中古マンションの選び方のポイントは?築年数と管理状況をチェック


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中古マンションは、新築マンションと比べて価格的にも手が届きやすく、物件数も多いため希望するエリアで探しやすいという特徴があります。ただし、新築マンションと同様、中古マンションにも選び方にはいくつかのポイントがあります。購入後に後悔しないためにも、価格や立地条件だけで安易に決めてしまわないようにしましょう。

ここでは、中古マンションの選び方について、築年数やエリア、間取り、管理状況などから選ぶにあたっての考え方をご紹介します。

中古マンション選びは築年数がポイント

中古マンション選びでまず確認したいのが築年数です。というのも、築年数によって物件の構造や部屋の間取り、設備の傾向などが変わってくるからです。築年数ごとの特徴を押さえておくことは、マンション選びにも役立つでしょう。

築年数によって構造や設備が異なる

まず、中古マンションの特徴について、建築年別にまとめました。それぞれの特徴を確認しましょう。

・2001年以降の建築
2001年以降のマンションは、柱や梁を住戸の外側に出すアウトフレーム工法が標準化されており、室内にデッドスペースが少ないという特徴があります。また、バルコニー側の部屋を全面リビングにした横長リビングの部屋が多く、バルコニーの奥行きも広く取っているタイプが多く見られます。
設備面では「ディスポーザーやインターネット回線設備が登場」「2003年以降、24時間換気システムの取りつけが義務化」「共用スペースのキッズルームやゲストルームなどを設け、充実させる傾向に」といった特徴があります。

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・1986~2000年の建築
1990年代のマンションにはアウトフレーム工法のものもありますが、1980年代になると、リビングに柱や梁が張り出したラーメン工法のものが多く見られます。この場合、リビングにデッドスペースが生まれるというデメリットがあります。
キッチンは、対面キッチンとなっている間取りが多いですが、ほかにもリビングとキッチンの境の壁に窓があるタイプや、独立型キッチンの物件もあります。

・1985年以前の建築
壁式工法が採用されている1985年以前の物件は、ダイニングキッチンに和室が2~3室配置されている間取りが多く見られます。また、リノベーションが施されている物件も多く、現代風に改装されているなど、間取りのバリエーションが豊富という特徴もあります。

耐震基準をチェック

中古マンションで必ず確認したいのが耐震基準です。1981年6月に耐震基準が改正されているため、それ以前に建てられた物件の場合は、現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。中古マンション選びの際は、築年数と併せて耐震基準も確認するようにしましょう。

・1981年6月以前に建てられた物件の場合
耐震診断や耐震改修によって、現在の新耐震基準と同じ程度の耐震性になっているかを確認しましょう。

・1981~1982年に建てられた物件の場合
1982年の建築であっても、建築確認申請が受理された日が1981年6月1日よりも前であれば、旧耐震基準での建築になります。建築確認通知書が発行された時期を確認しておきましょう。

耐震基準?耐震等級?マンションの耐震性はどうやって確認する?

確認しておきたい中古マンションの条件

ここからは、中古マンション選びで確認しておきたい条件について、「エリア」「購入予算」「間取り」「管理状況」の4つの項目別に見ていきましょう。

エリア

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マンションのエリアを決める際は、まずは交通アクセスや周辺環境、治安・防災について確認してみましょう。

・交通アクセス
通勤や通学のしやすいエリアかどうかを基準に、最寄り駅までの距離や利用路線、交通手段なども含めて検討します。

・周辺環境
どんな環境に住みたいのかによって、選ぶべきマンションの周辺環境も異なります。利用したい店や施設があるかどうか、閑静な環境かどうかなど、希望を明確にしておきましょう。
周辺環境については、昼と夜で街の雰囲気や音が大きく異なることもあるため、現地を訪れてチェックすることをおすすめします。

・治安・防災
エリアの治安・防災状況も必ず確認しましょう。その地域の犯罪率や、防災のための取り組みなどを踏まえて、安心して暮らせる場所かどうかを検討します。

購入予算

購入予算も、中古マンション選びで重視したい条件のひとつです。

特に、住宅ローンを利用する場合、金利や返済期間によって購入できる価格も変わってきますので、今の家計や年齢、ライフプランなどをもとに返済額や期間を決めて、資金計画を立てていかなくてはなりません。

また、中古マンションの場合は、物件の購入だけでなく、室内のクリーニングやリフォームのための費用、毎月の管理費・修繕積立金などが発生するケースもあります。

そのため、マンションの情報収集や内見時にはこうした費用について不動産会社に確認し、正確な金額を教えてもらうようにしましょう。住宅ローンの返済額と合わせて、支払える範囲の金額かどうかを確認します。

間取り

マンションの間取りは、代表的なパターンがいくつかあります。

リビングとほかの居室とのつながりや、キッチンと洗濯機置き場の家事動線などを踏まえて、家族構成やライフスタイルに合った間取りを選びましょう。

・最も多いのは田の字型の間取り
最も多く見られる田の字型の間取りは、玄関から一直線に廊下が続いていて、左右に居室が設置されているタイプです。キッチンや洗濯機置き場といった水回りが中央に集まっており、家事動線が良いというメリットがあります。

・縦長リビング/横長リビング
縦長リビングは、壁が広く長いため家具の配置がしやすく、各居室の独立性が高いことがメリットです。一方、横長リビングは窓が広く、リビングの日当たりが良いという特徴があります。

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・ワイドスパン型
ワイドスパン型は、南向きでバルコニーに対しての間口が広いタイプです。日当たりの良い面に居室を配置しやすく、開放感のある明るい部屋になっています。

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・センターイン型
玄関が住居の中央に設計されており、左右に居室とLDKが配置されているセンターイン型も人気です。リビングなどの共用スペースと、居室などのプライベートスペースを分けられるという特徴があります。

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管理状況

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築20年以上の比較的古いマンションを検討する場合は、管理状況を確認することが大切です。建物の劣化などが心配かもしれませんが、日常的な管理や修繕がしっかり行われていれば、築年数が古くても問題はありません。

物件の築年数別に、修繕履歴や今後の修繕契約について確認しておきましょう。

<築20~30年以内の物件の場合>

  • 築10~15年前後に、外壁補修や屋上防水などの大規模修繕が行われたか
  • 築30年前後に、2回目の大規模修繕(上記に加えて給排水管の交換または補修、貯水槽の交換など)を行ったか、または行う予定があるか

<築30年以上の物件の場合>

  • 上記2回目の大規模修繕が行われたか、または5年以内に行う予定があるか
  • 旧耐震基準で建てられた物件の場合、耐震診断や耐震改修によって現在の新耐震基準と同程度の耐震性となっているか

なお、25年以上かけての、長期的な修繕計画が立てられているかも確認しておきたいところです。長期修繕計画書に、給排水管、ガス管、貯水槽、エレベーターなどの取り換えまたは補修工事の計画が入っているかをチェックしましょう。

また、今後の大規模修繕の際の修繕予定費よりも、修繕積立金の累計額が多くなっているかは大事なポイントです。

中古マンションは築年数や管理状況の確認が大切

中古マンション選びにおいて、新築マンションの場合と異なる点は、築年数や管理状況を詳しく確認することが挙げられます。

不動産会社の説明を聞いた上で、疑問点や不明点があれば必ず確認することが大切です。希望に合った、長く住むことができるマンションを選んでください。

 

監修者:髙野友樹
株式会社 髙野不動産コンサルティング代表取締役。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士。不動産会社にて仲介、収益物件管理に携わった後、国内不動産ファンドにてAM事業部マネージャーとして勤務。2014年、株式会社髙野不動産コンサルティングを創業。

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