マンションへの引越しでやるべきこと。新築の一斉入居とは?


引越しは荷造りや手続きなど、何かと大変なものです。引越しをスムーズに進めるには、あらかじめ段取りを考えて準備しておく必要があります。
ここでは、マンションへ引っ越すタイミングと、新築マンション、中古マンション、賃貸マンションによる違いのほか、一般的な引越しの流れについて解説します。

マンションへ引っ越すタイミング

マンションへ引っ越すタイミングは、基本的には自分の都合に合わせて決めれば問題ありません。ただし、新築マンションへの引越しは、事情が異なる場合もあります。

戸数の多い新築マンションは一斉入居

戸数の多い新築マンションへの引越しは、一斉入居が一般的です。一斉入居とは、引越しの幹事会社となる引越し業者が入居者の引越しスケジュールを管理し、一定の期間内に引越しをおこなうものです。

新築マンションの入居可能日直後は、引越し希望者が多くなります。仮に、すべての入居者が入居可能日直後に引っ越そうと思ったら、さまざまな引越し会社のトラックで混雑するのはもちろん、エレベーターでも廊下でも動きがとりにくくなり、引越しがスムーズに進まないのは容易に想像できるでしょう。荷物の取り違えが起こったり、壁や家具が傷ついたりすることも考えられます。

一斉入居の流れ

一斉入居では、引越し期間や荷物の搬入経路、エレベーターの利用時間などが細かく決められています。
一般的な一斉入居の流れは次のとおりです。

一斉入居の流れ

1. 幹事会社に希望の引越し日時を伝える
まず、マンションの販売会社・管理会社から斡旋される幹事会社に、希望の引越し日時を伝えます。土・日・祝日など人気の高い日は抽選になるため、希望が叶うかどうかはわかりません。

2. 引越しの日時が決定
引越し日時が決まると、幹事会社から連絡があります。日付だけ指定される場合もあれば、作業時間まで細かく決まっている場合もあります。作業時間の設定は、2、3時間とされることが一般的です。

3. 引越しをする
指定された日時に引っ越します。日付の指定しかされていない場合、搬入作業は早い者勝ちとなり、混み合っていると数時間待ちということもありますので注意しましょう。

幹事会社以外の引越し業者に依頼する場合

一斉入居を取り仕切るのは幹事会社ですが、幹事会社以外の引越し業者に依頼することも可能です。ただし、どの引越し業者を使う場合でも、決められた日時や搬入経路、トラックの駐車場所といったルールは守らなくてはいけません。
別の引越し業者に依頼する場合は、あらかじめ一斉入居のルールを伝えておかないとトラブルが発生したり、追加料金が発生したりする可能性があるため、見積もりの段階で必ず伝えるようにしましょう。

中古マンション・賃貸マンションはそれぞれのタイミングで

中古マンションや賃貸マンションへの引越しでは一斉入居はなく、入居日以降の好きなタイミングでおこなうことができます。現住居の賃貸契約期間や休みが取りやすい日などを考えて、引越し日を決めましょう。

引越し前におこなうべきこと

引越しは当日の作業が大変なだけではなく、それ以前に準備しておくことも多々あります。大切な手続きを忘れてしまったり、当日に慌てたりしないよう、しっかり準備をしておきましょう。

引越し業者への見積もりの依頼・選定

入居日が決まったら、引越し業者に見積もりを依頼します。同じ荷物量・条件でも、業者によって価格は違いますので、見積もりは複数社から取るのがおすすめです。
一斉入居で幹事会社以外に見積もりを依頼する場合は、詳しいルールを伝えた上で、見積もりを出してもらいましょう。

電気・ガス・電話・水道などの手続き

電気・ガス・電話・水道など、インフラの利用停止・開始手続きも必要です。電気・ガス・電話は、それぞれ契約している会社に連絡して手続きしましょう。水道は、自治体の水道局に連絡します。
なお、ガスについては、利用開始時に立ち会いが必要になるため、できるだけ早めに手続きしておくといいでしょう。

転出届など役所への届け出

引越しの2週間前から1週間前くらいを目安に、市区町村役場で転出届を提出しましょう。転出届を提出すると、転出証明書が交付されるので、引越し後2週間以内に、新住所の市区町村役場に提出します。
また、国民健康保険証の返納、印鑑登録証の抹消、介護保険被保険者証の返納、ペットの登録住所変更手続きなども市区町村役場でおこないます。

子供に関する手続き

就学中の子供がいる場合は、市区町村役場で転校手続きをおこないます。子供が未就学児で、引越し先で保育園を利用したい場合は、できるだけ早く引越し先の市区町村役場に問い合わせ、保育園の空き状況を調べてもらいましょう。

児童手当を受け取るための住所変更手続きも、市区町村役場でおこないます。同じ自治体内での引越しであれば児童手当の手続きは不要ですが、異なる自治体に引っ越す場合は児童手当受給資格消滅届を提出しなければなりません。
ただし、自治体によっては転出すると自動的に児童手当の受給資格がなくなる場合があり、その場合は児童手当受給資格消滅届の提出は不要です。

郵便局に転送届を提出

旧居に届いた郵便物を新居に転送してもらうために、郵便局に転送届を提出します。提出することで、1年間にわたって旧居に届いた郵便物を転送してくれます。
本人確認できる書類を持って郵便局に行き、転送届を提出するほか、インターネットでも手続きをすることが可能です。

計画的な荷造りとゴミ捨て

荷造りを短期間でおこなうのは大変なので、計画的に進めていくのがおすすめです。買い置きしている日用品や季節外れの衣類、本など、すぐに使う予定がない物から荷造りを始めるといいでしょう。
キッチン用品など、普段使う物は引越し前日に、布団やカーテン、洗面用具などは引越し当日にと、日にちを分けて荷造りをするとスムーズに進みます。

また、片づけ中に出たゴミや処分する家具などは、計画的に捨てないとすぐに溜まってしまいます。粗大ゴミは自治体によって回収の日が決まっているため、計画的に捨てていきましょう。

引越しの挨拶

引越しの挨拶も、余裕を持っておこなうようにしましょう。引越し当日は忙しく挨拶をする余裕もありませんし、近隣が留守にしている場合もあります。挨拶の品は、タオルや洗剤などのほか、日持ちするお菓子などが一般的です。

引越し当日におこなうべきこと

引越し当日は引越しの作業だけで忙しくなりますが、手続きに立ち会いが必要になることもあります。引越し当日におこなうべきことは次のとおりです。

退去立ち会い

賃貸物件に住んでいた場合は、退去時の立ち会いが必要です。荷物の搬出が完了した後に、管理会社が物件の状態を確認し、退去後の原状回復工事の費用負担を決めることになります。立ち会いが済めば、退去完了です。

電気・ガス・水道の使用開始

退去が終わり、新居に移ったら、電気・ガス・水道の使用を開始します。電力会社にあらかじめ使用開始日を伝えておけば、電気はブレーカーを上げるだけで使用可能です。
水道も元栓を開くだけで使えるようになりますが、ガスだけは開栓の立ち会いが必要になります。

引越し後におこなうべきこと

引越しが終わった後でも、おこなうべきことは多々あります。主に、住所変更などの手続きが中心ですので、引越し後にできるだけすみやかにおこなったほうがいいでしょう。

転入届など役所への届け出、転校手続き

市区町村役場への住所変更関連の手続きは、引越し後14日以内におこないましょう。転入届を提出するだけでなく、国民年金、マイナンバーカード、国民健康保険、児童手当、ペットの登録住所変更、印鑑登録、転校手続きなども、市区町村役場でおこないます。
まとめて手続きできるように、しっかり準備しておきましょう。

銀行やクレジットカードなどの住所変更手続き

銀行やクレジットカードなどの住所変更手続きは、引越し後、できるだけすみやかにおこないましょう。手続きをしなかったり、遅れたりすると、重要な書類やお知らせが届かなくなってしまうかもしれません。
インターネットで住所変更手続きができる金融機関も多いため、空いた時間で手続きすることも可能です。

運転免許証の住所変更

運転免許証の住所変更は、住所変更後、すみやかに手続きするよう法律で定められています。引越し後、いつまでにという具体的な期限は設定されていませんが、身分証として使う機会も多いため、早めにおこなっておくのがおすすめです。運転免許試験場や運転免許センター、警察署、一部の交番で住所変更手続きができます。

自動車やバイク関連の住所変更手続き

自動車やバイクを所有している場合は、引越し後に各種手続きをおこなわなければなりません。
自動車の場合は、自動車保管場所証明書(車庫証明書)の申請、自動車検査証(車検証)の住所変更、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の住所変更が必要になります。
バイクの場合も住所変更の手続きが必要ですが、125cc以下の原付とバイク(軽二輪・小型二輪)では届け出先が異なります。125cc以下の原付は新住所の市区町村役場にて、軽二輪と小型二輪の場合は国土交通省の運輸支局にて手続きします。それぞれ必要書類も異なりますので、忘れずに準備しておきましょう。

マンションへの引越しは準備をしっかりと

引越しには、さまざまな手続きや準備が必要になります。また、新築マンションへの引越しでは一斉入居になることがあり、一斉入居の流れを想定した準備をすることが大切です。
引越し前後は対応すべきことがたくさんありますが、引越しの流れを理解し、しっかり準備してスムーズに引っ越せるようにしましょう。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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