豪華なモデルルームでイメージを膨らませる新築分譲マンションと違って、中古マンションは実際に生活している状態を内覧できるため、より現実的かつ具体的に住み心地を検討して購入することになります。
内覧では、瑕疵や欠陥を見逃さず、必要な情報はしっかりキャッチしたいもの。ここでは、中古マンション内覧時に押さえておきたいチェックポイントを紹介します。
中古マンション内覧時のチェックポイント
中古マンションの内覧では、購入を検討している部屋の状態だけではなく、マンション全体に関わることも確認することができます。
Point1 マンションの管理状況
エントランス周辺の掃除が行き届いているか、植栽や中庭が適切に手入れされているかといった点を確認し、マンションの管理状況を把握しましょう。また、外壁にひび割れなどはないか、外観から受ける印象も内覧時に確認しておきたいところです。
Point2 住んでいる人たちの印象
マンション内に住んでいる人や管理人とすれ違った際の反応から、マンションに住む人の関係性を推し量ることができます。フレンドリーな交流を望んでいるのか、最低限の交流のみで済ませたいのかといった人間関係に対する自分たちの要望も踏まえて、住んでいる人の雰囲気を見ることをおすすめします。
Point3 自分たちが住む場合のシミュレーション
何より重要なのが、自分たちが住む場合のシミュレーションです。実際に最寄り駅から歩いて街の雰囲気を確認したり、室内での家事動線、生活動線などを考えながら動いてみたりして、住むことをイメージしながら確認しましょう。
マンション内覧で注意すべきこと
マンション内覧時には、建物や部屋の状態をしっかり確認しておきたいもの。その際に注意しておきたい点がいくつかあります。
Point1 所要時間をしっかり取って確認
中古マンションの内覧でよくある失敗例が、「住んでいる人に気兼ねしてチェックできないところがあった」「事前に売主や販売会社から指定された制限時間を気にしすぎて確認が甘くなってしまった」というケースです。住宅全体をしっかり確認するには、少なくとも1時間半、できれば2時間は欲しいところ。所要時間はしっかり取って、気になるところはすべて見て回るようにしましょう。
Point2 時間を変えてマンション周辺の印象を確認
マンションの印象や住み心地は、時間帯によっても異なります。内覧を何度もするのは難しいかもしれませんが、周辺は朝、昼、晩、平日、休日と、時間を変えて訪れておいたほうがよいでしょう。「昼間は明るいけど、街灯が足りないので夜は暗い」「平日朝は会社員や学生が集中するため、駅が混雑する」「近くにイベント施設があるので、平日は穏やかだが休日は人が殺到する」といった街の表情の違いを確かめることができます。
Point3 オーナーへの配慮
忘れてはならないのがオーナーへの配慮です。いくら内覧という形で開放しているといっても、最低限のマナーを守らない人には、「売りたくない」という気持ちが芽生えて当然です。
購入を決めた際に契約をスムーズに進めるためにも、スリッパをきちんと履く、ドアの開け閉めは静かに行う、居室や収納のドアを開けるときは一言断るというように、良い印象を与える行動を心掛けましょう。
マンション内覧に持っていきたいもの
中古マンションの内覧をする際、手ぶらで行くのはおすすめできません。最低限、下記に挙げた物は持っていくようにしましょう。
・間取り図
不動産会社が用意してくれた間取り図には、現状の住まいと異なっている点や、気になる点を書き込むことができます。帰宅後の検討のためにも、必ず持っていきましょう。
・筆記用具
筆記用具は、気づいたことや、後から確認したいことなどをメモするために必要です。
・メジャー
冷蔵庫や洗濯機など、大型家電の搬入口や設置場所の大きさを、メジャーで測っておきましょう。引越しするときに持っていきたい家具があれば、自宅で測った寸法のメモも持っていくことをおすすめします。カーテンの高さやベッドの位置なども測れるよう、3~5m程度の長さがあるメジャーを持っていくとよいでしょう。
・カメラ
部屋全体の印象を記憶に残すために、カメラも必要です。スマートフォンのカメラでも代用可能です。具体的には次のような箇所を撮影しておくとよいでしょう。
- 各部屋の全体写真
- 冷蔵庫置場
- 食器棚スペース
- 廊下
- 浴室
- 洗濯機置場
- トイレ
- ベランダからの眺め
- 玄関
マンション周辺でチェックしておきたいこと
続いて、内覧時の具体的なチェックポイントについて見ていきましょう。まず、マンション周辺でチェックしておきたいのは次の2点です。
駅からの距離
最寄り駅からの所要時間を、徒歩、バスなど実際に使用する交通手段を使って計ってみましょう。徒歩なら、昼夜それぞれの明るさや人通りの多さも含めて確認することが大切です。
生活に必要な施設
スーパー、役所、学校など、生活に必要な施設も確認します。スーパーはどこにあるか、商品の充実度はどうかといったことも、今後の生活をイメージする上では欠かせない要素です。さまざまな手続きで足を運ぶことが多い役所や、お子さんがいる場合は学校の場所と家からの道順も確認しておきましょう。
マンションの共用設備でチェックしておきたいこと
マンション内部の共用設備では、下記のような点を確認しておきましょう。
外壁
外壁に目立つ傷やひび割れがないかを確認しましょう。適切なメンテナンスが行われているかどうかがわかります。
エントランス
エントランスでは、管理人やコンシェルジュはどのような形態で勤務しているかを確認します。清掃が行き届いているかもチェックしておきます。
エレベーター
エレベーターの位置や台数も、生活する上で気になるところです。朝の通勤時間にどれくらい混むのかも聞いておきましょう。
廊下
部屋までの廊下についても、清掃が行き届いているか、電球はついているかをチェックします。また、各戸の私物が廊下に放置されているかどうかも見ておきましょう。
ゴミ置き場
ゴミ置き場の場所も確認しつつ、ゴミが分別され、清潔に保たれているかもチェック。特に、部屋がゴミ置き場に近い場合は、しっかり確認したほうがいいでしょう。
駐車場・駐輪場
駐車場や駐輪場もチェックしておきたいポイントです。車や自転車を持っていれば空き具合を確認し、持っていなくてもどんな車種が停まっているかを見ると、どんな人が住んでいるか、なんとなくつかめます。
マンションの室内でチェックしておきたいこと
最も力を入れて確認しておきたいのが室内です。室内では、自分たちが住んだらどのように使うかといった、より具体的なイメージを持って確認していきましょう。
日当たり・風通し
日当たりや風通しは、生活する上で重要なポイントです。メインの採光窓はどの方角にあるか、どの程度太陽光が差し込むか、窓を開けたときの風通しはどうかといった点を確認します。
天井・壁・床
天井、壁、床に目立つ傷や水漏れ、ひび割れがないかを確認しましょう。床がきしんでいないか、隣接する部屋の音はどの程度聞こえるか、ということも内覧で確認できる点です。
ドア・窓
ドアや窓がスムーズに開閉するか、傾きがないかを開け閉めして確認します。
キッチン
キッチンの使いやすさもチェックしておきましょう。コンロの数、作業台の高さ、収納の量によって使い勝手が変わってきます。
トイレ・バスルーム
トイレやバスルームなど、水回りの確認も怠らないようにします。カビが発生していないか、床が汚れていないかといったことから、配管からのにおいも気になる点です。浴室乾燥機の有無も、快適に暮らす上では確認しておきたいところ。
バルコニー
バルコニーでは、方角や広さに加え、十分な高さのある柵があるかを確認しましょう。さらに、バルコニーまで洗濯物を運ぶ動線がスムーズかどうかも実際に見てみたい部分。エアコンの室外機のスペースもチェックします。
内覧は実際の生活をイメージして細部までチェックを
中古マンションを内覧する上で何よりも大切なのは、「自分たちが住んだらどう使うか」「どこをどう直したいか」という具体的なイメージを持って見学することです。ただ漠然と見て回ってしまうと、帰宅してからほかの物件と比較・検討する際の要素が足りず、内覧の機会を有効活用することができません。
内覧時にオーナーさんがいる場合は、普段買い物をするスーパーや子供を遊ばせる公園の場所、子育ての環境、周辺エリアの治安などを直接ヒアリングするのもおすすめです。当日、確認すべきことや聞くべきことを書き出したメモを持っていくと、チェック漏れを防ぐことができます。
監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。