極端に安い業者の安い理由もわかります。複数の業者から見積もりを取ることで、費用・内容の面で希望に沿った施工をしてくれそうな業者を選ぶことができるでしょう。

2 メーカーにこだわらない

特にこだわりがないのであれば、同じ機能を持つ安いメーカーの製品を採用することで、リフォーム費用を下げられる場合があります。メーカーにこだわりたい場合はグレードを下げるか、こだわる部分を絞ることでも費用を抑えることが可能です。

3 無理に高いグレードを選ばない

システムキッチンや浴槽などの設備は、グレードによって価格が大きく変わります。いろいろな機能があると便利ですが、本当に必要な機能だけに絞ってグレードを下げることで、リフォーム費用を節約できます。

マンションのフルリフォームにあたっての注意点

マンションのフルリフォームには、工事費用以外にも気をつけたい点がいくつかあります。最後に、注意したいポイントを2つ紹介しましょう。

1 内装や設備は今後のライフスタイルの変化も含めて考える

フルリフォームは多くの費用がかかるため、10年、20年先にライフスタイルが変わっても暮らしやすい住まいにしておくのが理想です。
例えば、現在は夫婦2人に子供1人でちょうどいい広さであっても、子供がもう1人生まれたら部屋が足りなくなることもあります。テレワークで自宅での仕事の機会が増えれば、オフィス勤務時には必要なかったワークスペースが欲しくなることもあるでしょう。

また、定年退職を機にフルリフォームするような場合は、今後足腰が弱ったときのことも考えて、バリアフリーにしたほうがいいかもしれません。
もちろん、将来のすべてを想定することはできませんが、内装や設備は今後10年、20年単位でのライフスタイルの変化も考えた上で選ぶのがおすすめです。

2 工事費以外も費用がかかる

マンションのリフォームには、工事費以外にもさまざまな費用がかかります。フルリフォームをおこなうのであれば、工事期間中は仮住まいが必要です。工事期間は1ヵ月程度が目安ですが、セカンドハウスや身を寄せられる実家がない場合、マンスリーマンションやホテルなどを利用することになり、その費用も発生します。
さらに、家具などの荷物を運んだり、預けたりする費用も考えておかなければなりません。

また、フルリフォームに合わせて家具を買い替えるなら、その費用も発生します。駐車場がない場合は、工事車両のための駐車場を借りる必要も出てくるでしょう。

工事以外の費用

リフォーム費用の詳細は見積もりで確認しよう

マンションのフルリフォームにかかる費用は、1㎡あたり10万~15万円が目安といわれていますが、使用する資材や設備によってかなりの違いが出てきます。
フルリフォームを考えるのであれば、まずは何社かに見積もりを取り、プランを比較するところから始めてみてください。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

Top