マンションが値下がりする理由は?価値が下がりにくい条件について


一般的に、マンションは築年数が経つほど資産価値が下がり、価格も下がっていくものです。しかし、中には築年数10年が経過しても、新築時からほとんど資産価値が変わらない物件もあります。
資産価値の下がらないマンションを手に入れるためには、マンションが値下がりする条件を踏まえて購入を検討することが大切です。
ここでは、マンションが値下がりする理由や、価値が下がりにくいマンションの特徴や条件について解説します。

マンションが値下がりする4つの理由

マンションの価値が下がる要因としては、築年数の経過はもちろん、周辺環境や経済状況の変化なども考えられます。
マンションが値下がりする理由は、主に下記の4つです。

  • 築年数の経過
  • 新古物件または中古物件になる
  • 周辺環境の変化
  • 経済状況の変化

築年数の経過

一般的に、マンションは築年数が経つほど資産価値は低下していきます。入居者が決まらず空室状態が続くと、不動産会社や所有者に管理費などの負担がかかるため、売り手側としても早めに買い手を見つけたいのが本音です。そのため、売り手側は値下げすることで、早めに売却しようと考えます。
周辺環境の良さや交通利便性の高さから、築年数が経っても資産価値が変わらないマンションも存在しますが、多くの物件は新築時をピークに値下がりしていきます。

新古物件または中古物件になる

新築とは、竣工から1年以内の物件のことを指します。しかし、誰も入居しないまま1年経過すると新古物件となり、販売価格も下げられます。
また、新古物件よりもさらに値下がりする中古物件となるのは、竣工から2年以上経った場合か、誰かが一度所有した物件です。
マンションの価格は、新築から新古、中古と、徐々に値下がりしていきます。

新古物件と中古物件

周辺環境の変化

マンションの周辺環境が悪化すると、マンションの価値が下がってしまう場合があります。
例えば、マンションの向かいに大きな建物が建てば、日当たりや眺望の面で条件が悪化してしまうため、マンションの人気も下がり、値下がりする可能性が高くなります。
ほかにも、マンションの近くにあまり印象の良くない建物が建てられたり、治安の悪さを招く施設ができたりすることも、マンションの価値が下がる要因です。

また、マンションの近くに線路や幹線道路が新たにできると、騒音や振動などの影響を受けます。静けさを重視したい人にとっては、歓迎できる条件ではなくなってしまいます。

経済状況の変化

マンションなどの不動産価格は、景気が良くなれば上がり、悪くなれば下がるのが一般的です。
代表的な例が2008年のリーマンショックで、このときもマンション価格が下落しました。しかし、2012年からは経済政策の効果もあり、マンション価格は上昇傾向にあります。

とはいえ、マンション価格の変化は、経済要因だけではないということも難しいところです。2020年になると、新型コロナウイルス感染症拡大と東京オリンピック・パラリンピック延期の影響を受け、マンションの価格も下がると予測されました。しかし、実際に物件価格は下がったと断言できる状況ではありません。
経済状況によってマンション価格も変動しますが、その判断は難しいといえるでしょう。

値下がりしにくいマンションの特徴

築年数が経ってもあまり資産価値の下がらないマンションもあります。では、どういった条件であれば資産価値が下がらないのでしょうか。
その特徴としては、主に下記の5つが挙げられます。

  • 人口の減りにくいエリアにある
  • 知名度の高いマンションブランドである
  • 交通の利便性が高い
  • 住みやすい部屋の配置
  • 管理が行き届いている

人口の減りにくいエリアにある

マンションなどの不動産価格は、買い手と売り手の需要と供給のバランスによって決まります。人口が減りにくい、または人口が増え続けるエリアであればマンションの需要があるため、不動産の価格は下がりにくいといえます。
具体的には、次のようなエリアは人口が減りにくい傾向にあるといえるでしょう。

  • 高級住宅街などがあるイメージのいいエリア
  • 自治体が景観整備を積極的におこなっているエリア
  • マンション開発が進むなど、再開発がおこなわれるエリア
  • 複数路線が交わる交通利便性の高いエリア
  • 利用者の多い急行停車駅や始発電車に乗れるターミナル駅が最寄りのエリア

知名度の高いマンションブランドである

人気のマンションブランドの物件も、値下がりしにくい傾向があります。大手のデベロッパーが開発したり、大手ゼネコンが建設したりしているマンションの場合、企業の知名度も高いため、信頼感や安心感があると考えられています。
反対に、知名度の低いデベロッパーの手掛けたマンションは、大手デベロッパーと比較して安くなる傾向があります。購入時はお得に感じられますが、売却する際に高い価格で売れない可能性があります。

交通の利便性が高い

交通の利便性も、マンションの価格に大きく影響します。特に都心のマンションの場合、最寄り駅の徒歩圏内にあるかどうかを重視する人も多いのが現状です。これは、マンションを賃貸物件として貸し出す際に、駅近物件であれば借り手がつきやすいということもあります。
具体的な距離としては、最寄り駅から徒歩10分圏内のマンションであれば資産価値は高くなる傾向があります。
特に、駅から徒歩1分以内や駅直結型のマンションは、築年数が経過してもほとんど資産価値は下がりません。

住みやすい部屋の配置

住みやすい部屋の配置になっていることも、資産価値が下がりにくい条件です。
例えば、住戸の向きが南向きであれば日当たりも良く、人気が高い配置だといえるでしょう。南向きの次には、西向き、東向き、北向きの順で人気です。2面採光が可能な角部屋も人気があります。
また、海や山が見えるなど、眺望の良いマンションも資産価値が下がりにくいといえます。

管理が行き届いている

マンションは経年劣化するため、できる限り資産価値を保つようにメンテナンスをする必要があります。そのため、定期的な修繕・管理がおこなわれており、清掃や破損箇所の早期修繕といった管理が行き届いているマンションも価格が下がりにくいといえます。
マンションのメンテナンスや管理が行き届いているかどうかを判断するためには、次のような点をチェックしてみましょう。

  • エントランスやポスト周辺が、常に清掃された状態か
  • 駐車場や駐輪場は清掃されているか
  • 外壁にひび割れがないか
  • タイルがはがれ落ちていないか
  • 設備に破損個所がないか(半年から1年以内に修繕しているか)

また、マンションの修繕積立金がどんな状況になっているかも、値下がりしにくいマンションかどうかを判断する材料です。例えば、修繕積立金が安すぎる場合、外壁や設備の修繕費用が足りずに放置されてしまい、マンションの資産価値が下がってしまうこともあるでしょう。

修繕積立金の相場は、マンションの規模によって異なります。目安としては、国土交通省が2011年に発表した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」によると、10階建て・延床面積8,000㎡のマンションで、住戸の面積が80㎡の場合、修繕積立金は月に1万6,160円とされています。

修繕積立金が毎月数千円と極端に安く設定されているマンションは、今後、大規模修繕をおこなえない可能性が高いため、あらかじめ長期修繕計画を確認しておくことも大切です。

値下がりするマンションの特徴を踏まえた物件探しを

マンションが値下がりする要因はさまざまで、購入時は確認すべきポイントも多くあります。入居してから後悔することのないよう、マンション購入で優先したい条件をもとに、じっくり検討するようにしましょう。
値下がりしやすい物件・しにくい物件の特徴を踏まえてリサーチし、納得のいくマンションを見つけてください。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

Top