注文住宅のメリット・デメリットは?タイプの解説から購入から入居までの流れを説明します


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いざ住居を購入しようと考えたとき、その選択肢のひとつに注文住宅があります。賃貸マンションや分譲マンションではなく、注文住宅という選択肢を選んだ場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
ここでは、注文住宅のメリット・デメリットのほか、注文住宅はどのような人に向いているのか、購入から入居までの流れについても解説します。

注文住宅には2タイプある

注文住宅とは、ハウスメーカー、設計事務所、工務店などの施工会社に依頼して、住む人の希望に合わせた設計をし、建設する住宅のことです。これに対し、基本的に最初から設計が決まっていて、土地と建物のセットで販売されているものは、建売住宅といわれます。
ただし、注文住宅といっても、大きく分けてフルオーダーとセミオーダーの2つのタイプがあります。それぞれの違いを見てみましょう。

フルオーダー

フルオーダーとは、ゼロベースで建てる自由設計の住宅です。どのような家にしたいかというコンセプトづくりから始まって、建物の仕様、デザイン、間取り、外・内装材、設備、細部に至るまで、自由に決められます。
フルオーダーであれば、建築基準法などによる制限はあるものの、特殊な形の土地に合わせた建物を設計して建てることも可能です。完成までにかかる期間はセミオーダーよりも長く、かなりの時間と手間がかかるため費用も多くかかる傾向があります。どのような家にするかによって期間は幅がありますが、契約から完成まで6~8ヵ月はかかると考えておきましょう。

セミオーダー

セミオーダーとは、基本的な仕様やデザインがハウスメーカーによって決められており、その上で、自分たちの希望に沿ってアレンジして建てる住宅です。特に、木造や鉄骨などの構造部分や工法は、最初から設定されていることが多いでしょう。すでにセットされている間取りがあり、住む人がカスタマイズできるといったケースもあります。変更できる範囲、自由度は、ハウスメーカーなどによって異なります。

注文住宅のメリット

注文住宅の最大のメリットは、自由度の高さにあります。住む人の好み、ライフスタイル、優先事項、事情などに合わせた家を建てられます。あまり一般的ではない間取りの部屋や、趣味・仕事用の特別な用途の部屋を造ったり、設備のグレードを変えたりすることが可能です。

また、自分がどこにこだわり、どこを切り捨てるかによって、予算を調整できます。必要ないと思う部分は、思いきってカットできるのも注文住宅ならではです。

さらに、施主として設計段階から着工、建設中、竣工までのプロセスを詳細にチェックできることもメリットのひとつ。家が出来上がっていく過程を見られるので、完成したときの満足感と達成感も得られやすいでしょう。

注文住宅のデメリット

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注文住宅のデメリットとしてまず挙げられるのは、コストの問題です。こだわる部分が多ければ多いほど、コストは高くなります。
入居するまでの時間が長くなるのもデメリットでしょう。設計依頼から図面の完成、着工までには通常で半年程度、さらに施工期間も半年程度かかることになります。

また、住宅ローンの組み方にも注意が必要です。基本的に住宅ローンは、土地と建物を担保とする抵当権の設定が必要となるため、建物が完成しないと利用できません。そのため、多くの場合、住宅ローンが実行されるまでのあいだに、土地先行融資やつなぎ融資と呼ばれる融資を利用することになります。土地先行融資は、通常の住宅ローンよりも金利が高いことが多く、手続きも複雑で融資されるまでに時間がかかります。

注文住宅の購入が適している人

注文住宅の購入が適しているのは、自分の理想の家をゼロから造りたいと考えている人です。住まいへのこだわりや具体的なイメージがあり、建売住宅では物足りない、満足できないという場合は、必然的に注文住宅が視野に入ってきます。それを具現化するために、ある程度の予算や期間、手間がかかっても良いのであれば、注文住宅は有力候補になるでしょう。
また、すでに土地と家を持っていて建て替えたいという人、土地だけを所有していて新しく住宅を建てたいという場合にも、注文住宅を考えることが多いはずです。

なお、注文住宅検討時に土地を所有していない人は、6割近いという調査結果もあります。土地の取得に手間がかかるにもかかわらず、注文住宅を建てる人が半数を超えているということは、自分好みの住まいを造りたいと考える人がそれだけ多いということでしょう。

■注文住宅検討時の土地所有状況
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出典:2018年 注文住宅動向・トレンド調査(株式会社リクルート住まいカンパニー)

注文住宅の購入から入居までの流れ

最後に、注文住宅の購入から入居までの流れを、土地から探す場合を例にご説明しましょう。

Step1 予算の検討

まずは予算を検討しましょう。現在の貯蓄額を把握して、自己資金としてどれくらいの金額を用意できるかを考えます。また、住宅ローンを組む場合の借入額についても、無理なく返済できる額を考えながら算出します。

Step2 土地を探す

土地探しは、住みたいエリアの候補を挙げていくことから始まります。ピンポイントで住みたい場所がなければ、まず市や区、沿線などの範囲で考えることになるでしょう。そこから通勤・通学の距離、周囲の利便性や環境、自治体の支援制度なども考慮に入れて絞り込みます。土地探しの相談などは、施工会社か不動産会社に依頼することが一般的です。

Step3 家のイメージを検討

土地を探し出す頃から、家のイメージを固めていきましょう。家族でもよく話し合って、どのような家にしたいのかという要素をリストアップし、優先順位をつけていきます。

Step4 施工会社を決める

家のイメージが固まったら施工会社を探し、ラフプランを作ってもらいます。複数の施工会社にラフプランと見積もりを依頼してみるのもいいでしょう。
なお、土地探しよりも施工会社は先に決めるようにしましょう。土地だけ先に取得しても住宅ローンを組むことが難しく、土地先行融資を受ける場合も、施工会社による見積書や図面の提出を銀行から求められます。

Step5 土地の敷地調査・地盤調査・土地購入

希望する土地が見つかり、施工会社も決まったら、その土地にどのような家が建てられるかを調べる敷地調査と、住宅を建築できる地盤であるかどうかを調べる地盤調査を行います。これらは施工会社に依頼すれば、調査または調査会社を紹介してくれます。その後、土地の売主に購入を申し込み、売買契約を締結します。

Step6 図面・見積もり確認、着工準備

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施工会社との打ち合わせを重ねて詳細な建築プランを固め、図面と見積もりを作成してもらいます。図面には設計図、仕様書、平面詳細図、部分詳細図などが含まれます。種類が多く、内容も専門的になりますが、わからないことは必ず施工会社に聞いて、不明点がないようにしましょう。見積書は、必ず詳細な「小明細」をつけてもらいます。

Step7 建設工事請負契約

次に、施工会社との建設工事請負契約を結びます。また、建設工事を行う前には、建物の設計や敷地配置に関する計画が建築基準法などに適合していることを確認する、建築確認申請が必要です。これも、通常は施工会社が代行してくれます。

Step8 住宅ローン申込み

建築確認申請が受理されたら、銀行に住宅ローンの申込みをします。本審査を通過すればいよいよ着工です。

Step9 施工・引渡し

施工前には、地鎮祭、上棟式、近隣住民への挨拶などを行います。工事が始まったら折を見て現場に足を運び、進捗状況を確認しましょう。
新居が完成すると、完成立会いと呼ばれる確認作業をします。そして、建築基準法にもとづく完了検査を通過すると、必要な手続きはほぼ完了です。家の鍵、保証書などを受け取って引渡しとなります。

自分の理想の住まいを造れる注文住宅

注文住宅のメリットは、自由度が高く、自分の好みに合った住まいを造れることにあります。理想とする住まいのイメージが明確にある人ほど、注文住宅に魅力を感じるのではないでしょうか。フルオーダーだけでなく、セミオーダーという選択肢もありますので、状況に合わせて選択しましょう。

ただし、注文住宅の場合は、建売住宅に比べて期間・費用・手間がかかること、住宅ローンの組み方がやや特殊になることに注意してください。

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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