マンション1階の防犯対策のコツは?侵入されやすい理由について


マンションは高層階ほど人気が高く、低層階はセキュリティやプライバシーの面で不安を感じる人もいます。特に1階は、高層階に比べて外から侵入しやすいということもあり、マンションによっては1階に住戸を設けず、エントランスのみにしたり、コンビニなどの店舗や車庫を設置したりする場合もあります。
ここでは、マンションの1階が侵入されやすい理由と、侵入されにくくする防犯対策について解説します。

マンション1階の部屋が侵入されやすい理由

マンション1階の部屋は、専用庭がついていたり、下の階に気を使わなくて良かったりするメリットがありますが、セキュリティの面でのデメリットがあるのは確かです。
まずは、マンション1階の部屋が空き巣などに侵入されやすい理由について見ていきましょう。

ベランダや庭からの侵入が多い

マンション1階の部屋では、道路に面した専用庭などから侵入されるケースが多くなっています。
マンションによっては高い塀で囲われていて、オートロックになっている場合もあります。しかし、高い塀であっても乗り越えることはできますし、玄関にオートロックがあるとしても、セキュリティ対策が手薄になっている窓やベランダから侵入されてしまうこともあるでしょう。
このように、高い塀に囲まれていたり、オートロックがついていたりしていても、絶対侵入されないわけではありません。

植え込みは姿を隠しやすい

マンション1階の部屋は、植え込みを設置して外から部屋の中が見えないようにしている場合があります。しかし、この植え込みは、侵入者が姿を隠せる場所にもなる可能性があるのです。空き巣などの侵入者は、侵入経路だけでなく逃走経路もあらかじめ想定しており、植え込みなどの死角は、侵入・逃走に使われることもあります。
マンション選びの際や防犯対策を考えるときは、敷地内に死角となる部分はないか、夜間の照明は暗くないかなど、侵入しにくい構造になっているかをチェックしましょう。

侵入されにくい防犯対策のポイント

マンション1階の部屋は侵入しやすいということもあり、防犯対策をしっかりとおこなう必要があります。
玄関のドアだけでなく、窓やそのほかの侵入経路になる場所に防犯対策をおこないましょう。
特に、セキュリティ面で不安な部分から対策していく必要がありますが、下記で紹介する観点から対策することをおすすめします。

侵入に時間がかかると思わせる

空き巣などの侵入者は、侵入に時間がかかりそうだとわかると、侵入をあきらめるといわれています。財団法人都市防犯研究センターの調査によると、侵入に5分かかると、泥棒の約7割は侵入をあきらめるという結果が出ています。
そのため、二重ロックにしてドアを通常よりも開きにくくしたり、夜間は家の周辺をライトなどで明るくして侵入経路を少なくしたり、短時間での侵入が難しいと思わせることがポイントです。
侵入者の目線に立ち、侵入をあきらめさせるよう、玄関や窓、そのほかの侵入経路などの防犯対策を施す必要があります。

玄関の防犯対策

玄関のドアの防犯対策は、必要不可欠です。マンションの場合、鍵の変更をはじめ、2重ロックにしたり、サムターン回し対策を講じたりするといいでしょう。

・鍵を厳重に管理する
合鍵を複製されて侵入されるケースは、実は意外と多くあります。鍵に刻印されているメーカー名と鍵番号さえわかれば、簡単に合鍵を複製されてしまうため、鍵は厳重に管理しましょう。鍵を見せない、貸さない、放置しないといった意識が大切です。
それでも不安な場合は、簡単に合鍵を複製できないタイプに変えましょう。

・ピッキング対策の鍵を取りつける
玄関ドアの鍵を簡単に開けさせないためには、高性能な鍵を設置する方法があります。一般的なディスクシリンダータイプの鍵は、ピッキングで解錠されてしまいやすいため、防犯性能は高くないといえます。
ピッキング対策に適しているのは、近年主流になりつつあるディンプルキータイプ。ディンプルキーは、複製されにくい点もメリットです。

シリンダーキーとディンプルキー

・サムターン回し防止
サムターン回しとは、外からドリルなどを使ってドアに穴を開け、棒などでドアの内側のサムターン(つまみ)を回して鍵を開けるという手口です。手軽に設置できるサムターン回し防止グッズとして、サムターン用のカバーを設置するといいでしょう。

サムターン回し防止

・玄関ドア用補助錠
玄関ドアの2つ目の鍵として、補助錠を取りつけるという手もあります。2重ロックになるため、ピッキングをしようとしても時間がかかります。また、玄関ドアを見て2重ロックだとひと目でわかれば、その時点で侵入をあきらめさせることもできるでしょう。

玄関ドア用補助錠

窓からの侵入対策

マンション1階の部屋は、窓からの侵入対策も必要です。窓に施せる主な対策には、下記のようなものがあります。

・窓用補助錠
玄関と同様に、窓にも補助錠を取りつけて二重ロックにすると効果的です。ベランダの窓はもちろん、できれば浴室などの窓にも設置するといいでしょう。

・窓ガラス用防犯フィルム
鍵に近い部分の窓ガラスを割って、外から解錠する手口を使う侵入者もいます。その対策として、窓ガラス用の防犯フィルムを貼ってみましょう。保護フィルムによってガラスが強化されるため、窓ガラスを割るにも時間がかかるようになります。

・二重サッシ
リフォームが可能であれば、思い切って二重サッシにしてしまうという方法も有効です。二重サッシにすることで、侵入に時間がかかるようになります。二重サッシは防音性能にも優れているため、騒音対策にもなるというメリットがあります。
ただし、一般的に窓は共用部分であるため、二重サッシを検討する際にはまず、管理規約を確認するようにしましょう。

侵入経路になりそうな場所を明るくする

侵入者の侵入経路を明るくすることで、侵入をあきらめさせるという防犯対策もあります。
専用庭や窓周辺が暗い場合は、人感センサーで自動的に明かりがつくライトを設置してみましょう。明るくすることで死角をなくし、侵入者が近づいたときに明るくなるため、中にいても気づきやすくなります。
ライトを設置する際には、外側に向けるのではなく、窓やドアを照らす角度で設置しましょう。

カメラを設置して侵入をあきらめさせる

目立つ位置にカメラを設置しておくのも防犯対策のひとつです。防犯カメラに記録が残ってしまうとわかると、侵入者が侵入をあきらめる可能性も高くなります。
次のようなカメラの設置を検討してみてはいかがでしょうか。

・防犯カメラ
防犯カメラがあることで、侵入者が侵入をあきらめる可能性が高くなります。もし被害に遭ったときには、犯人を突き止める手掛かりにもなるでしょう。本物の防犯カメラではなく、ダミーのカメラを設置するだけでも、ある程度の効果は期待できます。

・ドアスコープカメラ
ドアスコープとは、玄関ドアから外の様子を見られるのぞき穴のこと。ドアスコープに設置するカメラは、工事が必要な場合もありますが、中には手軽に設置できる物もあります。
ドアスコープカメラには、玄関ドアの前に人が立ったときに自動で写真を撮影するタイプや、動画を撮れるタイプなどがあります。生活パターンや玄関ドアの形状、予算などを踏まえて検討しましょう。

マンション1階の死角をカバーする防犯対策を

マンション1階は、玄関や窓、専用庭など、セキュリティの弱い部分から侵入されやすくなります。そのため、死角を作らないような防犯対策が必要となります。
マンションを購入するにあたって、オートロックつきの物件だからと安心せず、マンションの構造や防犯カメラの有無などもしっかり確認する必要があります。
手軽に購入できる防犯グッズも多くあるため、活用しながら防犯対策をしていきましょう。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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