中古マンションのリフォーム費用相場は?必要な箇所と注意点を解説


これから住むことになる部屋を、暮らしやすいよう自由にリフォームできるのは、中古マンションを購入するメリットです。一方で、リフォームにどれくらいの費用がかかるのかも大いに気になります。そもそも中古マンションを購入したら、リフォームは絶対に必要なのでしょうか。
ここでは、リフォーム前に確認しておきたいことや、リフォームが必要な箇所とそれぞれの費用相場について解説します。

中古マンションのリフォームは必要?

中古マンションを購入する際には、必ずリフォームが必要になりそうかどうかをチェックしましょう。最初からリフォームを前提として購入したい人は別ですが、必要であればリフォームをするという考えで物件を選ぶのなら、物件の状態をしっかりと確認しておくことが大切です。

入居前にリフォームが必要かをチェック

中古でも状態が良く、今すぐリフォームする必要がないという物件もありますが、目安として築何年くらいでどんな箇所が劣化してくるかということは、入居前に知っておいたほうがいいでしょう。
例えば、築10年前後の物件なら、壁紙や床のクロス、フローリングなどの汚れや傷みが気になってきます。給湯器の平均寿命も10年前後です。築15年程度になると、トイレや洗面台の交換も視野に入ってくるでしょう。築20年以上なら、キッチンやユニットバスの交換が必要になってきます。

このように、リフォームには古くなった内装を改修して、見栄えを良くするという意味合いと、古い設備を交換するという意味合いがあります。見栄えはあまり気にしないという人なら、見た目はクリーニングなどで済ませ、設備に関しては一定以上の機能を保つレベルの交換で、予算を最低限に抑えることも可能です。

見えない部分はホームインスペクションを

目で見てわかる設備のほかに、床の傾きや歪み、壁のひび割れやカビの発生、床下の腐食や損壊などが気になる人もいるのではないでしょうか。しかし、これらは素人ではなかなか調べるのが難しい箇所です。このような箇所もしっかりと確認したいなら、ホームインスペクション(住宅診断)を受けるという方法があります。

ホームインスペクションとは、ホームインスペクター(住宅診断士)に第三者の立場から住戸や建物の劣化、欠陥を検査してもらい、リフォームや修繕が必要な箇所や費用についてアドバイスを受けることです。
床や天井、壁、柱などの検査のほかに、雨漏りの有無、防音・断熱機能、排水管の詰まりや錆、漏水、換気扇の動作なども診断してもらえます。
また、オプションで共用部分をチェックしてもらうことも可能です。例えば、外壁、屋根、バルコニー、手すり、廊下、エントランスなどの状況だけでなく、防犯性、管理状況、周辺の治安や防災などもチェック範囲になっています。

ホームインスペクションのチェック箇所

ホームインスペクションの所要時間は2、3時間で、費用は5万円前後が相場です。機材を使用して詳細な診断を行う場合は、10万円前後になることもあるでしょう。なお、売買契約を締結する前の物件は売主の所有物なので、買主がホームインスペクションをおこないたいという場合は、売主の許可を得る必要があります。

中古マンションのリフォーム前に確認しておきたいこと

中古マンションをリフォームする際には、事前に確認しておくべき点があります。工事などがスムーズにおこなえるよう、どのような点を確認しておけばいいかを解説しましょう。

管理規約を確認

分譲マンションのリフォームは、管理規約に則って進める必要があります。また、事前に管理組合に対し、工事の申請をおこなわなければなりません。

リフォームでは、建物の主要構造部に影響を及ぼす工事、外観や景観を変更する工事、消防法などの法令に抵触する可能性のある工事をおこなうことは基本的に不可能です。また、フローリングの張り替えや水まわりの設備の移動など、ほかの居住者に迷惑がかかる可能性のある工事については、事前に承認を得なければなりません。そもそも水まわりの設備の移動、配管の交換、フローリングへの変更などが禁止されているマンションもあります。

そのため、リフォームを予定している場合は、物件購入前に思うようなリフォームができるのかどうかを確認しておくべきです。最新の管理規約と使用細則(管理規約にもとづく共同生活上のルールを記したもの)を入手して、内容をしっかりチェックしましょう。

工事期間を確認

リフォームの工事期間についても、リフォーム会社に確認しておきましょう。床のクロスやフローリングの張替え、トイレの交換であれば1、2日、キッチン設備と浴室の交換は2、3日程度というのが工事期間の目安です。
ただし、キッチンのリフォームでレイアウトそのものを変えるなら、1ヵ月程度の期間がかかる場合もあります。

リフォームの工事期間

また、リフォーム会社のスケジュール調整、管理組合への申請なども考慮すると、実際に工事が開始できるまで、1ヵ月程度はかかると見ておいたほうがいいでしょう。

なお、専有部分を躯体のみの状態にまで戻し、間取り変更などもおこなうフルリノベーションの場合は、設計に3ヵ月、工事に3ヵ月程度の期間がかかります。工事が長くなる場合、そのあいだはどこに住むのかについても決めて手配しなければなりません。

中古マンションのリフォーム箇所6つと相場

中古マンションのリフォームには、どのくらいの費用がかかるのかも知っておきましょう。主なリフォーム箇所6つについて、費用の相場を紹介します。

  • キッチン
  • 浴室
  • トイレ
  • 洗面台
  • 壁紙

キッチン

キッチン本体の交換は50万~150万円くらいでしょう。システムキッチンの性能によっても異なりますが、壁付きのキッチンをアイランド型やペニンシュラ型にする場合は、100万円前後はかかってしまいます。レンジフードの交換だけなら6万~8万円、ビルトインコンロの交換は5万~20万円が相場です。

配管工事を含め、キッチンを交換して移動するとなると、150万~400万円くらいの幅で予算を組むことになります。オーダーキッチンを取りつけ、床材や収納もグレードの高い物を選択すると、それ以上に費用がかかるケースもあります。

浴室

浴室のリフォームの場合、ユニットバスの交換であれば50万~100万円くらいが相場でしょう。素材やデザインによって費用が変わり、床に断熱材を使ったり、高級感のあるデザインにしたりすると、80万円くらいは想定しておいたほうがいいかもしれません。
築年数を経た中古マンションでは、古いタイプの浴室からユニットバスへリフォームをするケースがよくあり、この場合は浴室の解体をおこなうため、100万~200万円くらいかかります。

トイレ

トイレのリフォーム費用相場は、便器の交換に加えて壁と床材の張り替えをおこなう場合で20万~40万円くらいでしょう。シャワートイレや自動開閉機能、タンクレスなど、便器の機能によって費用が上下します。
和式を洋式に変える場合は、さらに水まわりの工事が追加になります。この場合、トータル50万円くらいで洋式への変更が可能です。

洗面台

洗面台の交換は、15万~20万円が相場です。洗面台のサイズや材質、鏡のタイプなどによって費用が変わります。ただし、通常は床や壁紙の張り替えも同時におこなうため、トータルで20万~50万円くらいはかかると考えておいたほうがいいでしょう。

壁紙

壁紙の張り替え費用の相場は、12畳のリビングの場合で8万~12万円です。量産品の壁紙にするか、抗菌・消臭などの機能に優れたハイグレードな壁紙にするかで費用が変わります。1㎡あたりの単価では、0.15万~0.25万円になります。

フローリングを張り替える場合の費用相場は、1㎡あたり1万5,000~2万円になります。既存の床材の上に新しく床材を重ねる上張りの場合、1㎡あたり1万~1万5,000円が相場です。

リフォームを考えるならしっかりとした準備を

中古マンションを購入してリフォームを考えている場合は、予算を確保した上で、さらにスケジュール調整などをしっかりおこなう必要があります。費用や工事期間は、どのような材料や設備を選ぶか、どのような工事が必要なのかによって変わります。
また、リフォーム会社によっても金額が異なるため、複数の業者から見積もりを取りましょう。ただし、安くても、しっかりとした工事がおこなわれなければ、後で困ることになります。リフォーム業者選びも慎重におこなってください。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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