中古マンションが売れない理由は?売れるようにする対策を解説


子供の成長や転勤などの理由で、マンションを売却しなければならなくなったとしても、中古マンションはスムーズに売れるとは限りません。同じような物件であっても、価格のつけ方や環境、仲介を依頼する不動産業者によって、すぐに売れたり、なかなか売れなかったりもします。
ここでは、中古マンションが売れない場合の理由と、売れるようにするための対策をご紹介します。

中古マンションはどれくらいの期間で売れるのか?

中古マンションを売ろうと考えた場合、多くは不動産会社に仲介を依頼することになります。その際には、媒介契約を結ぶことになりますが、その期間が売却期間の区切りと考えていいでしょう。
まずは、中古マンションの売却にかかる期間について解説します。

中古マンション売却にかかる期間は3ヵ月が一区切り

中古マンションの売却にかかる期間は、3ヵ月が一区切りとされています。その理由は、売却を仲介する不動産会社と結ぶ媒介契約の契約期間が3ヵ月となっているからです(専属専任媒介契約、専任媒介契約の場合)。

媒介契約とは、売主が自分の代わりに売却活動をしてくれるよう、不動産会社に依頼する際に結ぶ契約です。中古マンションを売却する場合、自分で買主を見つけるのは困難なので、売主は不動産会社と媒介契約を結び、売却の仲介を依頼するのが一般的です。依頼を受けた不動産会社は、広告を出したり、自社の抱える潜在顧客に紹介したりして、売却活動をおこないます。

また、マンションの購入を希望して物件を探している潜在顧客に一通り情報が行き渡り、購入を検討して結論を出すまでにかかる時間が、およそ3ヵ月だともいわれています。

媒介契約の種類

中古マンションの売却を依頼する際に不動産会社と結ぶ媒介契約には、下記の3種類があります。

・専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、1社のみと契約します。売主が自分で買主を見つけた場合でも、不動産会社の仲介なしでは売却できません。

・専任媒介契約
専任媒介契約も、1社のみと契約します。売主が自分で買主を見つけた場合は、不動産会社を通さずに売却できます。

・一般媒介契約
一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約が可能です。売主が自分で買主を見つけた場合は、不動産会社を通さずに売却できます。

媒介契約の種類

このうち、専属専任媒介契約と専任媒介契約については、契約期間は最長3ヵ月と決まっています。一般媒介契約については期間の規定はありません。

売却開始から半年を超えるとますます売れにくくなる

売却開始から3ヵ月経過しても売れない場合、不動産会社はその時点で価格を含めた売却条件の見直しをおこない、売主に提案してくるのが一般的です。新価格が決まれば、そこからまた3ヵ月間の売却活動がおこなわれます。

ただし、売却期間が長くなるのはいいことではありません。特に半年を超えると、半年も売れないのは何か問題があるからだというイメージがつき、潜在顧客の心証が悪くなります。また、不動産会社ももっと早く売れそうな不動産を優先してしまい、ますます売れにくくなってしまうのです。

中古マンションが売れない理由4つ

中古マンションが売れないのは、何か問題が考えられるため、その問題を解消しなければなりません。どのような点が問題なのか、代表的な4つの売れない理由について紹介しましょう。

  • 価格設定が相場よりも高い
  • 不動産会社が積極的に売っていない
  • 同じマンション内で競合がある
  • 部屋の状態が良くない

価格設定が相場よりも高い

売却価格を決める際は、ローン残高や購入価格をもとに考えてしまいやすいものです。しかし、ローン残高などにとらわれると、現在の不動産相場から離れた価格を設定することにもなり、潜在顧客を逃してしまうかもしれません。
例えば、2,000万円が相場のマンションを2,500万円で売り出してしまうと、相場をもとに物件を探している潜在顧客からは関係のない物件だと判断され、多くは内覧にもつながりません。内覧に来たとしても、価格がネックとなって、成約に至らないことがほとんどです。

不動産会社が積極的に売っていない

物件の状態が良く、価格が適正であっても、その物件の情報が潜在顧客に届かなくては購入につながりません。何の問題もなさそうなのに売れない場合は、不動産会社がほかに高く売れそうな物件を優先させているなど、積極的に販売活動をしてくれていない可能性もあります。
また、せっかく購入希望者から問い合わせがあっても、不動産会社の担当者と連絡がつきにくかったり、内覧の日取りがなかなか決まらなかったりする場合も、売却の機会を逃してしまうことになります。

同じマンション内で競合がある

同じマンション内で複数の物件が売り出されている場合、同じ間取りで同じ価格だったとしても、階数やエレベータからの距離、窓のある方角などによって、人気のある物件とそうでない物件の差が出てきます。少し価格を下げても、上階や角部屋など条件のいい部屋に人気が集中し、結果として売れにくくなってしまいます。

部屋の状態が良くない

目立つ箇所に傷みがあったり、物件情報に掲載している写真があまりきれいではなかったりした場合、それだけで潜在顧客の物件への評価は下がってしまいます。まずは、いい物件だと思ってもらえないと、成約どころか問い合わせにもつながりません。
また、内覧までに片づけが間に合わず、整理整頓ができていない状態だと、物件への印象が悪くなってしまいます。

売れる中古マンションにするための対策4つ

中古マンションを売れるようにするためには、売れない理由にもとづいて対策を打つことが必要です。その対策としては、以下の4つが挙げられます。

  • 相場に合った価格設定にする
  • 不動産会社を変更する
  • ハウスクリーニングをする
  • 賃貸や不動産会社の買い取りも検討

これらの中古マンションを売れるようにするための方法についてご紹介します。

相場に合った価格設定にする

マンションの売却価格は、不動産会社がおこなう査定にもとづいて決まります。査定価格は少しでも高いほうがいいですが、より大切なのは実態を査定価格に正しく反映させることです。不動産会社にはプラス面の情報だけでなく、マイナス面の情報もしっかり伝えるようにし、相場に合った価格設定になるようにしましょう。
不動産会社の中には、高めの売却価格をすすめるところもありますが、相場から外れた価格設定にしてしまうと買主がつかなくなってしまいます。自分でも周辺マンションの販売価格を調べたり、ネット上の簡易査定を利用して情報を集めたりした上で、相場に合わせた価格設定にしてください。

不動産会社を変更する

マンションが売れない原因が不動産会社の動きの悪さにある場合は、まず担当者と話し合い、連携の強化や改善を求めていきましょう。それでも改善されない場合は、売却仲介を依頼する不動産会社を変えたほうがいいかもしれません。媒介契約期間内であっても変更は可能ですし、違約金などは発生しません。ただし、売却活動にかかった費用などを請求される可能性があります。
媒介契約は自動更新ではないので、3ヵ月の契約期間満了時に不動産会社を変更するとスムーズです。

ハウスクリーニングをする

同じ物件であっても、汚れている状態ときれいに清掃された状態では、受ける印象が違います。物件情報に掲載されている写真が魅力に欠けていたり、内覧での反応が悪くて成約に至らなかったりするような場合は、ハウスクリーニングをするのがおすすめです。
特に水まわりなどは、クリーニングをするかどうかで見た目がまったく違います。購入希望者が内覧時に自分が生活する姿を想像できるようになれば、成約に至る可能性は上がるでしょう。

賃貸や不動産会社の買い取りも検討

中古マンションは、売却する以外に賃貸物件にして賃料を得るという方法もあります。また、個人の買主を探すのではなく、不動産会社に買い取ってもらうという手もあるでしょう。不動産会社に買い取ってもらえる場合は、早ければ数日で売買契約を締結できますので、この日までに売りたいという日が決まっているのであれば、検討してみてもいいかもしれません。

マンションが売れない理由

中古マンションが売れるような対策を

中古マンションが売れないことには理由があります。その理由を明らかにし、しっかりと対策をすることで、いい条件で売れる可能性は高まるでしょう。
売却期間を長引かせないためにも、価格設定を相場に合わせたり、物件の魅力が伝わる工夫をしたりするなど、中古マンションが売れるような対策をしてみてください。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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