マンションのリノベーション費用はいくらかかる?相場は?業者・設備の選定法と安く抑える7つのコツ


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マンションのリノベーション費用は、壁を増やさない、水回りを移動させないなど、簡単なことで安くすることができます。リノベーションの費用相場は、新築購入に比べて不透明な部分が多いため、いくらかかるのか不安な人も多いでしょう。今回は、気になるリノベーション費用の目安や、安く抑えるコツをご紹介します。

リノベーション費用の相場

一言にリノベーションといっても、実施する内容によって必要な費用は大きく変わってきます。ここでは特に、高額となる場合があるスケルトンリノベーションと水回りのリフォームについて事例をもとに、価格相場を見ていきましょう。

スケルトンリノベーションの費用

スケルトンリノベーションとは、部屋を建物の躯体部分だけ残して解体し、内装や設備を一新して造り直す手法のことです。フルリノベーション、フルリフォームとも呼ばれます。

中古マンションのスケルトンリノベーションにかかる費用は、1平方メートルあたり平均10万~15万円です。上記の費用単価で、部屋の広さが70平方メートルとすると、中古マンションのスケルトンリノベーションの費用は、700万~1,050万円が目安となります。
なお、部屋が狭いほど1平方メートルあたりの単価は高くなる傾向がありますので、ご注意ください。

水回りのリフォームの費用

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水回りのリフォームにかかる費用相場は、10万円未満から700万円と幅広くなっています。
実際にかかった費用をもとに、水回りのリフォームの費用相場を見ていきましょう。

・洗面所・脱衣所のリフォーム:10万~76万円
洗面化粧台の交換であれば、10万円以下から可能です。商業店舗で見かけるデザイン性の高い造作洗面台を導入し洗面所回りを一新するとなると、50万円以上かかります。型落ちの商品を紹介してもらったり、セールのタイミングを狙ったりすれば費用を抑えられるでしょう。

・トイレのリフォーム:8万~82万円
トイレのリフォームにかかる費用は、便器本体の価格によって大きく変わります。本体価格は、タンクレスで自動開閉や洗浄機能がついているタイプで20万~30万円程度です。和式から洋式へ変更する場合は、約30万〜50万円程度かかります。
便器の交換を行わずにクロスやフロアの張り替え、ウォシュレットの設置のみを行う場合は、5万円程度で済む場合もあります。

・キッチンのリフォーム:62万~560万円
位置は変えずに設備を交換するのか、レイアウトを変更して対面式キッチンにするのか、水回りの位置を移動させるかどうかで、キッチンのリフォーム費用は大きく変わります。
また、設備のグレードによっても異なり、コンロやビルトイン機器を交換するだけなら、3万円以下で済む場合もありますが、ハイグレードのキッチンにオプション機器をつけると、100万円を超える場合がほとんどです。

・浴室のリフォーム:70万~215万円
現在の浴室が在来工法かユニットバスかによって、浴室のリフォーム費用は大きく変わります。現在の主流はユニットバスですが、在来工法の浴室をユニットバスに変更するには、別途解体費用がかかります。浴槽やタイルの交換だけならば、比較的費用を抑えられるでしょう。

費用がかさみやすいリノベーションは?

特にリノベーション費用がかさみやすいのは、間取り変更と水回りの移動に関する工事です。
なぜ多くの費用がかかってしまうのか、またどのような工事が必要なのか見ていきましょう。

間取り変更工事

間取りの変更で壁を撤去する場合、費用は30万円以内で済むことが一般的ですが、収納や部屋を造るために壁を追加すると、費用は高額になります。
解体作業から壁の増設まで行うとなると施工期間が長くなるため、材料費だけでなく人件費がかさみ、結果として総工事費が大きくなってしまうのです。

水回りの移動工事

水回りを移動させるにはさまざまな工事が必要となり、リノベーション費用がかさみます。
キッチン、浴室、トイレなど、水回りの給配水管やガス管、排気ダクトなど、さまざまな設備を移動させるため、解体、取りつけ、内装工事、給排水管工事、電気工事などの工事が必要です。
特にマンションの場合、水回りの位置を変えることでパイプスペースから遠くなると、適切な勾配をつけるために床を上げる等の追加工事が必要になり、費用が高額になる場合があります。

リノベーションの費用を抑えるためのコツ

リノベーション費用は、リノベーションの知識が深くなくても、ちょっとしたコツを押さえれば安くできます。ノベーション費用を抑えるための7つのコツをご紹介しますので、自身のリノベーションプランと照らし合わせて参考にしてください。

Step1 壁を減らす

リノベーションの費用を抑えるコツとして、壁の数を減らすことが挙げられます。躯体のみのスケルトン状態から壁を造ると、その分、工事費用がかかります。思い切ってフロアを間仕切り壁のない1つの空間にしてみるのも有効な方法です。
間仕切り壁の代用として、衝立(ついたて)やパーテーション、スタッキングシェルフ、遮光ロールスクリーンなどのアイテムを使えば、空間をおしゃれに分割できます。コストダウンと同時に、空間コーディネートを楽しめるでしょう。

Step2 収納の扉を減らす

収納の扉を減らすこともリノベーション費用を抑える有効な手段です。「収納には扉が必要」という既成概念を取り払ってみると、扉のないオープンな収納も案外便利かもしれません。特に、洗面台や洗濯スペース回りの収納は、扉をなくすと通気性が良くなり、取り出しやすいので相性がいいでしょう。
もうひとつの知識として、クローゼットなどの収納スペースの扉は、同じ間口の広さならば4枚扉よりも2枚扉のほうが、パーツの数や仕上げの手間が減るため安くなります。枚数を減らせないか意識するだけで、3万~10万円のコストダウンが可能です。

Step3 水回りのリフォームは設備交換をしてイメージチェンジ

水回りのリフォームは、極力、配管設備を移動させないことが費用を抑えるコツです。水回りを配管ごと移動させず、住宅設備を新しい物にしてイメージチェンジできないか検討しましょう。水回りを移動させるのは必要な工程が多く、工事の総額が高くなりがちです。

水回りのイメージを新しくしたいのであれば、「配管設備はそのままに、洗面台などの設備を交換する」「クロスの素材を変更する」などすれば、費用を安く抑えられます。キッチンのイメージを一新したいとき、レイアウトを変更するのでなくアイテムを使うことで、イメージチェンジを楽しんでみてはいかがでしょうか。

キッチンにステンレスのユニットシェルフを設置しヴィンテージスタイルに仕上げたり、壁にキッチンタイルを貼って北欧風に仕上げたりするなど、水回りの位置を移動しなくてもイメージを刷新する方法はたくさんあるはずです。

Step4 床材や建具のグレードを落とす

リノベーション費用を安くするには、床材や建具のグレードを落とすことも有効な手段です。グレードを落とすといっても、必ずしも品質が悪い物で我慢するということではありません。大量生産することでコストを抑える量産品であれば、質を維持したままコストを安くできます。
色や柄はシンプルで汎用的なものになりますが、「どうしてもこのオリジナリティあふれる色で統一したい」など、強いこだわりがないのであれば納得のいくイメージチェンジができるでしょう。

Step5 施工実績が豊富な業者を選ぶ

リノベーション費用を抑えるには、キッチンリノベーションやトイレリフォームなど、それぞれの分野を得意とする業者を選んで依頼することも大切です。

工務店やリノベーション会社など、施工業者によって得意な分野は異なります。施工事例を見て、希望するリノベーションに関係する工事を多く手掛けている業者を選ぶといいでしょう。キッチンリノベーションの工事を多く手掛けているということは、キッチン回りの資材や設備のメーカーとの取引量も多いので、安価に仕入れることができる場合があります。

Step6 設備のメーカーは業者に安いところを紹介してもらう

システムキッチンやシステムバスなどの設備は、メーカーにこだわりがないのであれば、施工業者に相談し、同品質でより安い設備を紹介してもらいましょう。
施工業者は、安く仕入れられるルートを持っていることが多いです。

Step7 スケルトンリノベーションを試みる

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大幅なリノベーションが必要であるとわかっているなら、思い切ってスケルトンリノベーションにしたほうがお得になるケースもあります。
元とまったく異なる間取りに変更する際、少しずつ壁を撤去したり追加したりするよりも、最初に建物の躯体以外をすべて解体して作業に入るほうが、費用はかかりません。かかる材料費は同じですが、作業工数が減ることで工期が短縮され、人件費の削減につながるからです。
既存住宅の外枠を活かしつつイメージを大きく変えたい場合、スケルトンリノベーションだといくらになるか確認してみましょう。

リノベーション費用は小さな工夫で安くなる

マンションのリノベーション費用は、完全に業者任せにせず、自分でできることを工夫して提案すれば、安くなります。業者に相談する際、安くするコツを知識として備えておけば、足元を見られる心配はありません。
節約した分を、ほかの箇所のリフォーム・リノベーションの費用にあてることもできます。より理想の暮らしに近づけるため、本記事をぜひ参考にしてみてください。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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