中古マンション購入で値引きは可能?交渉でのポイントを解説


中古マンションといっても、高い買い物には違いありません。できることなら値引きをしてもらって、少しでも安く買いたいものです。ただし、一般的には何度もマンションを購入する機会があるわけではないため、実際に中古マンションの値引きは可能なのか、可能だとしたらどれくらい値引きをしてもらえるのかといったことを、知らない人は多いのではないでしょうか。
ここでは、中古マンション購入時に値引きできる額や交渉の方法のほか、交渉が失敗するパターンについてご紹介します。

どうすれば中古マンション購入で値引きできる?

新築分譲マンションの場合、マンションのデベロッパーが定めた販売価格があります。この価格は、土地代、建築費用、広告費用などのコストをもとに決められています。
一方、中古マンションに定価のようなものは存在しません。不動産会社の査定価格をもとに、売主が販売価格を決めることが一般的です。査定価格は、周辺の類似物件の過去の成約事例などから、その時々の相場の動きも考慮して算出されます。
以上を前提として、中古マンション購入の際の値引き交渉が可能かどうか、解説していきます。

値引きは絶対にできるわけではない

中古マンションは値引き交渉ができるかといわれれば、交渉の余地があるのは確かです。実際に値引き交渉をし、当初よりも安い価格で物件を手に入れている人は少なくありません。

だからといって、中古マンションは値引きが当たり前というわけではありません。値引きをしなくても売れるような物件であれば、売主は値引き交渉に応じません。すぐに売れなくても大丈夫だと売主が考えている場合も同様です。
値引きができるかどうかは、売主の判断によって決まります。

売主が不動産業者か個人かでも違う

売主が不動産業者という場合は、物件を購入した価格にリフォーム費用、その他税金などの諸費用を加算して、販売価格として設定されることが多くなっています。そのため、値引き交渉を持ちかけたとしても、応じてもらえる可能性は低いでしょう。

しかし、一定期間経過しても売れなかった場合、タイミングによっては価格が下げられることもあります。ただし、そもそも業者が売れずに値下げするような物件は、人気がある物件とはいえないため、そのような物件を購入するかどうかは別問題です。

値引きできる額の目安は?

中古マンションの購入において、値引きできる額に相場はありません。しかし、例えば販売価格3,660万円の物件で、端数の60万円を値引きしてもらえるケースがあります。また、水まわりに不具合がある、壁紙が劣化しているといった問題がある場合は、そのリフォーム代を差し引いた額を提示すると、応じてもらえる可能性があります。
このように、値引きできる額は諸条件によって変わってくるもの。それでも、値引きできる率の上限は、10%以内になることが多いといえるでしょう。

購入時期によっても差がある

中古マンションに限りませんが、不動産価格は購入時期によって価格が変動します。入学や進学、人事異動などがある春や秋にはマンションを購入する人が増えるため、値引きは難しくなる傾向があります。値引き交渉をするなら、夏や冬など、人があまり動かない時期を狙ったほうが有利でしょう。
また、金利の高低や増税など、その時々の社会情勢、経済情勢によっても、値引きのしやすさは変わります。

販売開始からの時間経過も重要

販売開始したばかりの中古マンションは、これから多くの購入希望者が出てくる可能性があります。そのため、値引きに応じてもらいにくいのですが、売れないまま一定期間が過ぎると、値引き交渉の余地も出てきます。

個人が売主の中古マンションの場合、その一定期間の目安は3ヵ月といわれています。なぜなら、不動産会社に仲介を依頼する媒介契約の契約期間が、通常は3ヵ月だからです。不動産会社から提示される査定価格も、3ヵ月以内に成約させる想定で算出されています。

実際には、販売開始後1ヵ月くらいが経過すると、状況が見えてきます。1ヵ月経って問い合わせや内覧希望者がほとんどなければ売主も値下げについて考え始めますし、3ヵ月経っても買い手が見つからなければ焦りも出てくるでしょう。そのため、販売開始から1ヵ月を過ぎた物件は、値引き交渉に応じてもらえる可能性も高くなります。

中古マンションの値引き交渉

もちろん、それ以上長く買い手がつかない場合はさらに価格が下がる可能性もありますが、元々の販売価格が高すぎるか、条件が良くない物件なのかもしれません。

中古マンションの値引き交渉におけるポイント

中古マンションの値引き交渉は、購入の意志を固めて買付証明書を提出するタイミングでおこないます。この買付証明書を提出する際の値引き交渉は、どのような点に注意すべきか解説します。

中古マンションの相場を確認しておく

値下げ交渉をするなら、物件の相場を把握しておく必要があります。中古マンションの販売価格は、不動産仲介会社の査定価格をベースとして設定されているため、提示されている販売価格が相場よりも高いのか安いのかを知っておくことが重要です。

不動産情報サイトを利用して、エリア、最寄り駅からの距離、広さ、間取り、階数、方角、築年数など、条件が似ている物件の販売価格を調べてみましょう。その相場と販売価格を照らし合わせた上で、どれくらいの値引きなら交渉に応じてもらえそうかを検討します。

売主や不動産会社に不信感を持たれない行動を

値下げ交渉には、誠意を持って望みましょう。明らかに無理な交渉をしていると、売主ばかりか不動産会社にも不信感を持たれてしまうかもしれません。

また、住宅ローンの事前審査に通っていることも大切です。売主からすれば、住宅ローン審査に通らないリスクのある相手との交渉は避けたいと考えます。また、値下げ交渉がまとまれば、すぐに本審査を受けることもマナーだと考えておきましょう。

中古マンションの値引き交渉で失敗するパターン

値引き交渉で失敗するパターンとしては、過度な値引き交渉をしてしまう場合が挙げられます。相場よりも安い販売価格が設定されているにもかかわらず、さらに値引きをお願いするような交渉はしないようにしましょう。
また、自分の生活に合わないマンションでも、値引きできたことでお得だと思って買ってしまうのも、失敗するパターンのひとつです。値引きできるから買うという選択をしてしまうと、入居してから後悔することになってしまいますので、注意しましょう。

中古マンション購入は値引きを前提に考えない

値引き交渉が可能な点は、中古マンション購入のメリットのひとつでもあります。しかし、交渉する際には相場を調べるなどして、どれくらいの値引きが妥当なのかをよく検討しましょう。値引き交渉は慎重に、誠意を持って進めていくのが基本です。
また、値引き前提で考えるのではなく、自分にはどんなマンションが合っているのかをしっかり考えた上で、後悔しないようなマンション選びをすることが大切です。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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